ネットで話題になっている「ソーシャルもうええねん」という本をご存知でしょうか。これは、アルファブロガーでもあり、株式会社クレイジーワークスの代表でもある村上福之氏が最近執筆した本です。

内容はタイトル同様にとても刺激的で「正直ここまで言ってしまって大丈夫なのか」と心配になるくらい面白いです。ぜひネットに関わっている人は一度手に取ってみて欲しいのですが、今回はその中でも、筆者が一番インパクトに残ったある章をみなさんにご紹介したいと思います。

■「好きなことをやりなさい」という大人は無責任だ!

「好きなことをやりなさい」という大人は無責任だと思う。どんどん選択肢は減っていくだけだと思う。好きなことは出来ることにだいたい似てると思う。例外もいっぱいあるけど、だいたい似てる。どうして、そう思うようになったのかというと、ぼくが高校のときに読んだ数学の参考書にこう書いてあったからです。

「好きだからできるようになるのではない。出来るようになったから好きになるのだ。」

数学の本にそう書かれると、

「好きか嫌いかは、解けるようになってから言えよバーカ」

という意味に取れなくもないです。ぼくは、この言葉はすごい重要だと思っています。人は、最初、何も出来ません。そして、大人になっても多くの分野で無知です。何も出来ないと、すべてが嫌いになります。何でも出来ると、すべてが大好きになるのかもしれません。若いときに、すごくすごく好きなことを見つけた人はいいのですが、そうではない人の方が多いと思います。だから、若いときに、「好きなことをやりなさい」といわれても、そもそも、好きなことも、出来ることも、選択肢が、少なすぎるのです。

そして、年をとっても、案外、出来ることも好きなことも少ないのです。これは、とてもよくないことです。正直言うと、ぼくはネットのプログラムなんか大嫌いでした。触りたくもないでした。やったことないけど、頭悪そうだし、バカっぽいから。大学でもCGI好きな人はチャラくてコアな技術にあまり詳しくなさげでした。そういう人と飲みに行っても女の話しかしないですし。たぶんメモりやレジスタを知らない人種。女の子に、自分の作った[ホームページ]を自慢げに見せていて、gifのカウンターやCGIの掲示板を設置して自慢げな感じの人たちで、なんか好きじゃない人たちというイメージがありました。

ぼくのようなモテない系の人はC言語でゴリゴリシューティングゲームとか作っていたわけで、得意げにPerlやJavaScriptをいじっている人は「アホそう」に見えました。だから、ネットのプログラミングは、ことごとく避けてました。はじめて、BASICのコードを書いたのは8歳のときでした。しかし、はじめて、サーバーのコードを書いたのは27歳のときです。これで、メシが食えるようになるとは思いませんでした。おかげで、仕事の合間にアホなサイトをいっぱいつくり、まわりからは「アホそう」な人に見られてます。大学生のときに、やっていたらモテていたのかもしれません。

閑話休題。「好きなことをやりなさい」という大人は無責任だと思う。好きなことをやりなさいというのは何も出来ない無限ループになることがある。「とりあえずやってみる人」の方が好きなものを見つけやすいですし、ずっとハッピーな未来があると思う。好きなことしかしないと、どんどん選択肢は減っていくだけだと思う。それが、ぼくの人生の後悔です。(※「村上福之の誠にデジタルな話」より全文引用掲載)

筆者はこの主張にとても共感を覚えました。というのも、これは子供に限った話でなく大人に対しても言えるんじゃないかと思ったからです。例えば、会社で営業をやっていて突然自分と無関心な部署に配属されたとします。この場合、多くの人は、これをネガティブに捉えるんじゃないでしょうか。「営業しかやってないのに、○○が出来るかボケー!」ってね。でもこれもチャンスと捉えられた人はとても強いと思うのです。

また、楽天やファーストリテイリングは社内を英語化にしましたが、これに対してもネガティブな声、疑問視する声が多く出ています。私はこの時、なぜこれをチャンスだと受け止めないかと、思うわけです。

実際に私はある楽天の方(50代)の方と話をしましたが、その方は、飲んだタクシーの中で、電車の空いた時間、トイレの中、もうありとあらゆる空き時間で英語を勉強し、なんと1年弱でTOEIC800点以上を獲得したそうです。全く英語ができなかった人が、「私がやらないと下に示しがつかない!」と自分にプレッシャーをかけてがんばったのです。それからは英語が好きになり、自分の子供たちとも英語で電話をしたりするそうです。やっぱり「出来るようになってはじめて好きになる」これがとても重要だと思うのですね。

そういう意味でも、始めから好き嫌いを分別するのではなく、「とりあえずやってみよう」が全ての人に当てはまると思うだけです。だって、それが将来何かに繋がるかもしれませんからね。

(文 yottokun)

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