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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回は人気漫画家・水城せとなの原作漫画を映画化した『脳内ポイズンベリー』(2015年5月9日公開)をピックアップ。

ヒロインいちこの脳内のネガティブ、ポジティブなどの思考を擬人化するという突拍子もない物語で、いちこが悩めば悩むほど、脳内の思考である5名があーでもないこーでもないと会議をするという、なかなか珍しく楽しい設定のラブストーリーです。いちこの恋愛中、どんな脳内会議が繰り広げられるのかに注目です。

【物語】

いちこ(真木よう子)はアラサーで携帯小説を書いている作家。ある日、飲み会で出会って気になっていた年下の早乙女(古川雄輝)を偶然見かけてドキドキ。すると「話しかけよう!」「いや自分のことなんて覚えてないって」といちこの脳内で会議が始まった。

ネガティブ(吉田羊)、ポジティブ(神木隆之介)、記憶(浅野和之)、衝動(桜田ひより)、優柔不断な議長(西島秀俊)がエキサイトする中、ポジティブが発動して声をかけることができ、やがて二人は付き合うことになるのですが……。

【奇想天外な設定の中のあるある感】

最近、女子向けの日本映画は漫画の映画化が多く、そのほとんどがラブストーリー。でも正直、似たようなものが多いな……と感じていたことも確かで。

『脳内ポイズンベリー』も漫画原作ですから、最初は「またか」と思っていたのですが、このキテレツなタイトルはちょっと只者じゃない感があり、原作漫画を知らないまま試写を鑑賞。これが脳内の思考・感情が擬人化されているというキテレツな映画だったわけです。

いちこの現実の恋物語そのものは、年下男子と大人の男の狭間で揺れ動くというありがちなものなのですが、いちこが何か選択を迫られるたびに、彼女の脳内のネガティブさんやポジティブさんたちがあーでもないこーでもないと言いあい、彼女の背中を押したり、行いを止めたりしている様が面白い。

恋愛で岐路に立たされたとき「みんな、こういうとき、どうしているんだろう」と思ったりすることあるでしょう。誰もが知りたい他人の本音。そんな本音がつまった脳内をのぞき見するような感じが物珍しくていいのですよ。

ただ、いちこの描写と脳内の描写を分けて描いているので、あまりいちこの頭の中で行われている会議という感じがしないところが弱点かも。もうちょっと頭の中の混乱ぶりが、いちこの描写にジワジワ現れてくれれば、彼女と脳内が同一だという感じが伝わったかもしれません。

【ディズニー/ピクサー映画と設定かぶった?】

『脳内ポイズンベリー』はまた別なところで話題に上がっています。それは7月18日より公開されるディズニー/ピクサーの新作『インサイド・ヘッド』が『脳内ポイズンベリー』とまったく同じ設定だからです。

『インサイド・ヘッド』は少女の頭の中の喜び、悲しみ、怒りなどの感情がそれぞれ擬人化されて登場するそうで、ナルホド! 確かに似ている。

おまけに『脳内ポイズンベリー』の漫画の方が『インサイド・ヘッド』の製作より先なので、もしかしてアチラが……という噂もありますが、偶然ですよ、偶然! 設定は似ていても、物語は別だし、おそらく描写も全然違うでしょう。逆に見比べる楽しみができておもしろそう!

風変りな設定とあるある感満載なラブストーリー『脳内ポイズンベリー』は、映画を見た後、あーでもないこーでもないと話したくなる、女子同士で見るのに最適な映画ですよ!

執筆=斎藤 香(C)Pouch
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『脳内ポイズンベリー』
2015年5月9日より、TOHOシネマズ日劇、新宿バルト9、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:佐藤祐市
出演:真木よう子、西島秀俊、古川雄輝、成河、吉田羊、桜田ひより、神木隆之介、浅野和之ほか
(C)水城せとな/集英社 (C)2015フジテレビジョン 集英社 東宝