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人間誰しも、腹を切ってでも謝りたいほどの失態を犯してしまうことってありますよね。しかし、毎度毎度切腹していては命がいくつあっても足りないわけで。

そんなとき、なんとか切腹せずに相手に許してもらうことってできないものか。しかも、できることならこちらが受けるダメージは最小限に留めたい……!!

そんな虫のよすぎる話ないだろうって? いやいや、それがあるんです。今回ご紹介するのは、新橋にある老舗和菓子店「新正堂(しんしょうどう)」が出している、その名も「切腹最中(せっぷくもなか)」! あまりに強烈なネーミングに興味を持った記者(私)、実際にお店にうかがってみました。

【なぜに「切腹最中」?】

一度聞いたら忘れられないインパクトの「切腹最中」。いったいなぜこのような商品を? 発案者は三代目店主・渡辺仁久さん。新商品として最中を作ることになった際、お店の周辺が忠臣蔵の浅野内匠頭が切腹した田村右京太夫のお屋敷跡だったことから、「切腹最中」という名前を思いついたのだそう。

【お詫びの品としてヒット】

店主・渡辺さんいわく、「発売前はそんな縁起の悪い名前、売れるわけないと家族や周囲から猛反対に遭った」とか。しかし2年半の説得の末、1990年に販売スタート。今ではそのネーミングが逆にお詫びの品として人気を博すように。大きな損失を出した証券マンが得意先にお詫びに行く際に持っていったところ相手に怒られずに許してもらえた、なんてエピソードもあるほどなのです!

【店長の「忠臣蔵」愛がスゴい】

今回、店主の渡辺さんに実際にお話をうかがったのですが、とにかく忠臣蔵への思い入れがスゴイ! 江戸時代の古地図を取り出して「ほら、ここに田村右京太夫邸と書いてあるでしょ?」と教えてくださったり、忠臣蔵について解説しながら「このときの垣見五郎兵衛(かきみごろべえ)がもうカッコよくてさあ!」なんて語ってくださったり。しかもこれが面白くて、私、すっかり話に聴き入ってしまってました。

【「義士ようかん」なる商品までも!】

さらにさらに。こちらのお店、切腹最中だけではなく「義士ようかん」なる商品まであるんですよ! これ、赤穂四十七士になぞらえ、なんと47パターンのパッケージを用意。ひと箱にひとりずつ大石内蔵助や堀部安兵衛の絵が描かれていて、なんと箱にあるQRコードを読み取るとその人物のプロフィールがわかるという作り込み具合! 

このプロフィールを47人分書いたのは、もちろん店主の渡辺さんです。こだわりぶりがスゴすぎるよ……!!

【「切腹最中」を食べてみた!】

記者も「切腹最中」、購入して食べてみました。商品の名前にふさわしく、あんこが皮からはみ出るほど詰まっているビジュアルにまずビックリ。そして、食べてみると中におもちが入っていてまたビックリ。甘い粒あん、柔らかなおもち、しっとりとした皮のハーモニーが絶品です。ただのユニーク商品ではなく本当においしくて、これは手土産に喜ばれそう!
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ここでひとつ豆知識を。実は3月14日は「切腹最中の日」! 浅野内匠頭が吉良上野介への刃傷事件から切腹することとなったのがこの日。日本記念日協会も制定しているれっきとした記念日なんですよ。ホワイトデーのお返しにお悩みの皆さん、今年はちょっと趣向を変えて、日ごろの感謝とお詫びを込めて切腹最中を贈ってみるなんていかが?

参照元:新正堂
執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch

▼「新正堂」外観。JR新橋駅から歩いて5分ほど。大正元年創業の老舗!

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▼名物の「切腹最中」

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▼「切腹最中」と「景気上昇最中」のセットを買ってみました

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▼手にしてみるとこのずっしり感。中にはやわらかなおもち入り!

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▼義士ようかん。歌川国芳の武者絵をもとにした四十七士の絵入り。1本から購入可能、味はほんねり、さくら、赤穂の塩、黒糖、抹茶の5種

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▼店主・渡辺仁久さん。切腹最中の考案者!

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▼渡辺さんに見せていただいた古地図。たしかに「田村右京太夫」の文字が

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▼ほかにもさまざまなお菓子が。忠臣蔵ゆかりの地めぐりのひとつにする人も多い

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▼この巨大切腹最中を店頭に置いてホワイトデー商戦に臨むとのこと!

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