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「イルカは人の言葉をまねられる」。そんな驚きの事実を世界で初めて証明し話題となった、シロイルカ(ベルーガ)の「ナック」をご存知でしょうか。

もともと、シロイルカにまつわるこんな逸話がありました———。とある水族館で、シロイルカの飼育係が1人で作業していた。するとどこからともなく「○○(※飼育員の名前)!」と呼ぶ声が。しかしそこには誰もいなかった……シロイルカを除いて。

実際、シロイルカなのか幽霊なのか、それともただの気のせいだったのか定かじゃありませんが、シロイルカは“海のカナリア”と呼ばれる、様々な鳴き声でコミュニケーションを取る動物。そのため、人間のマネをして鳴いたということも考えられるそうです。これは海外の水族館の話ですが、日本の水族館にいるシロイルカたちも、飼育員にドンドン話しかけてくるとのこと! 何を言っているかは不明だけどね。

ということで、世界でも類を見ない「声マネができるシロイルカ」の「ナック」に会いに、鴨川シーワールドへ行ってきました! ちなみに、鴨川シーワールドは日本で初めてシロイルカの飼育展示を実現した場所なんですって!
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【シロイルカのナックと初対面】

初めてシロイルカの目の前にしましたが、とても大きい。日本では「シロイルカ」と呼ばれていますが、海外では「ホワイトホエール」とも。つまりクジラの仲間なのです。クジラとイルカの種類分けの境界線は曖昧ですが、5m以上あるとクジラに分類されるとのこと。ナックは実際5mほどありかなり大きい。正直ビビリました…。

【シロイルカはとってもやわらかいのだ!】

「シロイルカの頭を触ってみてください!」と飼育員さんにすすめられたものの……飼育員さんの触り方、かなり豪快。触っているというよりは、押している! もうボスンボスンと! ナックの頭が押されるたびベコンベコンへこんでいきます! い、痛くないのか、ナックよ!! つぶらな瞳に問いかけてみたが、よくわからない! えぇいッもう触ってしまえ! ……やや、やわらかい! 弾力はあるもののかなりのやわらかさ。なんだかゴムボールという感じです!
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そもそもシロイルカはカラダ全体がやわらかい。彼らは本来氷に覆われた北極圏の海域に生息しており、氷の多い海をケガなく泳げるように適応したのだとされているそうです。特にあたまには「メロン」という脂肪がたっぷり入っている組織があり、おでこのところがぷっくりと膨らんでいます。

【ナックに話しかけてみた!】

いよいよお話(正確に言うと声マネ)の時がやってきました。果たして記者の声に反応してくれるのか。飼育員さんの指示通り、ナックに語りかけます。

記者「ピヨピヨ」
ナック「ピヨピヨ!」
記者「おはよう」
ナック「おはよう!」
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か…感動しました。ナックはハッキリわかる口調(鳴調)で「ピヨピヨ」「おはよう」と鳴いてくれました。驚きだ!! 声マネではあるものの、動物が言葉を発するなんて誰もが夢みた瞬間なのではないでしょうか。夢見る少女じゃいられない記者もこの瞬間少女に戻れました。

飼育担当の方に「関西弁のおはようでもナックは反応しますか?」と聞いてみたところ、やったことがないのでわからないそうです。ぜひどなたか挑戦してください!
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【なぜ“声マネ”出来るシロイルカが誕生したの?】

世にも不思議なシロイルカの誕生について、副館長の勝俣浩さんにお話を伺ってみました。
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勝俣浩さん「鳴き声を録音し、同じ鳴き声で返せるか、シロイルカたちに挑戦させてみたところ、ナックはそれをやってのけたのです。他にも今までに聞かせたこと無い音を聞かせてみると、ナックはその音もマネをすることができました」

記者「ナックには素質があったのでしょうか?」
勝俣浩さん「もともと、ナックは見本と同じものを対象物から選ぶという訓練を20年以上おこなってきたため、“マネる”という行為を理解しています。だから、音を聞いたときも同じ音を出す、という行為の理解が早かったのではと考えられます」
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これらは東海大学海洋学部教授の村山司さんと鴨川シーワールドの長年にわたる研究活動の賜物。この研究から誕生した「しゃべるイルカ」という存在に、多くの子供たち・大人たちの目が輝き続けているのです。

しかし……これだけでは終わらない! まだまだ研究は続いているのです!

【今後は“意思”を伝えられるように……!】

シロイルカのパフォーマンス的には、話せる言葉の種類を増やすのではなく、村山氏の実験成果をわかりやすく皆さんにご紹介していきたいとのこと。さらに今後は動詞・形容詞を出来るようにし、「意思」を表現したいそうです。

夢がとまらない素敵な場所「鴨川シーワールド」。シロイルカのショーでは実際に話しかけられることも可能! 動画でもその様子が伝わると思うけど、やっぱり直接見に行って欲しいところ。気になった方は、ぜひシロイルカのナックに会いにいってみてくださいませ。

【取材情報】
<鴨川シーワールド>
営業時間:9月16日〜11月16日 9:00〜17:00(※10月12日は9:00〜18:00)
定休日:12月9日~ 12月11日
住所:千葉県鴨川市東町1464-18
電話:04-7093-4803

取材・撮影・執筆=百村モモ (c)Pouch

▼白イルカのさわり心地は「豆腐」に例えらるそうです

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▼ちなみにイルカのさわり心地は「濡れた茄子」に似てるらしい

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▼服を着たままダイビング気分を味わえる館内

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▼鴨川シーワールドはどこでもオーシャンビュー

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▼ビールも飲めるぞ

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▼動画も撮影してきましたよ! ぜひご覧あれ