ジブリ飯と銘打ちましたが、今回は本来なら「宮崎駿監督飯」とすべきかもしれません。『ルパン三世 カリオストロの城』はスタジオ・ジブリ以前の作品ですから。しかし、この作品は一部の宮崎駿監督ファンからは「最高傑作」と呼ばれるほど。ジブリファンの方にこそ見ていただきたい! 

そして、この作品にも、他のジブリ作品同様、本当においしそうな食べ物が出てくるのです。といわけで、あえて「ジブリ飯」でくくらせていただきました。

今回は、その『ルパン三世 カリオストロの城』から、ルパンと次元が奪い合って食べていたミートボールスパゲッティを作ってみましたよ。作ってみたら、ミートボールから肉汁がジュワ〜としみ出てくる激ウマスパゲッティになりまして、ルパンと次元が奪い合って食べる気持ちがわかるほどでしたので、みなさんに紹介します!

「公式レシピ集」などが出ていないので、レシピを考えるにあたり、前回ラピュタのシチューを作ってみたときと同様、DVDをじっくり観察し、舞台や彼らの財政状態などからあれこれ考えてみましたよ。

DVDからは、ミートボールスパゲッティであることと、ソースは茶色系で特に目立った具がミートボール以外には見当たらないことがわかりました。また、ルパンたちが入ったお店は、高級店ではなく大衆的なお店です。

ルパンと次元はモナコの金庫から売上金(ただし一部は偽札)を盗み出すことに成功して逃走中です。つまり、お金はたくさんあるけれど、派手に使って目立つわけにはいかない立場にあるわけです。だから、ルパンと次元がスパゲッティを食べたお店は大衆的なお店なのでしょうが、お金がないわけではないから、大衆的なお店と行っても激安店ではないのではないかと想像できます。

それから、『ルパン三世 カリオストロの城』の舞台は、イタリア中東部のサン・レーオという場所とのこと。また、この作品は1968年という設定で、ルパンと次元は30代半ばという設定だそう。散々どろぼうさんをやってきて、おいしいものも食べてきたはずだから、「肉があればOK」、「塩気でごまかす」という料理では満足できないはず。

以上のことを総合的に考えまして、記者はこのパスタは、イタリアの伝統的なミートボール、「ポルペッティーネ」を使ったパスタではないかとあたりをつけました。また、ソースはトマトベースですが、舌が肥えた30代半ばのルパンと次元が奪い合うほどのソースですから、単にトマト缶が使われているだけではなく、野菜を刻んで煮込んだ、手のこんだものであるはず。二人の懐は温かいのですから、それくらいの贅沢は許されるでしょう。

ということで、具体的な作り方を紹介します。

【材料】(2人分。ただし『カリオストロの城』風にけっこう多め)
・ 牛ひき肉 200g
・ パンチェッタ 30g
・ きのこ類 40g
・ たまねぎ 1個
・ 黄色パプリカ 1個
・ トマト缶(400g入り) 1缶
・ スライスチーズ 1枚
・ コンソメ 大さじ1
・ ウスターソース 大さじ1
・ バルサミコ酢 大さじ1(なくても可)
・ ガーリック(チューブタイプのもの) 2センチ程度
・ オリーブオイル 適量
・ シーズニングソルト(塩でもOK) 適量
・ こしょう 適量
・ クローブ 適量
・ バジルパウダー 適量
・ オレガノ 適量
・ スパゲッティ 250g

伝統的なポルペッティーネのレシピでは、牛ひき肉ではなく仔牛肉を使うらしいのですが、手に入りにくいので今回は牛ひき肉で代用。パンチェッタは、ラピュタシチューの記事で作り方を紹介しましたが、豚バラ肉でも代用可能です。

【作り方】
1.玉ねぎ半分と、きのこ類、パンチェッタをできるだけ細かく切る。

2.1にひき肉、クローブ、シーズニングソルト、オレガノ、胡椒を加えて手でよくこねて丸め、20個程度の肉団子を作る。大きすぎると、パスタとあえる時につぶれるので注意!

3.玉ねぎ半分と、パプリカを適度な大きさに切り、ミキサーにかけておく。ミキサーがない場合は、なるべく小さなみじん切りにする。ミキサーは1936年に発明されているから、『カリオストロの城』の時代にもちゃんとありますよ! 

4.フライパンにオリーブオイルを多めにいれ、2を強火であげ焼きにする。裏返して両面に焼き色がついたら、いったん皿にあける。(1つ味見をして塩気を確認し、塩気によってソースに入れるシーズニングソルトを調整してください。)

5.スパゲッティを茹でておく。

6.フライパンの油をすべてキッチンペーパーなどでぬぐって、再度大さじ1程度のオリーブオイルを入れ、3とニンニクペーストを入れて色が少し変わる程度まで強火で炒める。

7.6にトマト缶とチーズ、バジルパウダー、コンソメ、ウスターソース、バルサミコ酢を入れて焦がさないように中火で5分ほど煮込む。シーズニングソルトで味を整える。

8.ソースに4を入れて5分ほど煮込み、その後茹で上ったスパゲッティを入れてあえたらできあがり!

以上! 海外のいくつかのサイトを参考に作ったこのイタリアのミートボール「ポルペッティーネ」は、噛むと肉汁がジュワ〜っと出てきて、びっくりしちゃいますよ。パンチェッタが入っているのでしっかり風味豊かな肉の味がするので、30代のルパンたちががっつくのもわかる!

盛りつけはあえて大きな皿でドーンと出してね。そして赤ワインはワイングラスではなくタンブラーで。二人で向かい合って、取り合うように食べると気分が盛り上がります。

ああ、でも記者的にはスパゲッティをがっつくよりも、本当はクラリス役がやりたい。それで、ルパンに「どろぼうです。こんばんは、花嫁さん」って言われたい! そして、最後に銭形警部に「やつはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」って言われたい!! ただ……、ルパンが30代じゃ、記者と同年代。記者はルパンを「おじさま」呼ばわりできませんね。ざんねーん。

(文、写真=山川ほたる