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愛すべき昭和レトロカフェシリーズ、今回ご紹介するのは上野にある「高級喫茶 古城」という喫茶店

このお店、何がすごいってオープンしたのが1963年。今からおよそ50年以上も前! しかもシビれるのが、店内にはステンドグラスやシャンデリア、大理石の壁など贅を尽くしたヨーロピアンな空間が広がっており、その内装はほぼ開店当初のままだということ。

上野駅から徒歩2分の場所にヨーロッパ貴族の宮殿のような喫茶店がある、ですと……!?

取材してみたいのはやまやまだけど、そんな歴史ある喫茶店、お願いしたところでデヴィ夫人のようなマダムに「アータ、アタクシのようなお店を取材するだなんて10万年早くてよ。オーホッホッホッホ」と一蹴されはしないだろうか。

そんな危惧を胸に電話してみたのですが、トントン拍子にOKをいただき、さらに「その時間に来るなら、当日はウンとお腹空かせてきてね」とおっしゃるママ……気さくすぎて震えた。ワタシ、飲食店の取材なんてもうかれこれ数十件はしてますが、こんなこと言われたの初めて。いや、もちろんいただいたぶんはきちんとお支払いいたしますけどもね(経費で)!

■ “ザ・昭和の純喫茶”的な店がまえ

JR上野駅の浅草口を出て徒歩3分。現代的なオフィスビルやホテルのすぐ裏手に「高級喫茶 古城」の古めかしい看板が! 書体といい看板の年季の入り具合といい、ここだけ“ザ・昭和”なオーラがヤバイです。さあ、階段を降りて地下の異空間へ!

■ いよいよ中世ヨーロッパの古城へと……

階段を降りる際、目の前には2枚の大きなステンドグラスが。ロシア皇帝らしき白馬に乗った男性と貴婦人らしき女性がそれぞれ描かれています。圧倒されつつ店内に入ると、中はさらにすごいことに。天井から下がる重厚なシャンデリア、自然のままの姿をさらす大理石の壁、そして店の奥にはまたまた一面に広がるステンドグラス。店名のごとく、まるで中世ヨーロッパの「古城」のよう!

■ くつろぐビジネスマンたち。本棚には漫画本が

とはいえ、当然ここは中世のヨーロッパではない。トーキョーの上野にある喫茶店「古城」。なので、店内にいるのはたたかい途中のジャパニーズ・ビジネスマンたち。他には上野駅を利用する旅行者やこの近所に住んでるようなオジサンとか。そして、薄暗い店内で目をこらすと、本棚には『カイジ』『代紋』『じゃりン子チエ』といった漫画本が! ヨーロピアンな非日常的ゴージャスさの中に昭和の喫茶店的光景が当たり前のように広がっている……一見、ミスマッチな感じなのになぜかこれが馴染んでるから不思議! そして、それがとてつもなくイイ!!

■ 名物は開店当初から変わらぬミックスサンド

ランチとして記者は開店当時からメニューにあるというミックスサンドを注文。作り方は50年間ほぼ変わっておらず、ハム、たまご、トマト&キュウリの3種類のサンドイッチがならぶ、とても王道なミックスサンドです。他に、最近はナポリタンも人気のメニューだそう。食後にはぜひともコーヒーを。男性は青、女性は赤が使われるコーヒーカップは、これまた開店当初からのもの。年代物のカップで飲むコーヒーはなんだかオトナで贅沢なひとときに浸れます。
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■ オーナーの松井京子さんに話をうかがった

現オーナーの松井京子さんは2代目。先代は彼女の父親で、「ステンドグラスは美術全集を見てデザインを選んだり、石屋さんまで足を運んで大理石を見つくろったりと、父はとにかくこだわりを持って作っていましたねぇ」と話します。その背中を見て育っただけに、「この先もできる限り続けたいとは思ってるんですけど」とのこと。その後、「だから一緒にお店を切り盛りしてくれて経営にもたずさわってくれる人がいないかと思ってるんだけど……どうやって見つけたらいいかしら?」と真摯なまさざしで聞かれ、非常に返答に困るというひと幕も。ホントにとても気さくで愛らしいママさんです!

きらびやかなヨーロッパ調の内装・装飾品と上野の“昭和的純喫茶”感が絶妙にマッチしている「高級喫茶 古城」。上野界隈にはまだまだこうした昔から続く本格的な喫茶店が残っているんですね。

【高級喫茶 古城】
TEL:03-3832-5675
住所:東京都台東区東上野3-39-10
営業時間 8:30~22:00(日曜・祝日定休)

取材・撮影・執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch

▼外観。この書体、年季の入った看板に50年という歴史を感じます!

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▼いざ、階段を降りて地下の店内へ!

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▼階段の手すり下にある真ちゅう製のライオン! 等間隔で並んでいるとはゴージャスすぎッ!

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▼階段の壁には2枚の大きなステンドグラスが。店内に入る前の段階でここまで手が込んでいるお店を他に知りません……

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▼まさに古城のような広い店内。シャンデリア、ステンドグラス、大理石の壁などすべてが特注品。50年前に作られたことを考えるとただただ感嘆!

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▼本棚には漫画も。『カイジ』『代紋』『じゃりン子チエ』などのタイトルが。オーナーの松井さんいわく「だってやっぱり喫茶店にはあったほうがいいでしょ?」……このおおらかさが通い続けるファンを持つ理由かも

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▼今はめずらしい黒電話。しかも実際に鳴っていてさらにビックリ

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▼喫茶店の3点セットといえば、おしぼり、灰皿、お冷や。店内は分煙になっていないのでタバコの煙や臭いが苦手な方は注意

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▼開店当初からの人気メニュー・ミックスサンド。タマゴが薄いオムレツっぽくなっているのがユニーク

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▼2代目オーナーの松井京子さん。気遣い抜群の気さくなマダムです

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▼上野駅ってなんだか独特の哀愁があるよね。昭和な雰囲気を浸りたいときはお出かけしてみて♪

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▼実は歌手の吉川晃司さんが訪れたことも。映画やドラマのロケでも何度も使われているみたい

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