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大正から昭和初年代を中心に活動した幻の画家、橘小夢(たちばなさゆめ)。

その謎に満ちた全貌に迫る書籍「橘小夢 幻の画家 謎の生涯を解く」、さらには初の画集「橘小夢画集 日本の妖美」が、3月27日(金)、河出書房新社より発売されます。

その名前を知らなかった、聞いたこともない、という方がおそらくほとんど。なにせ橘小夢は、まるで世に出ることを阻まれているかのような悲劇に、次々見舞われているのです。

【初めて画集の刊行が計画されたのは、大正12年】

当時、日本の伝説に語り継がれる美しくも妖しい世界を好んで描き、一部の愛好家から熱狂的な支持を受けていた小夢。大正12年には画集の刊行が計画されるまで人気を集めていたのですが、ここでまず1つめの悲劇、 “関東大震災による原画の焼失” が起こります。

【不幸に次ぐ不幸が、世に出るきっかけを阻むことに】

その次に刊行されるはずだった画集は、なんと編集者が原画を紛失したため(!)実現せず。続く昭和7年には版画の自費出版を始めた小夢でしたが、1回目の作品「水魔」は発禁処分に。……とまあこのように、絵に描いたような災難続きのせいもあってか、遺された作品は少なく、また世間から広く知られることもないままここまで来てしまったみたいなの。

【運命の転機は2年前】

ところが今から2年前、テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」に掛け軸が出品され高評価を獲得、出身地の秋田で初期の作品が多数見つかるという運命の好転が。これをきっかけに、橘小夢作品が再評価され始め、このたび初の画集出版に至ったそうなのです。いやはや芸術って、いったいどこでどうなるか分からないと言いますか……でもどうせだったら、生きているうちに評価されたかったでしょうねぇ……。

【展覧会も開催されるよ~~~】

書籍と画集の刊行により、長らく人々の目に触れることのなかった禁断の世界、その扉が一気に開かれようとしています。

なお、4月3日(金)から6月28日(日)には、東京文京区にある弥生美術館にて、展覧会「日本の妖美 橘小夢展 ~幻の作品を初公開~」も開催される模様。画家・橘小夢に興味を惹かれた、そんなあなたはぜひ、こちらにも足を運んでみてはいかがでしょうか。

参照元:河出書房新社 PR TIMES
執筆=田端あんじ (c)Pouch