ある日、アメリカのワインと料理の専門誌『Food&Wine』で、読者からのこんな投稿を見つけました。

『ハワイ島に住んでいたころ、週末のファーマーズマーケットで毎週クッキーを買っていました。皆にチュチュと呼ばれている年配の女性が売っていたクッキーは1人1袋限定。30分で完売するほどの人気ぶりです。引越をすることになった私は、レシピを教えてくれないかと頼んでみることに。すると彼女は25年間誰にも教えないこと、という条件付きでレシピを教えてくれました。そして、今、そのときが来たので、貴誌の読者の皆さんとこのレシピをシェアしたいと思います』

25年門外不出だった伝説のクッキー! これはぜひとも試してみたいですよね!

まずレシピを読ん珍しいと思ったのは、ライスクリスピーと呼ばれるシリアルを使っていること。また焼き方もユニークで、1回オーブンを開けてクッキー生地を途中でつぶし、さらにクッキーの底にさらに熱を与えるのがポイントのようです。

作り始めてみると、クッキー生地がとってもホロホロしていて普通のクッキーよりもまとまりにくい感じがしました。その生地感はショートブレッドに良く似ています。

そして、最後に混ぜるライスクリスピーのために、よりいっそうまとまりにくい感が強まります。それを丸めていくのですが、その生地のもろさに「大丈夫なのかな?」と少々不安にかられるほど。オーブンの中段に入れて15分、一回オーブンを開け、スパチュラやスプーンでさらに柔らかくなっているクッキーをつぶして広げます。

さらにオーブントレイの前後を変えて15分。底がゴールデンの焼き色がつき、表面が割れた感じになれば完成です。生地感に不安があったので、焼き上がったクッキーももろいのかと思ったのですが、そんなことはありませんでした。

さて、そのお味というと、アメリカのクッキーはソフトなものが多いのですが、これはとってもカリカリ、クリスピー! ショートブレッドのようなさくさくのベースに、ライスクリスピーがミックスされたことと、低温で長めにしっかりと火を通すことで、さらに歯ごたえがよくなっているようです。

はじめの一口はちょっと固すぎ? と思うのですが、サクッ、カリツの歯ごたえが癖になって止まりません。

どうやら現在では、ハワイにある何軒かのクッキー屋さんで、ライスクリスピーを使用したクッキーが販売されているようです。ハワイにはこの他にも「あられ」を混ぜ込んだ「カキモチクッキー」、ふりかけが入った「フリカケクッキー」など、アメリカ本土とは異なった独自のクッキー文化が粛々と受け継がれているようです。

まさにそんなハワイアンクッキー文化のメインストリームに位置するともいえる、チュチュおばあちゃんのクッキー! ハワイに行って本場のクッキーを楽しむ前に、まずは自分で作ってみてはいかがでしょうか?

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【材料】

・砂糖 130g
・バター(室温でやわらかくしておく) 113g
・小麦粉 142g
・ベーキングソーダ ひとつまみ
・塩 ひとつまみ
・ライスシリアル 4分の3カップ
・バニラエッセンス 小さじ2分の一

【作り方】

1. オーブンを150度に熱しておく

2.
バターと砂糖、塩を一緒に白っぽくなるまでよく混ぜる。

3.
ベーキングソーダとバニラエッセンスを入れて混ぜる。

4.
小麦粉を半分入れて混ぜ、混ざったらまた半分を入れて混ぜる。

5. 最後にライスシリアルを入れてやさしく割れないように混ぜる。

6.
ベイキング用シートに大さじ2杯くらいの量の生地をとってまるめておく。

7. 7センチくらいスペースをとって、同じように並べていく。15分オーブン中段で焼いたら1回取り出し、ナイフなどで上からつぶし平たくする。ベイキングシートの前後を入れ替え、さらに15から20分、クッキーの底においしそうな焼き色がついたら出来上がり。(オーブンの癖によって焼き時間は少々変えてください)

(文=Mayumi Holmes

参照:雑誌『チュチュのスーパークリスピー・シュガークッキー(Food&Wine Magazine)』
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クリスピーなクッキーの秘密はこのライスシリアル

かりっかりっのクッキーの完成

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