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今年1月3日(土)から2月8日(日)までシリーズで放送されてきた、NHKスペシャル「NEXT WORLD 私たちの未来」。

我々の身の回りで日々誕生する、新たなテクノロジー。それらが今後の未来に、一体どのような影響を及ぼすのか。ワクワクするような未来になるのか、それとも不安になってしまうような未来がやってくるのか。

世界の科学者たちに広範囲な取材を行ったドキュメントと、それらを裏付ける再現ドラマで構成された同シリーズは、大好評のうちに先日ラストとなる第5回目を迎えました。

その第4回目、「人生はどこまで楽しくなるのか」に登場した「デジタルクローン」、こちらが今現在もなお、ツイッターを中心にじわじわと話題になっているみたいなの。

【ライフログを元にもうひとりの自分を作りだす】

「デジタルクローン」とは、人生の記録「ライフログ(Lifelog)」をデータで保存、死後はその記録を元にして、デジタル空間上に人工知能で意識・人格を再現したもうひとりの自分「デジタルクローン」を作ろうとする試みのこと。

【クローン形成には、ブログやツイッターなどのSNSデータも用いられる】

データとして使われるのは、心拍数や体温などの生体情報、画像に動画、音声そして位置情報。さらには日記的なブログやツイッターなどSNS上のデータも含まれており、これらを総合したデータが、自分自身のデジタルクローンを作りだしてくれる。これはつまり、死してもなお、自分の分身が生きているようなものであるわけで。

【デジタル空間に自分の “コピーロボット” が誕生する!?】

理論上では自分自身ではない、けれど限りなく自分自身に近いそれは、いわばアニメ「パーマン」に出てくる「コピーロボット」(アラサー以降のみなさまはご存じよね?)。自分の意思を持って話す、自分とほぼ同じ人間がもうひとりこの世に存在する。それを「不老不死のようだ!」「大切な人が亡くなっても、これなら寂しくない」と歓迎する人、複雑な思いで受け止める人、色々な人がいるようなの。

【ツイッターの声】

ツイッターを覗いてみると、以下さまざまな意見がずらり。

「デジタルクローンって死者への冒涜にすぎないんじゃないの データで復元した魂をネットの海に蘇らせるなんておぞましい」
「コピーロボットが4つくらいあれば全ての趣味と仕事を同時に進められるんだが」
「命の概念はどうなるんだろう、手塚治虫やモーツアルト、太宰治でも永遠に新しい作品を作り続けたんだろうか」
「怖いなぁ……」
「残された身として、寂しさがより増えそうな気がするんだけど、どうなんだろう」
「結局クローンは本人とは別のもの」
「デジタルクローンは人格といえるのかなぁ?」
「罪悪感も永遠に保持し続けたら地獄だろうな」
「デジタルクローンと言うよりデジタルゴーストだよなあ。 ワンマン社長とかが自分のそれを残して、ずーっと会社を経営してたらやだなぁ」
「一見すると故人の偽物だけど、人間は他者を自分の意識内でしか捉えられないから(他人が偽物か本物か判断するのは自分次第)、結局は同じことなのかもしれない」

さらに一方では、次のような意見もチラホラ。

「これまでの全部のツイートをかき集めてデジタルクローンつくったらどんな人間ができるかな」
「自分がデジタルクローンになったら語らなくてもいい変なことをデジタル故に言いそうで怖いわ」
「デジタルクローンこわすぎ……だって死んだ後も自分が残るってことはさ、死んだ後もずっと黒歴史刻み続けるんでしょ……こわすぎ無理」
「ツイッターとかにdisりポストが多いとデジタルクローン作るときにそれ拾われて人格復活されるのやだなあ。気をつけよーと」

【普段とは異なる人格をSNS上で操る方々が戦々恐々】

……このように、おもにツイッターを中心としたSNSにおいて、普段の生活で見せている自分とはかけ離れた発言を繰り返している人。もっと言えば、全く別の人格を操っている人。そういった方々が、自分の発言をもとにデジタルクローンを作られたら困る、そう吐露されているようなのです。

【再生されちゃ困る人格なのね……】

日本におけるツイッターユーザーは、その多くが本名を使用していないことは、よく知られています。それゆえに、発言もより自由に、過激に。さらには妄想の中のもうひとりの自分、それを安易に作り出せる場所として使用している方も、おそらく少なくないのでしょうね。

同番組にて放送された再現ドラマに「デジタルクローン」が登場するのは、2045年。さてこの先、一体どのような未来が待っているのでしょう。楽しみでもあり、やっぱりちょびっと怖いなぁ……。

参照元:NHKスペシャル「NEXT WORLD 私たちの未来」
執筆=田端あんじ (c)Pouch