[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今週のピックアップは韓国映画『ホワイト』です。少女時代、KARAなど飛ぶ鳥を落とす勢いのK-POPのガールズグループの裏世界を描いた本作。

K-POPが人気絶頂のいま、青春映画やサクセス映画などにもできたはずなのに、あえてホラーに挑戦する心意気が素晴らしい韓国映画界!

この映画では、売れないガールズグループ、ピンクドールズが、1本のビデオテープをきっかけにスター街道を昇っていく一方、センターに選ばれた女の子が次々と呪われ、痛めつけられていく姿を描いた韓国ホラーです。

美しさで勝負する世界でもあるのに、幽霊に呪われていく女の子たちは、恐怖におののく顔、痛めつけられる顔、断末魔の叫びなど、もう血まみれだわ、すごい形相だわで、とてもアイドルとは思えず、その姿は逆に「根性入ってるな~」と感心せずにいられません。

そんな恐怖シーンに並々ならぬ情熱を注いだのは、韓国のコーエン兄弟と言われるキム・ゴックとキム・ソン監督。ふたりとも「普通に現れる幽霊じゃダメだ」と幽霊のデザインに悩み、またメンバーが呪われるシーンでは、それぞれのチャームポイントを攻めるという演出を披露。歌唱力なら声、ルックスなら顔、ダンスなら体をこれでもかと……。ハンパない恐怖の演出には背筋がゾゾっとすること必至です!

監督のこだわりは音楽にもあり、音楽監督にヒットメーカー≪新沙洞の虎≫に依頼。「ホワイト」を始めとする主要曲を作り上げました。またピンクドールズの人気がブレイクするきっかけとなるライブシーンは、既存の舞台セットじゃ迫力がでないと、特殊なLED照明を使用。撮影現場ではピンクドールズのセクシーな絞殺ダンス(!!)がライブ会場を盛り上げ、エキストラたちも仕事を忘れてマジ熱狂! 臨場感溢れるライブシーンを作り上げたのです。2PMのジュノやアフタースクールもゲスト出演していますよ。

ちなみにピンクドールズの最年長で、呪いの原因を探るウンジュを熱演したハム・ウンジョンは7人組ガールズグループT-ARAのメンバー。T-ARAは9月28日に日本デビューが決定していますが、この映画のようなセンター争いが裏で行われているのでは……と余計な心配をしてしまいそう。アイドルグループの表舞台では見られない裏事情をホラー映画にした本作。残暑厳しい日本にゾっとするほどヒンヤリした空気を送ってくれるでしょう。
(映画ライター=斎藤香

『ホワイト』
9月17日公開
監督:キム・ゴック、キム・ソン
出演:ハム・ウンジョン(T-ARA)ファン・ウスレ、メイダニ、チェ・アラ、ジン・セヨン、ジュノ(2PM)、アフタースクール
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