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3月29日(土)・30日(日)の2日間、ヨコハマおもしろ水族館(横浜市)にて「第3回深海祭り in 赤ちゃん水族館」が開催されていました。

このイベントでは、「焼津の深海おじさん」こと長谷川久志名誉館長が来館し、さまざまな楽しい企画を実施。珍しい深海ザメの解体ショー&トークショー、深海魚専門漁師と飼育員による館内探索ツアー、深海生物タッチコーナーなどなど盛りだくさん。

そのなかでも、目玉は「深海生物おもしろ試食体験」なにかの虫にちょっとだけ似ていることで有名な「オオグソクムシ」さんを、唐揚げで食べられるとのこと! ちなみに、5年以上もエサを食べずに過ごしたことで世間の注目を浴びた「ダイオウグソクムシ」さんは親戚筋です。

そんなネタを編集長から振られても目を合わせないチキンだらけのPouch編集部で、白羽の矢が立ったのは、幼少期よりイナゴを食べて育ったわたくし(記者)であります。調査、行ってきました!

■ まずは基礎知識! オオグソクムシってどんな子?

「節足動物門甲殻亜門軟甲綱等脚目スナホリムシ科」に分類されるオオグソクムシさん。甲殻亜門、つまりは一般にいう「甲殻類」なので思わずエビさんやカニさんを連想しますが、「等脚目」のなかまにはフナムシさんや、ダンゴムs……ワラj……ええと、すなほりむし、ってなんかかわいいですね! いつもは水深150mから600mぐらいの深海の底をトコトコ歩いているのだそうです。ちなみに、世界で初めて発見されたのはここ日本なのだとか。

■ いただくまえに、オオグソクムシさんとふれあうラブタイム

「まずはさわってみましょうね」……水族館スタッフに案内された場所には、オオグソクムシさんたちと直接触れあい☆ラブ体験、ができるコーナーがありました。水槽には20匹ほど、ふわ~っと這っている(泳いでいる?)たいへん元気なみなさまが。大きさは携帯電話くらい、ボディは薄い紫色をしています。簡単に言うと、シャコ×ダンゴムシ=オオグソクムシ。

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思ったよりも柔らかいさわりごこち、そして意外と言っちゃ失礼かもですが、無臭です。ひっくり返すと、本数多めの足がカシャ、カシャカシャと動いております。指を持ってくると、カシャッ! とつかんでくれました。とても愛らしいです。でもざんねん、ここでお別れです。唐揚げの調理方法を見てくるのです。

■ オオグソクムシ唐揚げへの道(作り方)

調理場へ行くと、駿河湾から直送されたオオグソクムシさんがてんこもり。調理方法はいたってシンプル!

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熱した油に豪快にドバーッと、グソクムシを投入! あっという間に火が通り、愛くるしいボディは薄紫色から白色に。クリスピーに揚がったら、塩・調味料をかけて完成です。

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漂う香りはエビのそれに似ていつつ、少しだけ土っぽい匂いを混ぜたような感じ。うーん独特の香り。あっ、こころなしか、丸まっていた手足が伸びている気が……。
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■ スタッフはつらいよ? ~初のグソクムシ料理に戸惑ったあの頃~

グソクムシ料理が初めてだった、調理人さんや女性スタッフのみなさま。中には、虫嫌いな方も……「虫(ムシ)苦手ですけど、無心(ムシん)でやりました!」なんてけなげに語るスタッフさんたち。深く同情申し上げます。
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ところで、同館のツイッターで「オオグソクムシの唐揚げやるよ★」というツイートをしたところ、予想をはるかに超える大反響が! さすがに無視(ムシ)できず、当初予定していた量より多く作ることになり、心の負担がちょっとだけ増えたそうです。深く同情申し上げます。

■ オオグソクムシの唐揚げを食べてみた

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さてさて、料理ができたようです。運ばれてくる、変わり果てた姿のオオグソクムシ!! よーしさっそく食べてみよう!……と思ったのですが、一体どこから食べれば良いのやら……。背中は思いっきり硬そうだし、お腹一面には足が密集!! 食べにくいよ!! 「殻は硬いので、外しても大丈夫ですよ~」と言われましたが、ここは女らしく頭からがぶっといきました! 

「バキッバキッ…バキッ! ウォガッ!? バキバキぱきぱき……」
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めっちゃくちゃ噛み切りにくい。そして、想像どおり思いっきり硬い。身を感じることがまったくできません! そして、痛い!! 無数の足なのか、殻なのか、頭なのか、口なのか、とりあえず何かが口に刺さってくる~。

重要なお味なのですが、エビに近いけどエビじゃない……エビの風味を薄く感じ、そして調理場でかいだにおいと同じ、土みたいな鉄みたいな味がアクセントになっています。

しかしこの唐揚げ、とてつもなくかたいので、噛み砕くのに結構時間かかりました。顔が筋肉痛になるんじゃないかってくらい、噛んで噛んで噛み続けました。身は全体の20%くらいですかね。ほっとんど、かたい殻や足です……。

■ オオグソクムシ唐揚げはデートでもイケル味!?~あなたと僕で半分こ~

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記者がひとりでオオグソクムシを堪能していると、可愛らしいカップルが見つめ合って「バキッバキッ」と唐揚げを食べあっている! しかも一匹のオオグソクムシを頭と尻尾で半分こにしている! エエェエ、その青春風景って、たいやきとかでやるやつじゃん!? 彼女、笑ってるけど抵抗ないのか? 思いきって声をかけてみました。

記者「お味はいかがですか?」
カップル「意外と美味しいです!」
記者「今日のデートは一生の思い出ですね」
カップル「2時間並んでよかったです!」
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2時間並んで「オオグソクムシ唐揚げデート」って、なんて斬新なんでしょう。そしてこのラブラブカップルから感じる、この感情……噛みすぎて痛くなったのはアゴではなく、記者のハートなのでしょうか……それともアゴの成長期……?

ということで、今回ご紹介したオオグソクムシの唐揚げは、ヨコハマおもしろ水族館で期間限定でのご提供でしたが、今後のイベントで再登場する可能性もあるらしいです。その折にはぜひ参加してみてください! カップルにもオススメですよ★

取材協力:ヨコハマおもしろ水族館/第3回深海祭り in 赤ちゃん水族館
取材・撮影・執筆=百村モモ (c) Pouch
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

▼動画もありますのよ♪ 調理中の様子などもございます。