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[公開直前☆最新シネマ批評・インタビュー編]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品のプロデューサーを直撃インタビューします。

今回ピックアップするのは、みんなが大好きなスヌーピーの映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』(2015年12月4日公開)のプロデューサー、クレイグ・シュルツさんです。

クレイグさんは、スヌーピーの作者であるチャールズ・M・シュルツ氏の息子さんで、本作のプロデューサー兼脚本家でもあります。

スヌーピーと共に育ったともいえるクレイグさんに、スヌーピーとピーナッツファミリーの魅力、そして原作者であるチャールズ・M・シュルツ氏、つまりお父様の話も聞いてきました。

【物語】

チャーリー・ブラウンはちょっとイケてない男の子。いつもドジばかりで、友達のルーシーにはガミガミ怒られ、妹のサリーにも呆れられてばかり。
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一方、相棒のスヌーピーはマイペース犬。大好きな空想の世界に入ると、空を飛んで、世界中いろんな場所へ妄想旅行。
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そんなある日、チャーリー・ブラウンは恋をします。その彼女は転校生で赤毛の可愛い女の子。チャーリーは仲よくなりたくて、近づこうとするけれど、なかなかうまくいきません。そんなときチャーリーに、ある名誉な出来事が……!
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【父は有名な漫画家! だけど全然意識していなかった少年時代】

世界的に人気のあるスヌーピーは、ディズニーのミッキーマウスに劣らず、アメリカが生んだ偉大なキャラクターであり、原作は大人でも楽しめるコミックです。

そんなピーナッツファミリーの生みの親でもある父を持ったクレイグさん。
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幼い頃はスヌーピーやウッドストックに囲まれた少年時代を過ごしていたのかと思ったら、意外にも「全然そんなことはありませんよ」と笑っておっしゃるのです。

「私が家族と一緒に暮らしていたのは1953年から1967年です。その後は飛行機の操縦士をしていたので、独立しました。でも家庭は本当に普通でしたよ。家中にスヌーピーやチャーリー・ブラウンのぬいぐるみが転がっていることもなく(笑)。

少年時代は友人がたびたび家に遊びに来ましたが、父がどんな仕事をしているか知りませんでしたから。仕事部屋に入らない限り、漫画家で、スヌーピーの作者だとはわからなかったと思う。

私自身も有名な漫画家の息子という意識はなく、正直、父の仕事がどんなものかと深く考えたこともありませんでした。」

シュルツさんは陽気なアメリカ人というより、ちょっと英国人風な、エレガントな雰囲気で控え目な感じ。
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そういえばスヌーピーはアメリカ生まれのキャラクターですが、アメコミ系やディズニー系のようなショービジネスっぽさはあまりないです。ピーナッツの世界には、生活感があり、ファンタジーの世界の住人というより、近しい仲間という感じ。

それはシュルツ・ファミリーの普通の生活が源なのかもしれません。

「父が有名になったのは1965年くらいからで、私が独立する時期だったから、セレブの息子の生活とは無縁、自分の生活に父の影響はなかったのですよ。みなさんも父親がどんな仕事をしていても、それが直接自分に影響を及ぼすことって、あまりないのではないですか? 

私が飛行機の操縦をしていたとき、私の子供たちは父親の仕事に無関心でしたからね(笑)。有名人としてスポットライトが当たるような世界に親がいたら、子供はそれを避けようとするのではないかな。少なくとも私はそう思いますね。」

ハリウッドでも二世俳優は多いけど、クレイグさんはやはりクリエイターの息子らしく、自分の世界がしっかりあるのです。

スヌーピーは世界的に有名だけど、それとこれとは違うというか、父親には父親の世界があり、自分には自分の世界があると、幼いときから線引きをしていた感があります。

【クレイグさんは感動のあまり、5分言葉を発せなかった!】

父親であるチャールズ・M・シュルツが2000年に亡くなったあと、父の偉大な遺産でもある「THE PEANUTS」を受け継いだシュルツ・ファミリー。

幼い頃は父親の仕事に興味がなかったクレイグさんも、この映画に関わり、完成した作品を見たときは大感動だったそうです。

「映画の最後、父の名前がクレジットされていたのを見たときは涙が出て、5分くらい言葉を発することができませんでした。美しい映画に仕上がっていて、キャラクターも風景も何もかも素晴らしい。ブルー・スカイ・スタジオ(製作会社)が最高の仕事をしてくれました。父の50年間を映画化したつもりです。父をよく知る友人たちが、きっとお父さんも気に入るよ、誇りに思うはず、と言ってくれました。」

ちなみにクレイグさんに好きなキャラクターを聞くと、

「スヌーピーですね。彼の人生は完璧だと思う。だって寝たい時に犬小屋でずっと寝られるんですよ。お腹がすいたら食事も食べられるし、妄想で空を飛んだり、小説家になったり、弁護士になったりできるのですよ。本当にうらやましい(笑)。
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でも実際に僕に似ているキャラクターは、ピックペン(いつも全身ホコリまみれで、汚れていても気にしない男の子)。僕も少年時代、泥まみれで遊んでいたし、いつもハッピーに過ごしていたし、人からどう見られるかってことも気にしなかったから、ソックリです(笑)」

最後に、「続編もぜひ見たい、シリーズ化はありですか?」と聞いたら、苦笑いをして

「この映画が完成するまで、8年もかかったんですよ。それは出産したばかりでヘトヘトのお母さんに、次の子はいつ?って聞くのと一緒です(笑)。今はNOですね」

とクレイグさん。
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NOと言われても、またピーナッツの仲間たちに会いたくなってしまう……そんな愛すべき『I LOVE スヌーピーTHE PEANUTS MOVIE』。愛らしさに癒されたい人はぜひ劇場へ。

スヌーピーやチャーリー・ブラウンなどの仲間たちが3Dになって、素敵な物語を奏でる姿を見て癒されてくださいね。

撮影・取材・文=斎藤 香(C)Pouch

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『I LOVE スヌーピーTHE PEANUTS MOVIE』
(2015年12月4日より、TOHOシネマズ渋谷ほか全国ロードショー)
監督:スティーヴ・マーティノ 
製作:クレイグ・シュルツ、ブライアン・シュルツ、コーネリアス・ウリアーノ、ポール・フェイグ、マイケル・J・トラヴァーズ
原作: チャールズ・M・シュルツ
© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. PEANUTS © Peanuts Worldwide LLC

▼映画「I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE」予告編

▼劇場版ポスター。3Dになったスヌーピーのモフモフ感が伝わります
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