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先輩(オヤジ)と久しぶりに飲んでいるとき、「お前最近どんな新しい音楽聴いてるの?」と言われてグッと言葉に詰まったわたくし。先輩がぼそっと告げる。「音楽を語れないロックブスはただのブスだ」 うるさいわね!

でも、次から次へと新しいバンドが登場して話題になっていた1990年代と違い、なんとなく今の音楽シーンっていまいち盛り上がりに欠けるような気がしてならないのです。AKBと嵐が売上トップ10を独占する邦楽界だけじゃなく、洋楽も……。アデルやジャスティン・ビーバーもいいんだけど、ロックっぽいのが少しだけ足りない気がしているのはわたしだけでしょうか。

さて、ここ最近、シカゴのある中古レコード屋さんがフェイスブックに公開した画像が、アメリカを中心にちょっとした話題になっています。それは、「THE DO NOT NEVER EVER BUY LIST(絶対ゼッタイ買い取っちゃダメなCDリスト)」というタイトルのシート。

つまりこのお店がアーティスト名を思いっきり名指しで「持ち込まれても買うんじゃねーぞ」とバイトくんなんかに指示している、というわけ。ノットにネヴァーにエヴァーまでつけて、もう思いっきり強調しまくりで。

でも確かに気持ちはわかる! 若気の至りで買っちゃった××や○○はたぶんどんなお店も買い取ってくれないね……みんなもそういうCD持ってるよね!? ただ、みんなが心にこっそり抱いているそんな「ダメの基準」が、ショップの側から文書の形で出てくるっていうのはじつはかなり珍しいことだったりします。

さあそれでは実際に、シカゴのショップ「ローリーズ・プラネット・オブ・サウンド(Laurie’s Planet of Sound)」謹製の「いらない子リスト」を見てみることにしましょう!

これがLaurie's Planet of Soundのリスト!

リストに載ったアーティストたち

・セラピー?(Therapy?)
アイルランド出身のバンド。90年代にロッキング・オンあたりで記事をよくみた記憶が。

・10,000マニアックス(10,000 Maniacs)
美しい女性ボーカルが印象的なUSオルタナバンド。ああ、記者も1枚シングル持ってる……。

・テクノトロニック(Technotronic)
ベルギーが生んだハウス系ダンスユニット。90年代のクラブ文化の象徴、つまり、今はもう。

・ペリー・ファレル(Perry Farrel)
カルト的な人気のあったジェーンズ・アディクションのフロントマン。ソロは微妙なの?

・イーグルス(Eagles)
ご存知、「ホテル・カリフォルニア」。でも無名曲やアルバム曲を聴きたいかというと……

・シェイメン(Shamen)
90年代初期に人気だったUKのハウスユニット。90年代ハウスというのは、今では厳しいよね。

・ジェシカ・シンプソン(Jessica Simpson)
R&B系のサウンドで大ヒット、のちにカントリー・ミュージックを経て今ではゴシップ女優。

・808 State
「やおや」なんて言われて親しまれたUKハウスユニット。ビョークとのコラボもある、のに。

・スウェード(Suede)
90年代には日本でも大人気だったロンドン出身のバンド。2000年に入り急激に人気が失墜。

・メン・アット・ワーク(Men at Work)
全米で2度、シングルでNo.1になった豪州出身のバンド。1985年に活動停止、忘れられた?

・K.D.ラング(K.D.Lang)
カナダのシンガーソングライター。カントリー系ゆえロックファンからは冷たい評価。

・もう一回イーグルス
大事なことだから2回言いました、的な。気持ちはわかる、うん。

・ジャーニー(Journey)
30年以上活動する古株バンド。何度もボーカルを交代させていて、不調時の作品はキツイ。

・ボズ・スキャッグス(Bozz Scaggs)
ボビー・コールドウェルと並ぶ、AOR(大人ロック)を代表する歌手。車のCMなどで流れた。

・C+C ミュージックファクトリー(C+C Music Factory)
エビバデダンスナウ!! がヒットしたのは91年。ヒップホップがおしゃれだった、あのころ。

・コレクティヴ・ソウル(Collective Soul)
94年にヒットを飛ばしたアメリカのオルタナバンド。オルタナっていう言い方が既に……。

ほかにも「アラニス・モリセット」「ジャネット・ジャクソン」「ホイットニー・ヒューストン」「スティング」などの名前も見えます。なつかしの「シャンプー」もあるなあ……。「無名パンクバンドのコンピレーション(Obscure Punk Comps)」「時代遅れとかダサいサントラ(Lame/Sucky Soundtracks)」、それは確かに。そして、とどめの1行――「90年代バンドほとんど(Most 90s Bands)」

このお店のマネージャーさんが電子メディア「Daily Dot」に語ったところによると、このリストにあるアーティストたちのCDはどれも「ずーっとお店に置いてあって、全然売れて行かない」のだとか。別に店員や店の好き嫌いを表したリストではないんだよ、とも。

Webサイトで見るかぎり、お店の品揃えはコアなロックファン向けのようなので、女性ソロシンガーや古いハウスサウンドなんかはお門違いなのかも。あとやっぱり、ひと昔まえにウケてたバンドってどうしても時代遅れ扱いされがち。

なお、この件についてアメリカ各ニュースサイトの読者たちは

・わかる! 確かにここにあるの俺全部ムリだわ!
・メン・アット・ワークが僕のiPodに……。
・ペリー・ファレルが2つ入ってて超ウケる! ※もうひとつはポルノ・フォー・パイロス
・カウンティング・クロウズも入れようよ!
・リスト作った奴ぶっとばす。10000マニアックスは何と言われようが最高なんだよ
・お陰でシャンプー持ってるの思い出しちゃったじゃん! 売れないの? ダメ?

などと、わいわいとコメントを交わし合っている模様です。

自分が好きだったバンドがこういうリストに入れられているとちょっとショックだけれど。でも、時代時代の楽しさをめいっぱい享受できたんだ、と考えるとそれはそれで悪い気がしないかもね。いずれにしても、宝物だと思うCDは大事にしたい。たとえ馬鹿にされたって、好きなもんを好きだと言える気持ちを抱きしめていたいものですね。

(文=纐纈タルコ)

参照元:egotrip(http://goo.gl/sjED9)、The Daily Dot(http://goo.gl/HjNQQ