101SHINKAIGYOCOVOBI1.eps
昨年話題になったダイオウイカをきっかけに、引き続き関心が集まっている深海生物。一見グロテスクな見た目や、謎に包まれた生態など、なんだか興味をそそられちゃうんですよね。

そんなわけで、今回は8月1日に発売予定の、深海生物をフィーチャーした新刊「深海生物 ~捕った、育てた、判った!」をご紹介します。著者は2011年にオープンした沼津港深海水族館の館長、石垣幸二さん。“海の手配師”と呼ばれる方だけに、思わず「へえ~!」とうなってしまうネタが満載なの。

まずは皆さま、“深海”ってどこを指すかご存じでしょうか?

同書によると、「植物プランクトンが光合成できる限界とされている、水深200メートルより深いところ」。つまり、そこは太陽の光がほとんど届かない世界なんです。そんな暗黒の中で生きる深海生物には不思議な生態を持つものが数知れず。

例えば、ダンゴムシに似たダイオウグソクムシは、1年以上も食べずに生きることができるのだとか。以前ツイッターをきっかけに、ダイオウグソクムシを模したウインナーが人気になったのは記憶に新しいところだけど、そんな特徴があったとは! ちなみに、深海水族館でもめったに見られないらしいけど、お腹を上にして背泳ぎするとの情報も。

深海水族館では長生きさせるために、赤いライトで飼育されているダイオウグソクムシ
ダイオウグソクムシ3

深海生物の不思議な生態に加え、いろんな深海魚を食べてみたお話や(リュウグウノツカイは油っこくてマズイそう……)、足を広げると3メートルにもなるタカアシガニを海外に送る際、もともとは150万円もかかる輸送費を工夫して10分の1以下に抑えたエピソードなど、目からウロコが落ちること間違いなし。深海生物マニアでなくともサクサク読めちゃうんです~。
タカアシガニ

採るのも育てるのもとっても難しいとされる深海生物を、船で漁師さんたちとともに捕獲するところから、試行錯誤を重ねて飼育し、展示するところまで情熱を傾ける石垣さん。

もともとは、幼いころから親しんだ海への思いが捨てられずに、海の生物を扱う仕事に就いたのがはじまりだったそう。水族館や大学の研究用に生体を供給するサプライヤーを経て、深海水族館の館長になった経緯も波瀾万丈で、読み応えのある内容です。

これから深海水族館や、他の深海にまつわるイベントに訪れる予定のある方には特におススメの一冊。読んでから行った方が、きっと何倍も楽しめます‼

画像=沼津港深海水族館 公式サイト
参考:「深海生物 ~捕った、育てた、判った!」(小学館101ビジュアル新書)
執筆=沢野ゆうこ(c)Pouch

ほかにもこんな生物が紹介されているよ!

▼色鮮やかで、観賞用魚として人気の高いニシキフウライウオ
ニシキフウライウオ

▼深海というより、宇宙の生物のようなメンダコ
メンダコ

▼海藻のような姿が美しいリーフィーシードラゴン
リーフィーシードラゴン1

▼こちらが沼津港深海水族館
深海水族館外観