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東京・五反田にある、知る人ぞ知る隠れ家的人気フレンチレストランといえば、『ヌキテパ』です。同店は神奈川県三崎の海産物や農産物を使ったお料理に仕上げることで有名ですが、なんと「本物の土」をフルコースにし、お披露目するというのでさっそく行ってきました。

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土のついた野菜は新鮮でとっても美味しそうに見えるものですが、土そのものを食べるのはちょっと抵抗があるのが普通。でもテレビ番組の対決で過去に土を使ったソースを使い勝利したシェフのフルコースなんだから、きっと常識をくつがえすようなコースに仕上がっているはず! はたしていったいどんなお料理が出てくるのでしょうか。美しいロゼ色をしたスイカのシャンパンを飲みながら楽しみに待っていると…。

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まずは『じゃがいもの澱粉と土のスープ』。グラスに入っており、見た目は黒に近い濃い灰色。土が入っていることがすぐに分かります。上に黒トリュフが乗っておりそれをかじって飲むそうです。香りのよいトリュフをかじりスープを飲んでみると、なんということでしょう! まったく土臭さはなく、サラッとしたじゃがいものほのかな味わいのあるシンプルなスープでした。

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ソルティードッグのようにグラスのふちに塩が塗られており、強い塩味を感じた後にスープが口の中をマイルドにしてくれます。これはシェフの腕がわかる一品ですね。土の美味しさというよりは確かな技術を感じました。

お次は『サラダ 土のドレッシング』。簡単に説明するとグリルしたナスやトマト、かぶなどの新鮮な野菜に、土を使ったドレッシングとポップコーンを粉末にしたパウダーがかけられたもの。こちらもビックリしたのは土ではなく、お野菜の美味しさ。トマトは酸味と甘みのバランスが完璧で、ナスもまったくアクを感じさせずとても柔らかにグリルしてあります。

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なんだか土のフルコースを食べに来たのに、土がお料理に使われているのを忘れてしまいそうになるぐらい土っぽさは皆無です。使用している土は安全性を厳重に検査した栃木県鹿沼の黒土らしいのですが、いまのところ「土らしさ」は感じられていません。

そして土の上澄みを使った『海のミネラルと陸のミネラル ハマグリと土の上澄みのジュレ』や『土のリゾット ハタのソテー ごぼうのソース』もいただきましたが、こちらも土の匂いはまったく無し。土って特有の発酵臭がありますが、それはいったいどこへ消えてしまったのでしょうか…。

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デセールに出された『土のアイスクリーム』と『土のグラタン』の二品は、お料理がマイルドな仕上がりだったので甘さを強くしてあるのでしょうか。濃厚な甘さでした。それを食後の『土のミントティー』がさっぱり洗い流してくれる…って、土がさっぱりしてるって不思議ですね。完全に見た目は泥水(失礼)なのに、飲むとミントが爽快なハーブティーなんです。

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マイルドで美味しいお料理と甘いデセール、爽やかなミントティーとすべてにおいてメリハリのあるコースは、さすがヌキテパのシェフが考案したフルコースだと実感しました。

しかし最後まで嫌な土の感じはしなかったのはなぜかというと、コーヒーの残りかすを肥料にしたり、今までは捨てられていたココヤシの繊維を土にしたりと斬新でエコロジーな土を開発しているプロトリーフ社が提供したものだからかもしれません。

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シェフも「プロトリーフ社の協力があってこそできたコース」とコメントしていましたので、ひとことに土といってもさまざまなものがあり、良し悪しもあるのだなと実感したひと時でした。ちなみにいただいた『土のフルコース』はヌキテパへ1週間前に予約すれば、1万円前後で用意してくれるそうです。

「土を食べる」という斬新な体験をしてみたいという人は、ぜひ問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

写真・文:なかの