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フレンチレストラン、というだけでは、もはや感動ポイントにならなくなった昨今。でもね、やっぱり超本格派の高級フレンチだと違うと思う。本格派だと、もはやタダの料理を超えて、インスタレーションアート的なものになると思うのです(想像だけど)!

でも、庶民な記者にはなかなか行けない……。そんなところに高級フレンチ「レストラン イリエ ル ジョワイユー」がPouch編集部に試食会のお知らせを送ってくれたので、志願してフランス人と一緒に試食してきましたよ。

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表参道駅から徒歩2分の「レストラン イリエ ル ジョワイユー」はオシャレで高級感漂うお店。試食会に集ったどこかの編集部の皆さんは、高級ブランド品を身につけた皆様ばかり。記者、ファストファッションで行っちゃったよ、超場違い。いやいや、誰も記者のことなんて見てないね!……と気を取り直して臨みます。

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「レストラン イリエ ル ジョワイユー」のシェフは、入江誠さん。その師匠は世界的に名高いピエール・ガニェールというシェフなのです。ガニェール氏は前衛的で斬新なフランス料理を手がけることから「厨房のピカソ」と言われているんだとか。その愛弟子・入江さんもその流れをしっかり受け継ぎ「食をアートするシェフ」と評されているとのこと。やっぱり、アートなわけですね!

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そんな食のアーティストにぶつけるPouch側の持ち駒は、フランス人一般男性。弱っ! ただし彼は一般庶民ですが、仕事の事情で長らく高級ホテル住まいをしていたため、ちょっと味にはうるさいとのこと。ということで、海原雄山並に手厳しく評価してもらいましょう!

■ いざ、試食!

試食の品は「鮎のマリネ 蓼のアロマ 焼き茄子のバヴァロアとトマトのジュレ」、「“大地のコンソメ”白樺水とジャガイモのエッセンス」、「バニラの香るマンゴーのスープ ホワイトチョコレートのムース」の3品。なんだか、料理名からしてアートっぽいよ! 「“大地のコンソメ”白樺水とジャガイモのエッセンス」はスペシャリテ(※)。

※スペシャリテとは、シェフの得意料理のこと。レストランの「顔」となる看板料理であり、たいていの場合はそのシェフらしさが凝縮された一品になります。

<鮎のマリネ 蓼(タデ)のアロマ 焼き茄子のバヴァロアとトマトのジュレ>
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焼き茄子のバヴァロアの上に、鮎の白バルサミコ酢のマリネとトマトのジュレが乗った一品。みじん切りのきゅうりとオリーブがトッピングとして使われており、蓼のソースの緑が見た目にもさわやかです。
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フランス人「こんな繊細な魚の味は初めてだよ。フランスの魚はもっと大味。だから、こんなフレンチは日本でしか味わえない。フレンチの手法と日本の食材のマリアージュだ! そしてこのコンビネーション。焼き茄子のバヴァロアは滑らかなのに香ばしい風味でトマトのジュレの爽やかな香りとよく合う。きゅうりとオリーブの食感が楽しいアクセントとなり、まさに初夏の味! シャポー・バ!(=脱帽)

<“大地のコンソメ”白樺水とジャガイモのエッセンス>
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白樺の樹液を濾過した白樺水と、北海道のジャガイモの皮から抽出したコンソメスープを、クネル(芋餅)とフォアグラ、トリュフとともにいただく一品。コンソメスープはテーブルでお皿に注いでもらいます。
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フランス人「すばらしいスープ! さっぱりしているにもかかわらず、白樺水の甘さと引き出されている旨味がすごい。もっちりとしたジャガイモのクネルをスープの旨味が包み込んでいる。素朴なスープにフォアグラの濃厚な旨味と香り高いトリュフがベストマッチ。いくらでも飲みたい。ブラボー!(手を叩く)」
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<バニラの香るマンゴーのスープ ホワイトチョコレートのムース>
ホワイトチョコレートのムースにマンゴーのオレンジ色のソースがかけられ、乗せられたスミレの紫色がはっと目を引く美しい一品。
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フランス人「なんと爽やかなデザート! 甘さとソースの酸っぱさのバランスが絶妙。実はマンゴーもホワイトチョコも嫌いだが、これならいける。トレビアン!」

フランス人、全体的に大絶賛でした。

■ フランス人、激怒!

ただし、フランス人としては1点だけ気になることが。雄山!

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フランス人「鮎のマリネの器が悪い! カップが適当すぎる! 高級フレンチたるもの、器にもこだわるべし!」

記者「あ、それは試食だからですよ」

フランス人「(記者の言葉なんか聞いちゃいない)高級フレンチは、日本の茶道みたいなもの! 器も雰囲気も全部味わうアートなのだ〜!! そしてもっと食べたい! 高級フレンチのポーションは少ないものだが、それにしても量が少なすぎるっ!」

記者「それは……試食会だから」

フランス人「パン、おいしいね。おかわりしたい」

レストランの皆さん、素人ですみません……

■ リーズナブルな価格設定のコースでもスペシャリテが味わえる

6月9日から12皿のデギュスタシオンコース(12000円/税・サ別)、4皿のプリフィクスコース(6000円/税・サ別)、5皿のプリフィクスコース(7000円/税・サ別)で、このスペシャリテが味わえるんですって!

考えてみたら、6000円のコースがあるなら「一生行けない」っていうところではないよね。しかもその値段なら、わざわざ一張羅を着ていく必要もないでしょう。一張羅を着て「高級フレンチ、行くどー」な気分を味わうのもいいけれど。

ちょっと贅沢したいという気分のときに、味覚を使ったインスタレーションアートを楽しむつもりで出かけてみたらいいのではないか、と記者は思いました。あ、くれぐれも行っておきますけれど、残念な器と少ない量は試食用だから、ですよ。

【店舗情報】
店舗名:レストラン イリエ ル ジョワイユー
場所:港区南青山5-5-4ルーチェ南青山2F
アクセス:表参道駅 A5出口から徒歩2分A13番出口徒歩5分

取材、執筆=山川ほたる (c) Pouch