RUSH
[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのはF1レーサー、ジェームズ・ハントとニキ・ラウダの実話を映画化した『ラッシュ/プライドと友情』(2月7日公開)です。

「F1映画? 男子向けじゃない?」と思うでしょう。いやいや、それが違うのです。これは男女関係なく、ライバル関係がいかに人生を豊かにするか、充実させてくれるかということを描いた人間ドラマなのです。

【物語】
ジェームズ・ハント(クリス・ヘムズワース)とニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)はF3の頃からお互いライバル関係にありましたが、性格は正反対。ハントはプレイボーイで、いつでもどこでも女を口説いてエッチしちゃうような男で、直感で走る天才肌レーサーです。ラウダも天才肌ではありましたが、生真面目で神経質な彼は、走るコンピューターと言われるほど計算通りに走る男でした。

常に優勝争いをしていた二人にとって運命の年になったのは1976年。この年、雨のドイツGPでラウダは大クラッシュをして大怪我をしてしまうのです!

【神様に守られた天才ニキ・ラウダ】
レース好きにとってジェームズ・ハントとニキ・ラウダの1976年の闘いは忘れられないものだそうです。特にラウダの事故は大きな衝撃で、映画でも事故とその後の治療シーンはかなり生々しくえぐいもので、記者は思わず目を覆いましたよ。命を落としてもおかしくない状況だったのです。

でもラウダはハントに勝ちたかった! だから、苦しみ抜いた末に不死鳥のごとく甦ったのです。これが実話だなんて信じられないと思ったけど、同時に天才は神様に守られているのだなとも思いましたね。ラウダはレース界にとってなくてはならない存在だったのです。

【F1界、最強のチャラ男ジェームズ・ハント】
プレイボーイのハントは、ラウダに比べるとドラマティックな人生ではありませんが、ド派手な女性関係を繰り返しながらも、天性の勘とテクニックで優勝争いに食い込んでくるあたり、やっぱりかっこいいんですよね。社交性があり愛嬌もあるので憎めないというか、モテるのもわかるな~と。ブロンドの髪をなびかせて歩くハントにはスターのきらめきがあり、ドキドキさせられましたよ。

【ライバルが人生を輝かせる!】
ニキ・ラウダとジェームズ・ハントは「アイツにだけは負けない」という思いが、レーサーとしての原動力になっていたようです。切磋琢磨し、しのぎを削る闘いを繰り広げる相手がいたからこそ、それぞれ120%の力を発揮できたのかもしれません。

そして、このライバル関係は男だけのものじゃない。女にだってあてはまるはずです。二人を見て思いましたね、「勝ちたい」「超えたい」という思いが、その人を成長させ、人生を豊かにするだと。記者はこの映画を見ている間、「自分も宿命のライバルがほしい」とさえ思いました。向上心を刺激してくれる相手がいるって素晴らしいことなのですね!

【ハントとラウダは陰と陽の関係】
ダニエル・ブリュールは「人生の危機を乗り越えたニキ・ラウダを演じられて、名誉だったし、この経験は自分を一生励ましてくれると思う。でもハントはモテたから、自分としては男のエゴがちょっと傷つくこともあったけどね(笑)」と語り、クリス・ヘムズワースは「二人は陰と陽の関係だったんだ。無理やり鏡を見せられ “正しいことをしているのか” と問いかけられているような感じだよ。ハントは遊び人だったけど同時に繊細で弱い一面もあった。矛盾を抱えているから演じがいがあると思ったんだ」と。なるほど!

1976年の王者が決まる試合は、なんと日本GP、富士スピードウェイ。豪雨の中でのニキ・ラウダとジェームズ・ハントの闘いは、もう本当にレース場にいるような臨場感! ライバルのいる濃厚な人生って素晴らしい! この感動を味わいたかったら、ぜひ劇場で『ラッシュ/プライドと友情』見てくださいね!

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『ラッシュ/プライドと友情』
2014年2月7日公開
監督: ロン・ハワード
出演: クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール、オリヴィア・ワイルド、アレクサンドラ・マリア・ララ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、クリスチャン・マッケイほか
(C)2013 RUSH FILMS LIMITED/EGOLITOSSELL FILM AND ACTION IMAGE.ALL RIGHTS RESERVED.

【おまけ】会見の様子でございます

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