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先日ご紹介した、世界最強(一部例外あり)の男、フランク三浦。そのフランク三浦さんに「世界最強の男の心にガツンと響いた商品があったで」とご紹介いただきました。その名も、半殺しチゲ。何ですか!? その攻撃的なモノは?

調べてみると……作っているのは日本最古の本みりん専門醸造所、九重味醂さん。

みりん、つゆ、たれ、リキュールといった、やさしい和食の香りがただよってきそうな商品が並ぶサイトですが、そのあちこちに毒々しく黒いバナー。「半殺し」「取り扱い注意」「R18」という物騒ワード。浮きっぷりがハンパないぜ! 

なぜ、みりん屋が! なぜ、半殺し! 気になって仕方がなくなった記者、九重味醂さんの名古屋営業所へインタビューに参りました。

■ そもそも、どうしてみりん屋さんが?

応対してくださったのは、半殺し商品を取り扱っているとは思えない、爽やかな笑顔のYさん。単刀直入にお伺いしました。

――九重味醂さんって、みりん屋さんですよね? どうしてこんな「半殺しチゲ」なんてものをを作っちゃったんですか? 誰の発案なんですか?

「社長です。社長が激辛好きなんです」

――激辛好きは個人の自由ですけど、それを自社商品にしちゃいますか? 誰か止めなかったんですか?

「おっしゃる通りなんです。うち、みりん屋さんでしょ? って思いましたけど、社長が……」

――Yさんも食べてみましたか?
「営業なのでモチロン試食しましたが……僕は無理です。うまみがあるのは一瞬わかりますけど、ダメです。痛いです」

自社の社員も、しっかり半殺しにされた模様。試食用にと、この半殺しチゲと上等のみりんを頂戴いたしました。

■ いざ、実食! 果たして半殺しにされるのか?

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・誰も来てくれない……
わが家で半殺しパーティーを開催しようと計画したところ、「綾部(記者)の家で半殺しにされる」という誤った情報が流れてしまいました。40人近くに声をかけたのに、誰も誘いに乗ってくれません。

・それなら、プロに作ってもらおう!
一人でお鍋は寂しい。しかも、孤独死ならぬ孤独半殺しにされるのは嫌でございます。そこで、名古屋錦のダイニングバー『蘆花』さんに無理をお願いして、持ち込んだ半殺しチゲを板さんに作ってもらうことにしました。

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「半殺し」というキーワードに心が躍ったという大阪出身の板さん。とっても張り切ってくださいまして、豚バラ・白菜・豆腐・糸こんにゃく・えのき・しいたけ・ジャンボしめじ・にら・下仁田ねぎ・ズッキーニ・ぜんまい……と、超豪華食材で半殺しチゲを仕立ててくれました。おいしそう!

・なんと、最初に半殺しにされたのは……
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今回、チゲの本場、韓国出身の友人S君をご招待。「家ではよくチゲを食べてましたよ」と余裕の笑顔のS君でしたが、お豆腐を一口食べた瞬間、箸が止まり、挙動不審に。

「……無理です。僕のチゲDNAが粉砕されました」

S君の頭からはスポーティーな汗がダラダラ。お皿には手をつけず、お水とおしぼりをおかわりしています。その姿を見た店長さん、「僕、匂いだけで汗が出てきたから止めとく」と、不戦敗をきめこむ始末。

・激辛好きが認める辛さ
隣のテーブルにも激辛好きのお客様がいらっしゃったので、おすそ分け。激辛にはだいぶ耐性がある記者も、一口……

おおう! これは! ピリッというより、ザクッときます! いつまでも口内を攻撃し続けるのではなく、最初の一撃がとんでもないヤツです。この辛さは「ハバネロパウダー」だ! これは挑まれている……みりん屋の社長に挑まれているぞッ……!

食事と暴力のギリギリのラインを越えそうで越えない、絶妙な激辛さ加減です。激辛っていっても、ただ辛くするだけだったら、いくらでも辛くできるわけなんですよ。でも、それって、食べ物を粗末にしている気がしちゃうんですよね。さすが、料理のおいしさをひきたてるみりん屋さんが作っただけある。激辛好き一同、大変感激いたしました。

・アレンジ自在の半殺しスープ
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この半殺しチゲ、辛さをメインにしているので、味そのものはとてもベーシック。いろんなアレンジが楽しめます。まずは板さんの提案で、硬めにふかしたジャガイモを入れ、バターを載せた小皿でいただいてみることに。

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これがイケる! 舌を刺すハバネロパウダーがバターの油分でマイルドになるんです。チゲDNAが粉砕されたS君も、バターだれで復活。不戦敗をきめこんでいた店長さんも「これなら大丈夫そう」とトライしてくれました。

ポイントは、お鍋に直接バターを投入するのではなく、バターを入れた別の取り皿を用意すること。お鍋の味は変わらないので、バターとは合わない食材が入っていてもおいしくいただけます。

「合わせ味噌を入れたり、シジミなんかの貝類を入れてもいいんじゃないかな、みりんを入れて甘くすると、より韓国っぽいチゲになる。鍋スープひとつでこれだけ楽しめるとは思わなかった」と、板さん。

シメにはチーズと角切りトマトを入れてリゾットに。イタリアンっぽいさわやかなお味に、皆さん、さっき半殺しにされたのを忘れて完食でした。

■ 続編にも期待!

すっかり満足した記者。九重味醂のYさんに、他の商品はないのかとお伺いしました。例えば、超絶激辛の「皆殺し」バージョンとかさ。すると、

「皆殺しにしたら、二度目がないじゃないですか。リピートしてもらわないといけないので、半殺し程度で収めておきました」

とのこと。ごもっともですね。

「そのかわり、チゲ以外の半殺しシリーズも考案中です」

おお! それは楽しみ! 懲りずにまた半殺しにされたいと思います。

・そういえば、あの人も半殺しにされたの?
記者にこの『半殺しチゲ』を教えてくれたのは、世界最強の男、フランク三浦さんでした。彼もまさかの半殺しにされたのでしょうか? すると、こんな返答が。

「辛いは辛かったけど、俺は全く問題ナシでっせ! 俺はタバスコやワサビチューブの一気対決でも勝った男やからな!」

……えっ。何と戦っていたのでしょうかね、彼は。

この半殺しチゲ、九重味醂さんのオンラインサイトと、楽天サイトでご購入いただけます。店頭では、なんばグランド花月と、ヴィレッジヴァンガードの一部店舗で販売中ですぞ!

協力=九重味醂フランク三浦、蘆花
取材・撮影・執筆=綾部 綾 (c)Pouch