いつの時代も、「美味しいごはんを食べる」ことは幸せなものです。けれど、時にはそんな幸せを打ち消すような、哀しい出来事が襲うこともあります。

ディナーがのどを通らないほどの哀しみに打ちひしがれる人たちを見つけたら……みなさんはどのように行動するでしょう? 今日ご紹介するのは、アメリカで静かな感動を呼んでいる、たった1枚のメモです。

アメリカの、それなりに上等なレストランでのこと。そこに勤める某ウェイター氏は、母と娘と思われるふたりの女性がテーブルで泣いていることに気づきます。

とはいえ、客のプライバシーに踏み込むことはあってはならない。彼は、どうしたものかと困り果ててしまいます。

そのときでした。別のテーブルの男性が、「勘定を」と言ってウェイター氏に伝票……そして1枚の走り書きを手渡したのでした。そこには、こうありました。

「お願いがあるのだが、どうかあちらのお勘定も私につけていただけないか。どうやら今ちょうど、どなたかがひどく重い病気だと判明してしまったらしい。彼女たちにはどうぞ内密に」

そう、この紳士は、哀しみにくれている母娘のディナー代を内緒で払ってあげることにしたのです。

楽しいディナー中のはずのとなりのテーブルから、聞こえてくる沈痛な会話と嗚咽。彼女たちのごく近い身内……おそらくは夫(父親)……に死期が迫ったこと、それを彼女たちはたった今知ったのだということに、この紳士は図らずも気づいたのでしょう。そこで、名乗らないままにささやかなプレゼントをしたというわけ。なんて、スマートな。

ウェイター氏は、感動のあまり思わずこのメモを撮り、imgurにアップします。そこに添えられた彼のコメントは「Faith in humanity, restored.(人の優しさなんてものがまだこの世にあると、また信じられるようになった)」。

掲示板「reddit」では、この画像に1日で2000を越えるコメントがつきました。目立つものをざっと拾ってみることにします。

「なんて優しい心、なんて優しい行動……」
「人間はひどい生き物にもなれるけど、信じられないくらい優しい存在にもなれるんだね」
「誰だってほんとは、こんなふうにちゃんとした心ってものをもってるはず」
「イヤなやつが目立つだけで、素敵な人はちゃんといるものなのかもね」
「ちょうどこのあいだ母が末期がんの宣告を受けて、それがどんな気持ちかよくわかった。俺もこういうことがあったら、迷わず同じことをするよ」

たまには、こんな心あたたまるお話もいいものですよね。自分もちょっとだけ勇気を出して、できるだけ人に親切にしたいと思わされた記者でありました。

参考元:imgur / reddit
(文=纐纈タルコ)
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