ナポレオン。「余の辞書に不可能という言葉はない」と語り、一時はイギリスを除くヨーロッパのほぼ全域を支配下にまで納めた18〜19世紀フランスの英雄。その女性関係はさぞかし華やかだったのでは? と思うかもしれませんが、実はさにあらず!?

イタリア遠征中に最初の妻ジョセフィーヌに宛てた、有名な彼の手紙を見てみると、これがなんともはや……! な内容。ネット社会で新聞や週刊誌を賑わす、変質的で嫉妬深い男性(女性)からのちょっとアブナいメールと同じニオイがするのです。

結婚当時、ナポレオンは英雄への道を駆け上る男盛りの26才、一方の妻ジョセフィーヌは32才。社交界で数々の浮き名を馳せたかなりの浮気女で、エキゾチックな風貌の恋多き女性です。

さっそく、手紙の内容を少し覗いてみましょう。

1.  例えば新婚後数カ月目に送った手紙。「貴女のことなど、全く愛していません—―それどころか憎んでさえいます。貴女はふしだらで不細工な淫売だ! 」と始まり、「遠からず貴女をこの腕でペシャンコにして、100万回のキスで覆って葬ってやりますよ!」と結びます。この時点で、かなりキてます。

2. イタリア遠征の軍務に赴くナポレオンは、ジョセフィーヌに同行してほしいと懇願します。「私は遠く、遠くへ旅立ちます。でも、貴女も来てくれるのでしょう? 私の隣、私の腕の中、私の胸の上、口の上にいてくれるでしょう? 翼を持って、さあ、おいで、おいで……! 貴女の胸にキスを。そしてもっと、もっと下の部分にもね!」 エロいです。

3. それでも来ないジョセフィーヌに、遠征先からおだて調子の手紙の雨。「貴女の涙に理性を失い、血が沸き立ちます! 貴女のこと以外考えられない! 貴女にすべてをぶちまけたいのです!」 えーと、戦争で忙しくないんでしょうか? かなりヤバくなってきました。

4. 「愛する人よ、こんなにたくさん、たくさん手紙を書いているのに、貴女ときたらほとんど書いてくれないなんて。気まぐれなばかりか、薄情なヒドい人だ。こんな哀れでか弱い夫を騙すなんて!」嫉妬深い夫の同情作戦です。

5. 全身で愛を懇願するナポレオン。「愛するジョセフィーヌよ、貴女なしで、貴女の愛の保証なしで、私にいったい何が残るというんだっ!」 あれ、えーとこの人、ほとんど全ヨーロッパの皇帝になった人ですよね?

6. ジョセフィーヌはどこ吹く風で、全然返事を書かきません。(それもヒドいけど……!)「なんで手紙をよこさないんです!? ほんのちょっとの言葉だけで、どれだけ私が喜ぶか分からないのかい!」

7. 「貴女がドレスを脱ぐのを手伝えたら、どんなに嬉しいか! ああ、形の良い素敵な胸、可愛らしい顔、クレオール風の髪よ!」また若干エロ・モードに。因にナポレオン、超のつく「臭いフェチ」でも有名です。

8. やがて相手にされない嫉妬男の常套手段、脅しモードに突入。「さよなら、愛しのジョセフィーヌ。いつか貴女の部屋のドアが騒々しく開くことになるでしょう。そして貴女は、その腕の中で死ぬ私を見るでしょう!」

このあと、エジプト遠征中のナポレオンの元に、彼女の浮気の証拠が届いたそうです……。失敗した結婚を弟宛に恨み節で書き綴り、離婚手続きを依頼。ところがこの手紙を載せた船が、なんと当時の敵国イギリス海軍に拿捕されてしまいます。なんとも恥ずかしい手紙の内容が、イギリス全国紙で大々的にスクープ! 踏んだり蹴ったりですね。

すったもんだの末、改めて彼との結婚の価値に気づいたジョセフィーヌは、なんとかナポレオンに離婚を思いとどまらせることに成功。でももう後の祭り、彼女の愛が高まる頃には、ナポレオンの愛は冷めていました。浮気をしまくり、ほかの女性に子供を産ませたあと1810年に離婚。愛とはままならないものですね……!

でも、ふたりの最後が泣かせます。離婚後も終生ナポレオンを愛し続けたジョセフィーヌ。新しい嫁が嫉妬する程の良き話し相手となったそうな。やがて失脚していくナポレオン。島流しにあい、誰もが彼を見限っていくなか、最後まで援助を惜しまなかったのがジョセフィーヌだったそうです。ふたりの最後の言葉には、互いの名前が呼ばれたと言います。

(文=黒澤くの)
参照元:mentalfloss.com(http://goo.gl/dbfiy
画像:wikipedia.org

▼ジョセフィーヌ。植民地生まれのエキゾチックな美人だったそう。

▼ナポレオンとジョセフィーヌ