先日、東京にも降り積もった雪。都心にこれだけ振るのは非常に珍しいことで、大人も子供も雪だるまを作ったり雪合戦をしたりして、各々楽しんでいたようです。

時を同じくして、文京区根津の某所に、ひとつの雪だるまが作られました。その日は辺り一帯どの家の前にも雪だるまが作られており、目立った特徴がなかったその雪だるまを記者は気にも留めていなかったのですが……1日経ち2日経ち、どんどんほかの雪だるまが消えてゆくなかで、その子だけはただ1体、痩せ細りながらそこに立ち続けていたのです。

そして1週間後。記者が再び雪だるまの前を通りかかると、そこにはこんな張り紙が!

「雪だるまさんは痩せながらまだガンバっています。皆さんもガンバりましょう」

この言葉、おそらく雪だるまが佇む家の主が書いたものと思われますが、なんと胸に響く言葉! しかも子供たちも読めるよう、「痩せながら」の部分には丁寧にふり仮名までふってあったのです。

この雪だるまは当初、目も鼻も口もありました。そして何より、雪だるまらしく非常に丸々としていたのです。それが今や顔はのっぺらぼうだしこんなにスリムになっちゃって、くびれのところなんか、手でポキッと折れそうなくらい!

それでも雪だるまは、こうしてガンバって立っています。彼(彼女?)の姿を、いったいいつまで見ることができるのかはわかりません。しかし、できる限り立ち続けて、多くの人を元気にしてほしい。雪だるまを見ていると、そう、切に願わずにはいられなくなるのでした。

(写真、文=田端あんじ)

▼なんてスリムな雪だるま…

▼こちらが実物の張り紙です