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福岡県といえば、あの白濁した豚骨スープと特徴的な細麺の「博多ラーメン」が押しも押されぬ定番グルメであることは周知の事実ですが、味はもちろん、その価格帯の安さが他県を圧倒するものであることはご存知でしょうか。

その筆頭にあったのが今年4月、42年の歴史に幕を下ろした「勝龍軒」(1968年創業)。創業当時から100円でラーメンを提供することで全国のラーメンマニアの中でも有名な存在でした。残念ながら同店は閉店してしまいましたが、現在でも200円~300円台と激安価格のラーメン屋は福岡県民にとっては特に珍しいものではないのだとか。

そこで、Pouch記者が実際に福岡へ行き、いずれも300円以下で食べられる「膳」「18ラーメン」「はかたや」のいわば激安ラーメン御三家を調査してきました。

◆御三家~其の壱~【膳】

1998年(平成10年)に誕生し、今では「安い博多ラーメンといえばここ」と博多っ子たちが口をそろえておすすめする「膳」。現在福岡県内に4店舗、佐賀県に1店舗を構えるチェーン店で、入れ代わり立ち代わりお客さんで混み合う繁盛店です。

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こちらのラーメンの価格は280円。豚肩ロースの自家製チャーシューは5ミリほどとかなり薄く、食べ応えは求められませんが、トロッと溶けるような食感は病みつきになります。

丁寧に炊かれた豚骨スープは麺が隠れるほど白濁し、一見濃厚な味を予感させますが、実際の口あたりは見た目よりもあっさりしており、軽く豚骨のコクを感じる程度。豚骨と相性のよい生ニンニクを入れて、パンチの効いたスープに仕上げるのもアリです。

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自家製の細麺は、「生」から「バリやわ」まで7段階から選べます。「生」の場合、ゆで時間はたったの10秒ともはや湯にくぐらせる程度。一方、180秒間しっかりゆでる「バリやわ」は、豚骨スープを吸い上げまるでにゅうめんのよう。噛まずに飲み込めるほどに歯要らずです。

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◆御三家~其の弐~【18ラーメン】

「18」と書いて「いっぱち」と読みます。現在県内に4店舗を構える、1965年(昭和40年)創業の老舗博多ラーメン屋です。こちらのラーメンは驚異の250円と、おそらく福岡で最安値といえるでしょう。

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ハムと見紛うほど薄いチャーシューとたっぷりの青ネギが乗ったベーシックな博多ラーメン。スープから漂う野性的な香りが特徴的ですが、豚骨特有のざらつきは全くなくさらっと飲めます。100円の替え玉を入れて2度楽しみたいラーメンです。

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麺はプリッと弾けて歯切れがよいストレートタイプ。濃いめの豚骨スープをしっかり吸い、するすると食べ進められます。

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卓上にあるゴマと自家製ラー油を入れて「オリジナル担々麺」に変身させると、マイルドな豚骨スープがキリッと締まるのでおすすめ。

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◆御三家~其の参~【はかたや】

先に紹介した「膳」の姉妹店で、1976年(昭和51年)に「安くて、早くて、美味しくて、いつも食べられる便利な店」をコンセプトにオープンした「はかたや」。今回紹介する3店舗の中で唯一24時間営業で、現地では「はかラー」の愛称で親しまれています。

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290円の博多ラーメンは、丁寧なアク取りで嫌な臭みを排除した豚骨スープがポイント。朝から食べられそうなほどライトな淡麗系で、豚骨が苦手な人の入門編にもよさそうです。

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チャーシューはお情け程度の薄さで箸で持ち上げるとちぎれてしまうほどでしたが、値段を考えれば相応かと思われます。麺は多加水の細麺ストレートで、一般的な博多ラーメンの麺です。

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激安博多ラーメンの聖地、福岡。なんとも羨ましい限りです。気になった方は福岡でその味を確かめてみてください。

撮影・執筆=井上こん(c)Pouch