カキ氷とアイスクリームを足して2で割ったような、絶品スイーツがあるのをご存じですか。もちろん、氷に練乳をかけまくるとかそういう話ではありませぬ。

スイーツ好きじゃなくても、人生で1度くらいは食べておいた方が良い! 間違いなく! と周囲に豪語している記者ですが、本当にそれを口に入れた瞬間、心底感動したのでした。

この、頬っぺたが落ちそうになるほどにスイートでラブリーで可憐なカキ氷の名前は、「雪花氷(シェーファービン)」別名チャーミースノーアイスという、台湾カキ氷のひとつ。練乳がたっぷり入った氷を削っているので、最後までソフトな甘さを堪能できるというわけ。もしかすると日本のカキ氷も、元をたどれば台湾あたりから伝わったのかも?

日本では中華街や中華系料理店、最近では東京・秋葉原などでも見られるようになりましたが、まだまだ不思議になるくらい馴染みが薄い。

なぜだ……。大抵は希望すれば、日本国内にいながらして世界各国の珍しいグルメが食べられる現代社会。すぐお隣の国のスイーツが、日本の食文化にほとんど浸透してないのは何ごとか! と、不満に思いながら日々過ごしていたのですが、諦めかけていた記者にもチャンスがやって参りました。

台北市内を観光する機会が訪れたというわけです。松山空港に降り立つと、周囲には目もくれず台湾の原宿と言われる西門町の「雪花氷」屋さんへ。

ここで入って良いものかと店の前でウロウロしていたら、腕まくりをした客寄せの厳ついお兄ちゃんが声をかけてきました。彼はきっと、「うまい雪花氷食いたいなら、うちへ来な! 後悔はさせねえよう~っ!」とでも言ったのでしょう。自信に満ちた彼の表情に、記者も安心して入店することに。

雪花氷の上には、イチゴ、マンゴー、キュウイ、タピオカ、ブルーベリーなどなど、ジューシーなフルーツやナッツをトッピングすることができて、それはもう心がトキメキます。今回初めて食べるので、定番らしいマンゴー(100元/約283円)に決めました!

「ハイ、お待ちどうさんっ!」

手渡してくれた褐色の肌と彫りの深い目鼻立ちとがカッコ良すぎる台湾ボーイ店員と、マンゴーが豪快に盛りに盛られている念願の雪花氷に、記者のテンションも最高潮!

雪花氷を良く見ると、まるで木材や鰹節をカンナで削ったように薄く平たく、ひとつひとつが繊維質のようにも見えて不思議です。なんとまあ、キレイなんでしょ。そして、隣で華を添えるツヤツヤとした大粒のマンゴーたちときたら! 日本ではお目にかかれない、贅沢なボリュームです。

スプーンに大盛り乗せて豪快にパクつくと、一瞬モフっとして、不思議なほどにトロリと溶けていきます。この感覚、た……たまらん! それに、日本のカキ氷だったら、すぐに頭がキーンとするところを、練乳効果で冷たさがマイルドな感じもまた良し。さらに、決して甘すぎない雪花氷の上品さと、新鮮で肉厚ジューシーなマンゴーが究極のパラダイスを醸し出しています! もうメロメロ。

そういえば、これを注文したあと、一瞬で出てきた気がする。マンゴーは盛っていたけど、削っているのを見ていない。おかしいなあ……。

ふと販売しているお兄さんの方を見ると、タイミング良く、なんと冷凍庫の中から雪花氷が入ったお皿を取り出しているところでした! 作り置きだなんてまったく感じさせないクオリティの高さに感激すると共に、完全なフレッシュではないことに少々落胆するという、複雑な気分に。お客さんも多いので、商品はすぐにハケてしまうのでしょうけれど。まあ、いいか。

削りマシーンはというと、日本のかき氷機とはまったく別物。工場で使われていそうな、本格的なマシーンに見えます。在庫補充のために、スタッフのイケメンお兄さんは、削っては冷凍庫に入れ、削っては入れ、を度々繰り返します。この国の社会も効率的に成り立っているんだなぁ。

うわー出てくる出てくる! 日本でもこのマシーンが家庭用に発売される日が来ることを祈りながら、その様子をしばし観察。至福のひとときを過ごしました。

どうしても今すぐ食べてみたいというアナタは、練乳と牛乳と砂糖を混ぜて凍らせ、フォークなどで削ることで同じようなスイーツが食べられるようです。一度試してみるのも良いかもしれません。

(記者=めるりんこ)

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