生まれはソウル、育ちはソウル&つくば。まるで日本人みたいな韓国人、具(Gu)が日韓について語るコーナー。本日は、韓国から見た日本の就職率について。

文部科学、厚生労働両省は、今年春卒業予定の大学生の就職内定率が68.8%であると発表した。調査を始めた1996年以降で最低だという。原因には諸説あり、日本経済の不況、企業の募集枠の縮小、大学卒業者数の増加などが考えられている。

ちなみに、お隣韓国の就職率はご存じだろうか。結論から述べるとさらに悲惨な状況だ。韓国の発表によると、今年春卒業予定の大学(短大を含む)と大学院生の正社員就職率が48.3%だという。日本の感覚で考えたらあり得ない数字だ。

韓国は日本のように足並み揃えた就職活動というものは存在しない。そして、新卒に限定した採用枠というものも存在しない。新卒も中途も、同じ枠でエントリーするのだ。毎年決まった時期に募集することもなく、欠員が発生したら臨時募集するのが一般的だ。しかも即戦力を求めるので、社会経験がなく「やる気と伸び率は人一倍あります!」と豪語する新卒よりは、「今すぐ結果を出せます!」と豪語する経験者の採用率の方が断然高い。

こんな状況であるから、韓国の大学生たちの就職活動は必死そのものだ。資格を取ったり、留学をしたり、インターンで社会経験を積む。就職のために整形手術をする人もいる。しかしそんなことをしても2人のうち1人しか正社員になれない。

それに比べたら日本は新卒に優しい国だ。多くの日本企業は「何色にも染まっていない新卒を我が社の色に染まらせ、末永く育てていきたい」という考え方を持っている。だから資格も当たり障りのないものだけを取っておいた方がいいし、アルバイトはともかく、他社でのインターン経験をアピールすると逆にマイナスになることもあるとか。新卒から入社しないと出世できない企業もまだまだ存在する。しかし一度でも就職浪人をすれば、もう二度と新卒枠でエントリーすることはできない。

人生一度きりの新卒なのだから、当然日本の大学生は必死だ。しかし韓国のそれとはまた訳が違う。目に見えるもの(実績・資格)よりは、目に見えない部分(やる気、雰囲気)で勝負しなければならないのだ。考え方によっては韓国の就職活動より難易度は高いのかもしれない。

そう考えると68.8%の就職率は意外と高い数値なのではないかと、私は思う。これまでが高すぎたのではないか。そしてこれからもっと下がるのではないだろうか。終身雇用、年功序列の神話は崩れ去ろうとしている。「なによりも人を大事にする」はずの日本企業がリストラや内定取り消しを行っている。企業に甘えることは、もう許されないのだ。今の我々は、自分から企業を取ったら何が残り、何ができるかを常に考えて生きていかなければならない。

これまでの日本の企業は人を育てることに多くの力を注いできた。しかし企業が学校だった時代はもう終わったのだ。今の企業は一から人を育てるほどバブリーじゃないし、今の若者も一企業が育てられるほどピュアじゃない。

企業が人を育てる時代から、人が企業を育てる時代へ、日本は変わっていく。(文:具 滋宣)

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具 滋宣(Shigenobu Gu) ソウル生まれ筑波育ちの編集ライター。日本と韓国で2つの株式会社の代表を務める無類のバイリンガル。(そんな彼の異例の経歴データはこちら
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写真:flickr JrBenito

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