あいさつは大事! きっと多くの方が、この言葉を耳にタコができるほど何度も聞いたことでしょう。しかし記者(私)は、そのあいさつの大切さをアメリカに留学するまで、なんとなくしか分かっていませんでした。

言い換えるなら、アメリカでの生活を通して、記者はあいさつが持つパワーと、そしてそこから生まれる人の輪の大きさに気づきました。今日は、その外国生活で発見したあいさつの素晴らしさについてご紹介したいと思います。

■アメリカでは、知らない人にも平気であいさつする!?
記者が留学生活のなかで驚き、そして素晴らしいと感じたことはあいさつの頻度です。アメリカでは、面識がある人でもない人でも道や廊下ですれ違ったら、かなりの確率であいさつします。日本であまりあいさつをしていなかった自分にとって、このアメリカの風土は衝撃的でした。しかし慣れてみると、とても気持ちがいいのです!

またアメリカのあいさつには、日本のあいさつとは違ったもう一つの特徴があります。それは相手に答えを求めるあいさつをするというところです。

日本では「こんにちは」や「おつかれさまです」というあいさつをよく使い、相手もそのまま「こんにちは」「おつかれさまです」と返します。つまり、日本では同じ言葉が返ってくるあいさつを使う傾向にあります。

しかしアメリカでは、「How are you?(元気ですか?)」「What’s up?(何するの?)」「How’s it going?(調子はどう?)」のように、相手に答えを求めるあいさつをよくします。ですので、その後に会話が続きやすいのです。例えば、以下のように。

A: How are you? 「元気?」
B: I don’t feel good. 「あんまり気分よくないんだ。」
A: What happened? 「何があったの?」
B: Actually,… 「実は、…」

このようにアメリカのあいさつは、次の会話へと展開しやすいあいさつなのです。記者も実際にこの英語の「会話が弾むあいさつ」を使い、キャンプ場で初めて会った人と仲良くなったり、道で出会った見知らぬ人と30分以上会話したりと、どんどん人の輪を広げていくことができました。

そしてこのあいさつのパワーを知ってからは、日本ではありえなかった「知らない人へのあいさつ」が楽しくなったのです!

■あいさつを忘れつつある日本
こんなふうにあいさつが当たり前になった状態で日本に帰ってきた時、逆カルチャーショックを受けました。周りの人が全然あいさつしてくれないのです。そしてそれにつられて自分もあいさつしなくなり、とても悲しい気持ちになりました。

「日本には昔から “他人に干渉しない” という一種の文化があるのかな。それなら仕方ないか…… 」とブルーな気持ちになっていたのですが、祖父が以前「昔は日本でも、道で会った知らない人に普通にあいさつしてたんだけどなあ」と言っているのを思い出しました。この時、日本はあいさつを忘れつつあるのかもと思ったのです。

今の日本は、他人との接触を怖がり、警戒し過ぎているように見えます。この「対人恐怖症の日本社会」を考える時、いつも思い出すことがあります。

それは記者が小学校5 年生の時のこと。冬休み前に「冬休みの過ごし方プリント」なるものが担任の先生から配られ、そこには「知らない人には注意して、ついていかないようにしましょう」と書かれていました。

それを見て、担任の先生が悲しげに「去年のプリントには『知らない人にもあいさつしましょう』と書いてあったのにね。いつからこうなったんだろうね」と言ったのです。その先生の悲しそうな顔が、実に印象的でした。十数年経った今でも、そのなんともいえない切ない表情が強く心に残っています。

■こういう時代だからこそ、あいさつ!
いつからか日本では、他人との間に心の壁を作ることが当たり前になってしまったのかもしれません。プライバシーの保護、過度な危機管理、インターネットの普及。何が日本をこうしたのかは分かりません。

でもこういう時だからこそ、あいさつを活用すべきだと思うのです。先にも述べた通り、あいさつには人と人とをつなげてくれるとてつもなく大きなパワーが秘められています。これを使わない手はありません。

ひとこと「おはよう!」でも、「元気ですか?」でも、なんでも構いません。まずは周りの人にあいさつしてみて下さい! そしてそのあいさつする相手が5人、10人、20人と増えていくにつれて、あることに気づくはずです。

あいさつするたびに、みんなの顔が笑顔になっていくこと。そして何より自分自身が、一番笑顔になっていることに。

どうですか? あいさつしたくなってきませんでしたか? それでは笑顔の魔法「あいさつ」を使って、自分を含めたみんなをどんどんハッピーにしていきましょう!

(文=パン太)