夏休みに飛行機に乗った記者(私)。華麗に動き回る客室乗務員、通称CAの皆さんを見て「ああ、私も学生のときは華やかな制服を身につけて仕事をする客室乗務員さんに憧れていたよ……」と考えていたのですが、ふと気づきました。

客室乗務員の本来の役割は、いざというときにお客様を誘導するための緊急補助員!(憧れてたから知ってる!) カタール航空やスターフライヤーなど企業によってはパンツルックもあるけれど、なんでスカートの制服が主流なのかしら? 機敏な動きが必要になったときに、パンツの方が楽じゃない? セクハラもされなそうだし。

ということで、航空会社に聞いてみました!

■スカートスタイルの制服を採用している全日本空輸(ANA)の場合

広報室にご連絡をして聞きました。実はANAには昔パンツルックもあったとのこと。でもデザイナーさんと「サービスをする上で “おもてなし” の心を持ちたい」と相談をしていくうちに、自然とスカートになったのだとか。

ただし、作業性を考えて、伸縮性にすぐれ、汗を吸収しやすい特殊な素材を使っているとのこと。機内ではヒールの高さも3〜5センチと動きやすいように決めてあるため、スカートでも身動きがとりにくいということはまったくないそうです。

実はANAは現在、来年度下期からの制服をデザイナーさんと検討中なんだとか。パンツルックがあるかどうかも、今のところ未定とのこと。新しい制服にはどんな工夫があるか、気になるところです。

■ワンピーススタイルの制服を採用している日本航空(JAL)の場合

JALの場合はどうかしら、と広報室にご連絡してみました。以前に記事として紹介しましたが、JALでは2013年6月にワンピーススタイルの新しい制服を採用したばかり。「なぜパンツルックではなくワンピーススタイルなのか?」と聞いてみたところ、「制服はブランドイメージを打ち出す大切なものなので、実際着用する客室乗務員の意見も取り入れながら、デザイナーさんと何度も意見交換をし決めました」とのこと。

今回のデザインも、CAの作業性を重視し作られており、スカートの後ろにプリーツが7枚入っていて、足さばきが楽にできるそう。素材は通気性、伸縮性にすぐれ、自宅で洗濯もでき、アイロンかけもいらないんですって。機内で履くハイヒールの高さは3~4センチの低めのものと決められているため、スカートスタイルだからといって動きにくいことはまったくない、とのことでした

ANAもJALもスカートスタイルに問題を感じていない様子。では、パンツルックの制服を採用している会社にはどんな理由があるのかしら。スターフライヤーに聞いてみました。

■パンツスタイルの制服もあるスターフライヤーの場合

スカートルックの制服を採用している航空会社の方は「機能性に問題はない」とおしゃっているけれど、もしかしたらパンツルックを採用しているスターフライヤーは「機能性を考えた結果」とおっしゃるかも。そんな想像をして連絡をしたのですが、広報室の方にあっさりと「いや、機能性というよりはブランドイメージを考えてパンツルックにしています」と言われました。

うーむ。そうなのか。パンツルックはスカートよりも動きやすいわけではないという判断を各社はとっているのか……。でも実はパンツルックどころか、ジーンズをCAの制服にしている航空会社もあったのです。それはJINAIR。ジーンズはきっと機能性を考えて採用されたに違いない! そう思って電話してみました。

■ジーンズを制服に採用しているJINAIRの場合

連絡をしましたら、窓口のお姉さんがさくさくと教えてくれました。JINAIRの制服はユニクロとコラボした特性ジーンズとポロシャツとスニーカー。機能性を考えてジーンズにしているのか聞いたところ、「いいえ、ジンエアーの『ジン』にかけてジーンズにしています」という驚きの回答が! ジン!

ジーンズの制服のメリットは、お客様に親しみやすいと思ってもらえることだとか。お客様から「スタイリッシュな制服を着ているCAさんだと緊張してしまうけれど、JINAIRのCAさんは話しかけやすいね」と言われることも多いんですって。

考えてみれば……こんなにいろんな素材やデザインが溢れている現在で、動きやすさなんて工夫次第でどうとでもなってしまうものなのかも。それよりも、「服装から、どういうメッセージを発したいか」が重要なのですね。

記者はもはや毎日リラックススタイルで仕事をしていますが、服装から「だらけた人間ですよ」とアピールするのはいかがなものか。リラックスできる「できる女風」スタイルの洋服を探して、「私は仕事ができる女性なのよ」とアピールしたほうがいいのかもしれないと反省いたしました。

結論:飛行機の客室乗務員の制服でスカートが主流なのは、「企業のイメージに合うから」でした!

(取材、文=山川ほたる