毎月、美味しそうなお料理を紹介している雑誌『dancyu』(プレジデント社)は今年で創刊22年だそうです。ここで紹介された料理はどれも劇的に旨そうで、寝る前にみると大変なんだよなあ……(おっとヨダレ)。そりゃ読者が手放しませんわ。

そしてこの度、「永久保存版特集『日本一のレシピ』」が発売されました。「読者と編集部が選ぶdancyu史上最強クッキング 」というキャッチフレーズが実に魅力的であります。

で、本日ご紹介するのは、誌面トップで紹介されている読者アンケートで支持率ナンバーワンにもなった鍋料理「妹尾河童さんのピェンロー(扁炉)」。すごく美味しいと話題になってます。美術家でありエッセイストでもある妹尾さん。そんな文化人がつくった&22年間で一番人気の鍋料理とは、いったいどんな味がするんだろう。実際に作って食べてみることにしたよ!

実はこれまで記者は「ピェンロー」を知らなかったのですが、ネットで検索するとレシピが続々と出てくるじゃないの! みんなこんな旨そうな料理知ってたのかーっ! 

とはいっても色々とアレンジされたものが多いのだそうです。今回誌面で紹介されているのは、20年前にdancyuで紹介された妹尾さんによる「元祖ピェンロー」のレシピを正確に伝えたもの! 妹尾さんが伝えるそれは、調味料を一切入れない、素材の風味をひとつひとつ生かしたかなりシンプルなものです。どんな味がするか楽しみだなあ!

材料や分量、作り方などの詳細は、ぜひ誌面をご覧になって欲しいのですが、簡単な手順を説明すると次のようなものであります。

【簡単な手順】
まず、干ししいたけを一晩つけたダシ汁を火にかけて、白菜や豚肉鶏肉などを入れて煮込む。白菜が主役なので多めに入れましょう。

この鍋でポイントとなるのが「ごま油」。ごま油を流しいれて、さらに煮込む。仕上げに春雨を入れる。そうすると「ピェンロー」の完成であります。ごま油と、野菜は白菜以外入れないところに、妹尾さんのこだわりが感じられます。

コトコト煮ること数十分。うわあ、すごくいい匂いがしてきた! しいたけの香りとごま油の香ばしい香りが漂い、待ちきれないほど腹ペコになってしまいました。

【コダワリの食べ方】
食べ方ですが、まずはスープを堪能して欲しいとのこと。小さいお椀に塩と一味唐辛子を入れて、そこにスープを注ぎます。まるで水炊きのようですね。

しいたけやお肉の旨みが、ものすごく抽出され、深いながらもまろやかで優しい風味。ほのかに香る、香ばしいごま油の風味も素晴らしい。塩を入れることで、うま味成分がグワーっとひき立ちます! 一味唐辛子を入れると、そのピリっとしたところがやや薬膳スープのようにも感じられますよ。これは、身体の芯から温まります! なんて幸せなひとときなの。

味にうるさい編集部員でさえも一口飲んで「うまいっ!」と心から感心するほど。あっという間に飲み干しちゃいそうです。

【スープと具のバランスが完璧】
次にお待ちかね、スープを注いだお椀のなかに具を入れて食べましょう。白菜はとろ~りと溶けそうなほどに柔らかく、お肉にもダシが十分に染みこんでいます。煮込むほど白菜が溶けて旨くなります。さらに、トロリとした春雨がこれまたスープをなめらかに感じさせて良い! 鍋には特に味付けをせず、塩で食べるというこのシンプルさもたまりません。素材の味を存分に味わえるって、なんて贅沢なんだろうとあらためて思いましたわ。

【残りスープでつくる粥がこれまた絶品】
「スープはすべて飲みたくなるけど大切にとっておいて、お粥にするべし」とあるので、もっと飲みたい気持ちをグっとこらえ、残ったスープのなかにご飯を入れてお粥(雑炊)をつくってみたよ。ポイントは、卵などは入れず「塩だけで味付けすること」だそうです。食べてみると、これがまた絶品すぎるよう! 

写真ではわかりにくのですが、白菜などが十分に溶け出し“とろり” としたスープがご飯に絡んで、ものすごくマッタリした舌触りです。グツグツ煮たあとは、ものすごく熱くなってるのでヤケドしないように気をつけてね!

付け合わせには、大根を麹に漬けた「べったら漬け」が良く合うというので一緒にたべてみることに。くふうっ……ピェンローの優しい風味と、べったら漬けのほのかな甘さが、ものすごいマッチしてるう! ガツガツバリボリ食べたくなってしまうじゃないの! 

そして“のんべえ” なアナタは、この鍋にピッタリのお酒として妹尾さんがオススメする「紹興酒」を飲みながら楽しんでみて! 一緒に食すと、ピェンローの旨味がより完璧になるのですよ、お嬢さん!

シンプルで簡単に作れちゃう絶品鍋。みんなでワイワイ囲みながら食べたら絶対に楽しそうですね! 食べると身体がポカポカしてきて、汗もかいてくるほどに温まります。寒い日には、ついつい食べたくなっちゃう一品です。この冬記者は、少なくともあと5回は作るだろうと確信。みなさんもぜひ作ってみてね!

(料理、写真、文=メル凛子)

▼材料。干し椎茸でしっかりダシをとってね!

▼白菜を多めに入れて、とろ〜り感を存分に味わってみて!

▼フタをして、コトコト煮込むよ!

▼できたーっ!! ごま油やしいたけなどの良い匂いが香ってきます




▼スープだけになったら、ご飯を入れてグツグツ煮込んでみてね!

▼とても滑らかな舌触りに、やみつきになること間違いなし!