先日JPモルガンがお金持ちと結婚したい美女に語ったとされる「美女はレンタルで十分!」という記事を紹介しました。「お金持ちと結婚するのに『美女』であることは武器にならないし、長く一緒にいたいと思われる人にならなくちゃ」という趣旨です。

ただ、その記事を書いている中で記者のなかでむくむくと沸き起こったのは、「これって、アメリカだからじゃない? 日本の場合はどうなの?」ということと、「お金持ちが長く一緒にいたいと思う人はどんな人なの?」、それから、「一個人の意見であって、統計的に見ると違うんじゃないの?」ということ。皆さんも、そんな疑問を感じたのではないでしょうか。

そんな記者の疑問にずばりと答えてくれる『日本のお金持ち妻研究』(森剛志・小林淑恵著、東洋経済新聞社、2008)という書籍を発見しました。あわよくばお金持ちと結婚したいと思っている女性にとっては「お金持ち妻」の実態がわかるし、お金持ちになりたい男性は、どんな女性と結婚すれば良いかがわかる、優れた書籍だと感じましたので紹介します。でも、はっきり言えば、「お金持ちと結婚して、エステ三昧! ブランド品を買いまくって、子育てはシッターさんにお任せよ!」と思っている女性は、この本を読むと戦意喪失するかもね。


この本の著者である、森剛志さんは現在、甲南大学経済学部准教授。小林淑恵さんは慶応大学通信教育部非常勤講師。お二人とも、れっきとした研究者で、書籍も社会学的見地から、綿密な調査を行ったうえで記されています。調査名はずばり、『日本の高額納税者妻調査、2007』。調査対象は、国税庁『全国高額納税者名簿』に記載されている年間納税額1000万円(年収約3000万円以上)の方々で、調査方法は対象者から無作為に1000名を抽出してアンケートを送り、一部の人にはインタビューをしたとのこと。

皆さんは、お金持ちの妻と聞くと、「美人で、お金持ちに見そめられたんじゃない?」とか、「元々お金持ち同士だったんじゃない?」とか、「男性の下積み時代から苦労をともに生きてきて、結婚後にお金持ちになったんじゃない?」と思うのではないでしょうか。

そして「私の実家は別にお金持ちじゃないし、夫の下積み時代に付き合うつもりで一生うだつが上がらなかったらイヤ。とすると、容姿でお金持ちに見そめられるコースしかない! 私は容姿端麗とは言えないけど、よくみれば目鼻立ちは悪くないし、少しダイエットして、お化粧テクとファッションセンスを磨けば、玉の輿に乗れるんじゃない!?」という結論に達するかもしれません。そんな皆さん&記者の気持ちも著者の先生方はお見通し。

本書の中では、「美人でお金持ちに見初められて結婚したんじゃない?」という仮説を「玉の輿仮説」、「元々お金持ち同士だったんじゃない?」という仮説を「同類リッチ婚仮説」、「男性の下積み時代から苦労をともに生きてきて、結婚後にお金持ちになったんじゃない?」という仮説を「糟糠の妻仮説」と名付け、その仮説を検証していくのです。仮説の名前がふるってますね! 先生方は、以下のように書いています。「よし『玉の輿結婚』を目指そう!―― 果たしてこの戦略は正しいのだろうか?」

■容姿を見そめられて結婚した人はほとんどいない
もったいぶらずにさっさと結論を言いますね。この本によると、日本のお金持ち妻も、美女だからお金持ちと結婚できたと答える人はほとんどいないそうです。容姿を理由に結婚した人がいるかどうかを確認すべく、アンケートに結婚前の職業を聞いたところ、玉の輿に乗れそうな「芸能人・タレント・モデル・スチュワーデス・コンパニオンなど」という華やかな職業についていた人は、1.9%という結果でした。しかもこの1.9%の人に、結婚当時の容姿をアンケートで聞いたところ「容姿はよかった」と回答した人はいなかったのだそう。「玉の輿仮説」、「同類リッチ婚仮説」、「糟糠の妻仮説」のなかで、「玉の輿仮説」だけは、あっさりと崩れたのです。日本においても、容姿は武器にならないということが、検証されたわけです。 

他にも、この本には様々な内容が述べられています。以下、記者がおもしろいと思った内容を一部ご紹介。

■お金持ち妻は「元キャリアウーマン」が多い
頑張って働いている女子の皆さんに朗報! 「玉の輿仮説」が成立しなかった代わりに、アンケート調査やの結果見えてきたのは、結婚前に非常に仕事熱心だった人が多いということ。お金持ち妻は、満足のいく仕事を追い求めていく過程で、未来の夫に出会っている様子。インタビューでは、「節税のために7つ会社を持っていて、その7つに資産を分散している」とか、日ごろ細かい会社の事情を話さない夫が、会社が上場しようかという場面では妻に相談し、妻はフライパン片手に「あなたのワンマンな性格では、思い通りにならないことも出てくるからやめたほうがいいわ」と助言したりすることもあるということがわかっています。

つまり、お金持ちと結婚する女性には、資産運用や、ここ一番といった大切な場面で相談ができるだけの実質的な知性が備わっている、ということのよう。お金持ちになりたい男性の皆さん、ここ重要ですよ! 資産は男性だけが作っているわけじゃないようです。

■お金持ち妻はブランド物に興味がない
お金持ち妻は、ブランド物をたくさん買う……というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、実際はそうではない模様。アンケートの回答でもおおむね中流家庭と同じような堅実な生活をしているそう。夫婦ともに「倹約家」であると答えた家庭は50%。一ヶ月のお金の使い道を詳しく見ても、かなり健全で多くの人は人並みの、目立たない生活をしているのだそうです。また、お金持ち妻に共通する特徴は「見栄っ張りではない」ということ。高価なものを身につけて、華やかな生活を見せている「イメージ通りのお金持ち」は、実は少数派なんですって。ただ、お金持ち妻はお金が増えるような買い物(割安な別荘など)は、一般の人よりもすることが多いのだとか。

「お金持ちと結婚して、ほしいものを何でも買うようなセレブな生活がしたいわ〜」と思っている女性は、お金持ちと結婚しても思い通りにならないかもしれません。しかも、妻が夫よりも「倹約家」でない夫婦はたった12%とのこと。そもそも、「セレブ生活」を求めている女性は、お金持ちと結婚できないことの方が多そうです。

この本、ここで紹介したこと以上にたくさんのお金持ち妻の特徴が詳細なデータとともに載っています。とても読み応えがあり、あわよくばお金持ちと結婚したいと思っている女性にとっても、お金持ちになりたい男性にとっても、すでに結婚している人にとっても読むと非常に勉強になる本です。ぜひ、一度読んでみてください!

(文=山川ほたる、写真=比留間千冬)

『日本のお金持ち妻研究』(森剛志・小林淑恵著、東洋経済新聞社、2008)