「あけましておめでとう」、略して「あけおめ」。新年が明けてから、みなさんは何度この言葉を使用しましたか?

友人同士など比較的仲の良い人たちの間で、新年の挨拶として交わされるようになって早数年。すでに流行遅れと思っている方もいるようですが、一般的にはすっかり定着した感があります。

「あけおめ」が流行り出した当初、まだ高校生だった記者はこの略語を流れのままに使用しながらも大変な違和感を感じていました。今普通に使っているところを考えると、若いのに頭でっかちだったよなぁと、己の融通の利かなさにちょっぴり反省。

その頃はどうせ一過性の流行にすぎないだろうと思っていたのですが、何年経った今でも普通に使われているところをみると、すでに国民の支持を得て日本語の新しい言葉となりつつあるのかもしれません。国語辞典に掲載される日が来るのも時間の問題かも?

そういえばこの言い方、いったいいつから使用されるようになったのでしょう。

ウェブサイト「日本語俗語辞書」によると「あけおめ」は、主に1990年代頃に携帯メールで使われた言葉で、次第に若者の会話に取り入れられるようになったのだそうです。PCや携帯メールで打ち込む際に「あけましておめでとうございます」と長々しく書くよりも短縮した方が便利というのが理由のよう。

へえぇ、元々はデジタル化に伴って生まれた言葉だったんですね! それが2001年に芸能人がテレビで使ったことで、あらゆる世代に広まったのだそうです。

ちなみに一番最初に使われたのは、なんと1996年の正月とのこと。ニフティのチャットやメールで「あけおめことよろ 足腰ヨロヨロ」(?)という形で使用されたと、考案者本人とされる方がおっしゃっているそうです。

96年というと、ようやくパソコンや携帯電話が世間一般に普及され始まった時期。この15年の間で、パソコンとモバイルがなければ仕事も何もできないまでに、世界の仕組みはガラリと変わりました。もしパソコンがなかったら、記者もこの仕事はしていないだろうと思うと、なんとも感慨深い時代変遷です。

「あけおめ」は、まさに激動のデジタル化時代と共に育ってきた言葉。このまま常用語になるか、それとも少しずつ廃れていくのか、今後の動向が気になるところです。
(記者/ 雨傘)

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■参考リンク
日本語俗語辞書(zokugo-dict.com)