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近年、よく耳にする “クール・ジャパン”。マンガやアニメ、原宿ファッションなどの日本独自のポップ・カルチャーが海外でウケている現象をさす言葉ですよね。

しかししかし。その流れは今に始まったことでなく、すでに230年前の1791年にはあったっていうからビックリ! えーーーっ、萌えもゆるキャラもツンデレも、すでにすべて江戸時代に生まれてたとしたら……それがホントなら、たしかに超絶クールだわ!

今回レビューするのは、そんな江戸時代の “クール・ジャパン” をビンビンに感じ取れるシリーズ本2冊。その名も、『江戸マンガ1 芋地獄』と『江戸マンガ2 人魚なめ』。コレ、当時お江戸でブームとなっていた黄表紙を “江戸マンガ” と解釈して現代語に超訳しちゃったすんごい本なんです!

そもそも黄表紙とは何かというと、今で言うところの大人向けの絵本。絵と文とセリフがそばにあって、まさに現代のマンガそっくり! だから絵柄をそのままにして、文章を現代語に超訳し吹き出しをつければ……あらっ、今でもマンガとして面白く読めちゃうじゃん、というわけ。

で、実際にこの江戸マンガを読んでみた私(筆者)。ゆるキャラにツンデレなどの個性的なキャラクター、ギャグとダジャレの連発、荒唐無稽なストーリー展開……江戸時代、フリーダムすぎでしょ!

だって、里芋やサツマイモ(擬人化されてる)が地獄の責め苦を受ける「芋地獄」とか、浦島太郎と鯉との間に生まれた人魚が遊女になって騒動を巻きおこす「人魚なめ」とかですよ!? うーん、これは今の不条理系ギャグマンガやライトノベル的世界観に通じるものがあるような、ないような。

ちなみに、この「芋地獄」(元タイトル『一百三升芋地獄』)も「人魚なめ」(元タイトル『箱入娘面屋人魚』)もどちらも原作は山東京伝。日本史では「松平定信が行った寛政の改革の出版統制により手鎖の刑を受ける」などと習いましたよね? どんな半政治的なアツイ思想を持った漢(オトコ)かと思いきや、里芋のゆるキャラとかツンツンした人魚とか描いてるだなんて何それかわいい。これだから江戸時代っておもしろーい!

江戸時代の “クール・ジャパン” をめいっぱい楽しめる『江戸マンガ1 芋地獄』と『江戸マンガ2 人魚なめ』は小学館から好評発売中日本って230年前からヘンタ……クールだったんだ、と再確認できちゃうこと間違いナシ!

参考:『江戸マンガ1 芋地獄』と『江戸マンガ2 人魚なめ』(小学館)
執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch

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