うららかな秋の昼下がりには、レコードのアナログな音が心地いい。お家にいれば、あなたはいつだって、そんな優雅なひとときを味わえるでしょう。けれど、できるなら外で、しかも自転車に乗りながら聴けたなら…そんな願望を実現してくれる、画期的な自転車があるのです。

自転車の名は、「Feats per Minute」。自転車大国オランダに住む若きデザイナー、メレル・スル―サー、ライアット・アズレー、ピーター・フランク・デ・ジョングによって製作されました。

デザイン性と合理性を絶妙に組み合わせた遊び心たっぷりのこの自転車は、イタリアの有名自転車ブランド「Alpina」とパーツを細かく解剖したレコードプレーヤー、そしてスピーカーとアンプのため外付けされた9ボルトのバッテリーのみで成り立っています。あれこれ余計な手を加えていないのは、「デザインはなるべくローテクなままにしたい」というデザイナーたちの思いによるものです。

自転車の車輪部分に垂直に設置された、レコードプレーヤー。ペダルをこぐ速度に合わせてレコード盤が回転し、サドルの後部にあるラッパのようなスピーカーから音楽が鳴るという仕組みです。例えばバラードを聴くのなら60BPM、ディスコサウンドならば120BPM、ハウスミュージックならば170~300BPM、といったように音楽のジャンルに合わせてペダルを一定の速度でこがなければならないため、乗りこなすまでには相当練習が必要かもしれません。

音楽を成立させるためには、自分のこぐ速度が重要。ということは、体全体を音楽と融合させなければいけません。だからこそこの自転車は、交通量の多い都会のど真ん中よりも、のどかな公園や河原のほうがよく似あいます。乗るだけで豊かな気持ちになれるレコード好きにはたまらない「Feats per Minute」に、ぜひ一度乗ってみたいものです。

(文=田端あんじ)

参考元: illusion.scene360.com(http://p.tl/SPwS

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