m0000000739_large
[公開直前☆最新シネマ批評・インタビュー編]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選して、監督インタビューをお届けします。

今回ピックアップしたのはモナコ公妃グレース・ケリーの王室の裏側と公妃としての生き方をクローズアップした『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』(11月18日公開)。この映画を演出したオリヴィエ・ダアン監督にお話しを聞いてきました。一流女優からプリンセスという女の花道を歩んだグレース・ケリー。しかし、グレースの生きたプリンセスの世界は、表向きの華やかさとは裏腹に様々なことがあったようで……。グレース・ケリーは幸福だったのか? ダアン監督が思い切り語ってくれました。

【物語】

1956年、ハリウッドの人気女優グレース・ケリー(ニコール・キッドマン)は、モナコ大公レーニエ3世(ティム・ロス)と結婚。グレースは女優からプリンセスへの転身を遂げます。そして6年後。夫婦は二人の子供に恵まれたけれど、政治的な発言を含め、自分の意見をはっきりと言うグレースは社交界で居心地の悪い思いを抱いていました。そんなときにヒッチコック監督から女優復帰の依頼が舞い込み、グレースはやる気を見せますが……。

_MG_2333

【人生におとぎ話は存在しないんだ】

クラシックな美貌で一世を風靡した女優グレース・ケリーは美しいだけじゃなく、演技力も卓抜しており、アカデミー賞主演女優賞も受賞したことのある真のスター女優。その彼女がモナコ公国のプリンセスになったわけですから、当時はそりゃ大騒ぎだったでしょう。まるで夢物語みたいですからね。でも『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』を見ると、果たしてグレース・ケリーはモナコ公国に嫁いで幸福だったのか……と思ったりして。この映画についてオリヴィエ・ダアン監督はこう語っています。

「ハリウッドスターからプリンセスなんて、本当におとぎ話のようです。でも僕はこの映画できらびやかな世界の裏側に焦点を合わせたかった。人生におとぎ話は実在しません。そのような世界に生きるためには代償があるのです。そこを僕は描きたかったんですよ。まあ、そのせいでモナコ公国との間ではこの映画を巡って、ちょっと軋轢もありましたけどね」

確かに映画でグレースは社交界では浮きまくり、モナコの税金問題に苦しむレーニエにはかまってもらえず、ただ静かに子供の面倒を見ていなさいと言われてしまいます。ヒッチコック監督からの復帰の誘いが彼女にとっての光でしたが、それさえレーニエはいい顔をしません。でもダアン監督はこの夫婦の姿は特別じゃないと語ります。

「僕はこの映画を通して、リアルな夫婦の姿を描いたつもりです。よりよい夫婦関係を維持するためには多少の犠牲も必要。でも大抵の犠牲は女性が払っています。アンバランスですよね。グレースは本来アーティストですが、レーニエと結婚をして、自分のキャリアを諦めました。夫と妻は人生において求めている物が違ったら、どちらかが何かを諦めないといけない。グレースは自分が折れたのです。そんなグレースを見て、今の女性はどう思うか、とても興味がありますね」

【グレースはとてもポジティブな女性】

ダアン監督は「プリンセスの闇」を強調しますが、それでもグレースには隠しきれない華やかさがあったはずだし、夫婦関係を維持できたのは闇の中にもきらめく物があったのではないかと思うのですが、それについては……

「グレースは楽天家だと思います。と同時にポジティブな女性です。女優のキャリアは諦めたけど、この映画で描かれている夫婦の危機を自分から動いて乗り越えようとしましたからね。僕は、夫婦のピンチのときに闘うのは女性だと思います。僕の中では女性とポジティブは同義語なんですよ。そう思いませんか?」

突然、監督から同意を求められてビックリしましたが、確かにレーニエと歩んで行く!と決めてからのグレースはモナコ公妃としての自覚がよりいっそう目覚めて、夫を支える妻として、またモナコ公妃としての仕事を全うしようとエンジンがかかった感じがしました。レーニエはそんな妻に驚きながらも感謝の瞳……という。夫婦の危機を救うのは妻なのです。それをグレースはこの映画を通して証明しているというわけです。

【公妃が女優に復帰できなかった理由】

ダアン監督はグレース・ケリーが復帰できなかったことをとても残念に思っているようです。

「彼女が復帰していたら、いい映画にたくさん出演して、長いキャリアを積んでいたでしょう。本当に残念ですよ。レーニエ大公と結婚するときは、ときどき映画出演してもいいという暗黙の了解があったはずなのに……。でも実際は政治的な問題、モナコのイメージもあって男たちの思惑で復帰が不可能になってしまったのです。みんな男たちの思惑なんですよ!」

ダアン監督はとても熱く語っていました。監督は女性の味方なんですね~というか女性が好きだし理解したいという思いが強いようです。監督に今度実在の人物を映画化するとしたら誰ですか?と聞いたら

「いま探しているのです。魅力的な実在の女性を教えてほしいくらいですよ。(男性は?と聞いたら)男性?興味ないんだよね(笑)」

女性の味方!オリヴィエ・ダアン監督の描いたモナコ公妃の生き方『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』は、ニコール・キッドマンがとても美しく、彼女の衣装カルティエ、ディオールの衣装も素敵過ぎてウットリ。ぜひ女同士で見て語り合ってほしい映画です。
執筆=斉藤 香(c) Pouch
sub3_large

m0000000739_sub2_large

m0000000739_sub1_large

『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』
2014年10月18日より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
監督:オリヴィエ・ダアン
出演:ニコール・キッドマン、ティム・ロス、フランク・ランジェラ、パス・ベガ、パーカー・ポージー、マイロ・ヴィンティミリアほか
(C)2014 – STONE ANGELS