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子守りワンコと赤ちゃんの2年半におよぶ成長記録アルバム」とか「一茶くんと ワンコのマルちゃんのお茶丸コンビに世界中が絶賛メロメロ中」など、Pouchでよく紹介している赤ちゃんとペットがぴったりと寄り添いながら成長している画像や動画。癒されますよねえ! 

記者(私)も、もし子どもができたら、我が家の犬たちとともに育てたい。そう夢見ていたのですが、ふと気づきました。以前に「赤ちゃんが生まれるから、ワンコを実家に預ける」という人の話を聞いたことがあるのです。「免疫力が弱い赤ちゃんとは一緒にしないほうがいいらしい」って言っていたような気が……。

実際にはどうなんだろう? 犬や猫を飼いながらの子育てについて、動物病院の先生(獣医さん)に聞いてみました。

お話を伺ったのは、50代の女性の獣医さんと20代の女性の獣医さんのお二人。お二人とも子育ての経験者です。お二人によると、獣医さんの考えることと、人間のお医者さんが考えることには多少違いがあるだろう、とのこと。

たとえば、犬や猫などのペットに関して人間のお医者さんのなかには「ペットはどんな菌を持っているのかわからない」と考える人もいるのに対して、お二人は「野生動物は別としても、家庭内で人間とともに生活している犬猫はそうそうおかしな菌は持っていない」と考えています。

■もともとペットを飼っている状態で妊娠したなら、ぜひ一緒に育ててほしい
お二人とも、数年間きちんとペットを飼っている状態で飼い主さんが妊娠した場合には、ぜひペットとともに子育てをしてほしい、と言います。

実はお二人も、犬や猫を飼いながら子育てをした経験者。とくに動物病院では病気のペットに触れ、預かっていて、お二人は日常的に病気の動物と関わっていますが、動物が原因で赤ちゃんが病気になったことは一度もないそうです。

■出産後、数カ月にわたってペットを預けるのはNG
とはいえ、生まれたばかりの赤ちゃんは抵抗力も弱いからちょっと心配……。出産後に数ヶ月間くらいはペットを実家などに預けたほうがいいのかしら? そう思って聞いてみたところ、「それはむしろしない方が良い」という回答。

なぜなら、ペットにとっては急によそに預けられて、やっと家に帰ったと思ったら、まったく知らない赤ちゃんが「家庭の主役」になっているという環境は混乱のもとだからです。

ペットの性格を考えながら、最初は生まれたての赤ちゃんをペットと別の部屋などで生活させて、少しずつ対面時間を増やしていき、赤ちゃんが飼い主さんにとって大切な存在であると教えていくと、ペットは赤ちゃんを受け入れられます。赤ちゃんにも成長過程に応じて、「叩いたらかわいそうよ。なでなでしてね」などとペットと共存できる方法を教えていくと良いでしょう。

■そもそものペットの飼い方は問われる
ただし、そもそものペットの飼い方がきちんとしていなければ、赤ちゃんと一緒に生活させることは困難になります。たとえば、以下のような場合。
・ ペットのトイレのトレーニングができておらず、あちこちでしてしまう
・ 飼い主さんをベロベロなめることを許している
・ 散歩の後に足をきちんと洗っていない(犬の場合)
・ 完全室内飼い以外の方法で飼っている(猫の場合)
・ トリミングやシャンプー、爪切り、ブラッシングを適度に行っていない
・ ペットの健康管理を行っていない
・ ペットの毛などを、適度に掃除していない
・ ペットが人間に対して非常に攻撃的
・ ペットが飼い主さんと信頼関係を結べていない
・ ペットがワガママし放題になっている
・ 飼い主さんがペットの性格を理解できていない
こういった基本的なことができていない場合には、赤ちゃんに対して不衛生な環境になりますし、危険でもあります。妊娠期間中に訓練をして、できるようになっておく必要があります。

■犬の場合
また、犬と猫ではちょっと違う部分もあります。犬は基本的には飼い主さんなどを「自分の群れの一員」だと思い、優位劣位を考えながら生活しています。そして、犬によって、優劣を強く意識する場合とそうでない場合があります。赤ちゃんを迎える場合には、飼い主が犬の性格を見ながら「この子は群れの一員で、犬よりも上位の存在だよ」と態度で示すことが必要です。

また、特に小型犬など、それまで子どものようにかわいがられてきた犬の場合は、人間の場合の第二子が生まれたときの第一子のように、赤ちゃん返りをすることがあります。そういったときは、人間の第二子出産のときと同様、「赤ちゃんもかわいいけれど犬もかわいいよ」とわかるように接する必要があります。

■猫の場合
猫の場合は、性格によります。子どもが好きな猫もいれば嫌いな猫もいます。とはいえ、猫にとって、一番大切なのは自分のスペースが確保できること。赤ちゃんが猫のスペースを侵さないように配慮すれば、比較的楽に共存ができます。

子どもが猫に意地悪をして、猫が逃げ場を失った場合には引っ掻かれることはあるかもしれません。でも、何もしていない赤ちゃんを猫が襲うことはありません。

■その他の注意点
ペットと共存できると言っても、「妊娠中に新しくペットを迎えるのはお勧めしない」とお二人は言っていました。信頼関係がきちんとできていないのに、赤ちゃんを迎えることで余計なトラブルが生まれるかもしれません。

また、ペットが興味を持って赤ちゃんに近づいてきたときに、強く𠮟るのはよくないそうです。ペットがせっかく赤ちゃんに対して心を開いているのに、「親しくしてはダメなんだ」と思い込ませてしまうからです。通常の場合、ペットの方から攻撃することはありません。過剰に反応するのはNGです。

それから、赤ちゃんがペットのトイレやえさ皿、吐瀉物をなめたりすることのないように、トイレには赤ちゃんが近づけないようにしたり、えさ皿や吐瀉物は適宜片付けたりすることは必要です。ただし、「親御さんは非常に嫌な気持ちになるでしょうが、もし排泄物を赤ちゃんが触ったりなめてしまったりしても、死ぬようなことにはなりません」と獣医さんたちは言っていました。

■ペットを飼いながら赤ちゃんを育てることにはメリットも
ペットを飼いながら赤ちゃんを育てることにはメリットもあります。子どもが動物の老いや生死を間近で見られることの情操面でのメリットは、いうまでもありません。

また、以前にNHKスペシャルでもやっていましたが、実は1歳になるまでに動物園などに連れて行って、家畜や小動物のフンに含まれる、「エンドトキシン」という成分が空気の中に浮遊している状態におくと、免疫システムを成熟させる効果があるそうです。ペットと一緒に生活することで、同じ効果が期待できるかもしれないと、獣医さんはおっしゃっていました。

■ペットの性格などから、赤ちゃんと共存できないと判断しても保健所などに連れていかないで!
獣医さんたちは「実は、赤ちゃんが生まれたからと、ペットを保健所などに連れて行ってしまう人がいる」と教えてくれました。保健所に連れて行くと、ほとんどの場合は殺処分になります。出産による持ち込みだけではありませんが、全国の保健所に持ち込まれて殺処分になる犬猫の数は年間合計約30万匹。安易にペットを保健所に連れて行くのは絶対に避けたいもの。

ペットの性格上どうしても共存が難しい場合は、妊娠期間中にきちんとしつけて清潔にし、責任感のある人を捜して飼ってもらえるようにしたいものです。

いかがでしょうか。今ペットを飼っている人で、これから赤ちゃんを迎える予定の方は、ペットと赤ちゃんの暮らしを迎える準備をしてみてくださいね!

<まとめ>
・ 数年飼っている犬、猫の場合で、しつけ・健康管理・信頼関係ができている場合は、ペットがいる環境で赤ちゃんを出産し子育てしても問題なし!
・ 赤ちゃんとペットを少しずつ慣れさせて共存させていくことが大切
・ ペットを飼いながら子育てをするのには、情操面、免疫力UPの面からメリットもある

(取材、文=FelixSayaka
画像:flickr= Jacobim Mugatu