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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、みなさんお待ちかねの中年テディベア主演作『テッド2』です。

あっという間に世界中の人気クマになったテッド。大ヒットした前作『テッド』の、その後を描いたのが『テッド2』。もちろん相棒のジョンも一緒です。雷兄弟、今回もとんでもない珍騒動を繰り広げ、大いに笑わせてくれますよ!

【物語】

中年テディベアのテッドと相棒のジョン(マーク・ウォールバーグ)は、あいかわらずの仲の良さでいつもツルんでいます。でもテッドの生活環境は変わりました。なんとテッドは、勤め先のスーパーの同僚タミ=リン(ジェシカ・バース)と結婚したのです。

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しかし、貧しい生活で喧嘩が多い二人。テッドは夫婦の危機を乗り越えるために「子供を持つ。父になる」ことを決意します。

とはいえ、テッドはぬいぐるみ。州政府から「テッドは人間ではなくモノである」と通達され、結婚も無効に! それに怒ったジョンは、弁護士(アマンダ・セイフライド)を雇って裁判に持ち込もうとするけれど……。

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【今回の主役はテッド!】

前作では酒とドラッグと女三昧で自堕落生活をしていたテッド。それが本作ではタミ=リンという美人妻を得て御機嫌! かと思ったら、貧しいゆえに夫婦ゲンカばかりで、不良オヤジから生活に疲れた怒りっぽいオヤジになっていたという……。

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人間だったらフツーのことも、何しろテディベアですから、美人妻と夫婦ゲンカするだけでもうおかしなことに。あいかわらず見た目と中身のギャップのすごさで笑わせてくれます。

前作ではジョンが「彼女かテッドか」の選択に悩み、自立しようと頑張る物語でしたが、今回はテッドの悩みをジョンがサポートするという展開。もう堂々と主演、マーク・ウォールバーグを助演にまわしちゃうんですから、テッド恐るべしですよ。

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【『テッド2』の背景にはシリアスな問題が】

セス・マクファーレン監督は、前作が世界中でヒットして、続編の話が持ち上がるのは自然な成り行きだと考えていたけれど、物語は慎重に考えていたそう。

今作『テッド2』で、監督が物語のヒントを得たのは、19世紀に米国で起こった「ドレッド・スコット事件」という訴訟問題。これは米国の最高裁が “ 奴隷は、憲法でいう国民ではなく、財産である ” と判決を下した裁判。この判決に対し、ドレッド・スコット氏は、奴隷制が禁止されている州に移住し、自由人の権利を得て、訴訟を起こしたのです。

これに関する本を読んだ監督は

「テッドは生きたぬいぐるみだけど、自分が市民でないと知ったらどうなる? 人間ではなく財産であると判断されたとしたら?」

そう考えて『テッド2』はスタートしたのです。監督はこうも語っています。

「観客は順応するのが早いから、前作でぬいぐるみに命が宿ったとき “テディベアが生きているのはわかった。はい、次!” と思っただろう。それを念頭に置いて続編の物語を考えたとき、テッドの法的処置の問題があがるはずだと考えたんだ。生きるテディベアのテッドを誰もが受け入れているわけではなく、存在に抵抗する人もいるだろう。かつての同性愛者や、有色人種の人たちを認めることへの抵抗と同じ感情だ。」

爆笑コメディの『テッド2』だけど、その誕生の背景には、このようなシリアスなテーマが隠されていたのです。

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【おなじみの人たちも登場!】

そんな背景がありつつも、映画そのものはおバカコメディ、一直線。子どもが欲しいテッドは、ジョンから精子提供を受けようとするも、ドタバタの末に大失敗!

その後の養子問題から、テッドは「人なのかモノなのか問題」へと発展。なんとか裁判で人権を勝ち取ろうと、やり手弁護士(モーガン・フリーマン)に会いにいく道中、テッドが車を運転して大暴走するなど、たたみかける珍騒動に笑いが止まりません。

コスプレイヤーたちが大勢集う、NYの「コミコン」への潜入も楽しく、前作ですっかりおなじみになった「フラッシュ・ゴードン」も登場するし、多くの映画やドラマのネタも散りばめて、大いに楽しませてくれます。

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マクファーレン監督始め、スタッフ&キャスト一同が、観客を楽しませよう、喜ばせよう、笑わせようと奮闘しているのがよくわかる! 下品だけど、バカだけど、愛すべき映画に仕上がっているのは、みんなが “テッド” を愛しているからです。そんな愛情がスクリーンから溢れて、爆笑しながらもホットな気持ちになれる『テッド2』。ぜひエロくまちゃんに会いに行ってください。

執筆=斎藤 香(C)Pouch

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『テッド2』
2015年8月28日より、TOHOシネマズ日劇、新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督・脚本・テッドの声:セス・マクファーレン
出演:マーク・ウォールバーグ、アマンダ・セイフライド、ジョヴァンニ・リビシ、ジョン・スラッテリー、モーガン・フリーマン、ジェシカ・バースほか
(C)Universal Pictures

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