[公開直前☆最新シネマ批評]
毎週金曜日は、映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。本日は昨日公開されたばかりの映画『相棒-劇場版Ⅱ』。

昨日、天皇誕生日に公開された『相棒-劇場版Ⅱ-警視庁占拠!特命係の一番長い夜』。テレビ朝日人気ドラマの映画化第2弾です。実は、ドラマ『相棒』を見たことがない記者。ドラマも知らんで何がわかるんだ? と怒られそうですが、映画をヒットに導くにはドラマファンじゃない観客も取り込んでいかなくては! そこで、「相棒」ビギナーの記者も参戦して、作品の魅力をお伝えしようというわけです。

映画は、警視庁がひとりの男に占拠されるという衝撃的なシーンでスタート。定例会議の最中に警視総監と各部署の部長が人質に! 杉下右京(水谷豊)神戸尊(及川光博)らが解決のために奔走。しかし、この事件には、7年前のテロ事件が関係しており……というのがメインの物語。二転三転するストーリーには驚きです。

それよりも、ビギナーとして気になったのが右京キャラ。冷静沈着でとても紳士的。でも捜査は強引で上司が煙たがる組織の中のはみだし者という右京氏。そのしぐさ、言葉づかい、整った眉毛……なんかちょっと、若干お姉っぽい?

ファンには周知の事実かもしれないけれど、初心者の記者には衝撃でした。いままでこんな刑事いたかな? かわいらしさで強引な捜査を緩和させてしまう人って。

そういえば水谷豊は伝説のドラマ「傷だらけの天使」で、萩原健一演じる修のあとを「アニキ~」と追いかけている子犬のようにかわいい亨(アキラ)を演じていた。70年代のバディ・ドラマの傑作とは趣がまったく異なるものの、やはり「相棒」という存在があればこそ、キラリと光る水谷豊なのでしょうか。

古畑任三郎、青島刑事(踊る大捜査線)など、人気の刑事は服装からしゃべり方、組織の中での立ち位置までしっかり個性が確立している。そういう意味でも右京キャラは見事な出来栄え。個性が強すぎて忘れられません。ちなみに及川光博演じる神戸氏は……やはりミッチーでした。これは本人が個性強すぎ??(映画ライター/ 斎藤香)



『相棒-劇場版Ⅱ-警視庁占拠!特命係の一番長い夜』
12月23日より全国東映系で公開
監督:和泉聖治
出演:水谷豊、及川光博、小西真奈美、國村隼、岸部一徳、宇津井健、小澤征悦ほか
(C)2010「相棒-劇場版Ⅱ-」パートナーズ

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【斎藤香のプロフィール】
映画誌の編集者を経て、フリーのエディター&ライターに。
好きな映画はシニカルなコメディとミステリー系。好きな監督はウディ・アレン。
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