つまりは、こういうことなのです。去年の秋、久しぶりに、友人の結婚式に招待され、これは一大事と、ワードローブを見渡したところ、着ていくものが何もないという、よくある緊急事態におそわれ、無難な黒のパンツスーツで、妥協することにしたのでした。

ところがそれに追い打ちをかけるように、友人から「黒はだめ、お洒落してきてほしい」と、ここのところ、女らしいスタイルから遠ざかっていた記者に対して、拷問のようなお達しがきたのです。スカートは、あまり、履きません。まぁ、着用するとしても、せいぜいレギンス+デニムスカート止まりでしょうか。

そんな折、偶然、日本製の古着を取り扱っているお店に立ち寄りました。このお店で購入したワンピースのおかげで、恥もかかずにすみ、それどころか、再び、女ならではのスタイル復帰に向けて、日々精進することになったのです。

というわけで、みなさまにも、その存在を知って頂きたく、古着屋激戦区、高円寺にある、記者お気に入りの「vivid」を取材してまいりました。お店の様子を、vividのお客様で今回モデルとなってくださいました、えみさんのキュートなスタイルとともに、ご覧ください。

ポップな店内のコーナーに、ずらりと掛かっているワンピースの数々。女であれば、誰でも心が躍るようなワンピースが所狭しと、並んでいます。

ワンピース以外の品揃えも抜群(メンズもあり)。各アイテムに共通しているのは、思わず触ってみたくなるような、鮮やかさ、素材感、状態の良さです。とても目が行き届いていて、新品といってもいいような状態のものが多いのです。何より、視線を惹きつけるのは、色彩豊かな、幾何学、水玉、ストライプなどのさまざまな柄。手にとってみると、コットン、ポリエステル、レーヨン等の、手触りの違いも実感できます。

これらの秀逸な品揃えには「日本製品の良さを体験できる空間の提供」というvividの理念が込められています。70年代、80年代を中心に現代までのメイドインジャパンの洋服を、ひとつひとつ吟味しながら仕入れ、アイロンをかけて、丁寧に手入れをしているのです。

モデルのえみさんが着ているブラックのコットン素材のショートコンビネゾンは、ボーイシュなものが好きな彼女のお気に入り。華奢な体型に、あえてボーイズライクな服を合わせることで、かえって、ガーリーな魅力が増していますね。

vividでは、商品を着て自由に高円寺の街を歩ける、というサービスを行っています(実際にお願いされたことはないそうですが)。洋服を着て普段どおりに行動してこそ、その服の良さが体験できる、との思いからです。

そこで、モテ服を選ぶ上でのアドバイスを、店長に求めると「自分の好きなように着て欲しいなぁと思うんですよね、何がだめ、とかいうのもないと思いますし」と彼は答えます。「着てみてその人がどう感じるかってことだと思います」と。

そういえば、このお店で、個人的に、ワンピースを選んだときも、彼は心ゆくまで、放置しておいてくれました。本当にあれもこれも着たいと目移りした挙句、ようやく決めたのですが、そうやって選んだ1着は、自分で言うのも変ですが、うっとりするような、似合い方なのです。店内に入るなり「いらっしゃいませ~」とあたかも、八百屋さんが言っているような勢いで迎えてもらえます。あとは、完全にマイワールド。心ゆくまで、手に取り、自由に鏡に映して、楽しむ空間が、そこにはありました。

「洋服自体が個人の表現みたいに考えています。自分、こういう人間なんですよ、というのが一番現れるんじゃないですか」と、店長の佐々木拓馬さん。

さらに、「好みの女性は決めていることがひとつあって、自分と趣味がまったく合わない人、ということ。結婚した相手はそうですね。なんかそういう話をしたくないんですよね。もっと普通のシンプルな話でいいかなと思うので」とのこと。

タグは全部店長自らの手書き。ひとことコメントに、思わずにんまりしてしまうことも。男目線で服をセレクトしている点も、結果的にこのお店を多いに魅力的にしているポイントです。

vividの理念と個人の好き! を反映させた1点1点の洋服は、新たな自分だけの女としての魅力(モテポイント)に気がつくきっかけを、与えてくれるかもしれません。なにより、ぴったり馴染んだ一着を見つけたときの爽快感は、格別です。ここは、そのような洋服選びをするお店のひとつです。たかが、洋服、されど洋服、「深いぜ!」って意味が違いますね。すいません!

(取材、文、写真=はぎぃ)
参考:vivid(http://ameblo.jp/vivid-koenji/
※モデルが着用している洋服以外の小物は、すべて私物