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漫画家しりあがり寿さんが、フランス・パリで開催される葛飾北斎の展覧会「Hokusai」に伴って制作したゆるめ~しょん「Voyage de HOKUSAI(北斎の旅)」を、あなたはもうご覧になられたでしょうか。

ゆるめ~しょん、つまりゆるいアニメーション作品である、同作。エリック・サティ「ジュ・トゥ・ヴ」をハミングしながら、軽やかに、そしてゆるやかに登場したのは、ほかでもない葛飾北斎さんです。

一糸まとわぬ姿でくるりくるりと身をひるがえし、時に笑い、時に歌い踊りながら人生を旅する北斎さん。彼のイキイキとした姿を、しりあがりさんがあの独特のタッチで、ゆる~く描いています。

【フランス語を話す北斎さん、一体どんなことを語っているの?】

行き交う人々、さらには北斎さん自身が描いた浮世絵作品をバックに、「ららら~♪」と美声を披露する北斎さん。かと思ったら、今度は流暢なフランス語でペラペラペラ。

北斎さんの声を担当されている劇団大人計画所属の俳優、宮崎吐夢(とむ)さんのツイッターによれば、フランス語の台詞には、以下のような意味があるとのこと。

「北斎は旅が好き。山が好き。海が好き。歌が好き。踊るのが好き。転ぶのも好き。跳ぶのが好き。空を飛ぶのも好き。とりわけ、絵が好き。ホントにホントに好き。何よりも好き。北斎は北斎が描いた絵が好き。北斎は絵を描いてる北斎が好き。絵を描くのが好き。絵を描くのが好き。絵を描くのが好き。そして、北斎は生きることが好き」

【生きることを全身全霊で楽しむ北斎さんが愛おしくてたまらない……!】

ああ……! 北斎さんのくちびるからこぼれた言葉の意味を知ると、同作がより意味深いものに感じられます……。

生きる喜びに溢れ、人生を丸ごと愛した北斎さん。貪欲に、心の赴くままに、最期の時まで大好きな絵を描き続けた北斎さん。描いて描いて、また描いて、生きることを謳歌した北斎さん。そんなアナタを観ているだけで、なんだか胸がいっぱいになってきちゃったよぅ……。

【茶目っ気たっぷりの日本語台詞にもキュン♪】

そしてね、宮崎さんの声がまた、しりあがりさんの描いた北斎さんのイメージにぴったんこ。そのふわんとした声で「セシボ~ン、サラボ~ン、オジ~オスボ~ン」とか言っちゃうの、ずるいわ。「浮世絵~萌え萌え~モエシャンド~ン」「北斎ぃ~、漫画、浮世絵、たくさん描いたよぉ~」とか言っちゃうの、聞いてるだけで、萌えちゃうわ。

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【最後に大きな感動が待っている!?】

思いっきりゆるくて、なおかつ思いっきりギャグ要素が散りばめられている。それなのに、ラストシーンに来た途端なぜか、胸が詰まるほどの感動を覚えてしまう。北斎さんは大変アバンギャルドな作品を描かれる方であったし、彼もきっと、同作を心の底から楽しんでくれるに違いない。観終わった瞬間、そう、記者は強く思いました。

双方のファンの方はもちろん、ありとあらゆる人々の心の深いところをギュっと掴んで離さない同作は、必見。それでは大変お待たせいたしました、北斎さんとの6分間の旅を、下記サイト上にて心ゆくまでお楽しみくださいませ。

参照元:Fréquence HOKUSAI- VOYAGE DE HOKUSAI 宮崎吐夢さんツイッター
執筆=田端あんじ (c)Pouch