男の出来心がきっかけで狭い人間関係が大炎上！大人たちのイタさに爆笑するラブコメ映画『マイ・ファニー・レディ』【最新シネマ批評☆】

[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは『マイ・ファニー・レディ』（2015年12月19日公開）です。なんと公開時期が『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』とかぶってしまいましたが、まったくタイプの違う作品ですからね。あちらは銀河系の話で、こちらはN.Y.が舞台。オシャレ度では負けていませんよ！

コールガールがどうやってスター女優になれたのか。そのきっかけを語るインタビューから始まるこの映画。「アンタたち何やってんの？」って呆れるほどの大騒動を描いた、大人たちのラブコメディーです。監督は、傑作『ペーパー・ムーン』などを生み出した巨匠、ピーター・ボグダノヴィッチ。

【物語】

スター女優のイジー（イモージェン・プーツ）は、インタビューでコールガールをしていた過去をあっけらかんと話し始めます。コールガールから憧れていた女優へ。その転機は、お客さんから3万ドルをもらったことでした。

イジーはコールガールをやめて、女優に挑戦。いざブロードウェイのオーディションに行ってみると、その演出家は、彼女に3万ドルをくれた男アーノルド（オーウェン・ウィルソン）だったのです。彼の妻、女優のデルタ（キャスリン・ハーン）も出演する舞台のオーディションだったため、アーノルドはオタオタしてしまいます。

おまけに舞台の脚本家、ジョシュ（ウィル・フォーテ）がイジーに一目惚れし、人間関係に混乱したイジーがセラピストに相談。しかし、そのセラピストのジェーン（ジェニファー・アニストン）の恋人は、なんとイジーを口説いていたジョシュだったのです。

【人間関係が炎上！ドタバタのラブコメに突っ込みまくり】

舞台演出家、妻、脚本家、元コールガール、脚本家の恋人、事情を知っている人気俳優などが入り乱れての大騒動。すべての元凶は舞台演出家のアーノルド。彼が3万ドルをコールガールにあげたことをごまかすための嘘が、ことを広げていくのです。

N.Y.の街の、めっちゃ狭い人間関係の中で隠し事をしようとするので、こうなってしまうのですよね。みんなお気に入りの店が一緒だったりするから、ナイショのデートなのに鉢合わせになったりして……。

「なぜ同じ店に行くんだよ～」と思ったり、セラピストのくせにキレてばかりで人の話を聞かないジェーンに「キレていたら、話できないじゃん」と、見ながら突っ込みまくりですよ。

【恋愛にまつわるドタバタ劇は、意外とあるある感・満載？】

いい大人が大騒ぎして、しょーもないと思いつつも、なんだか温かいんですよね。ケンカしても怒っても、どこかじゃれあっているような感じがあって、明るくて温かい。

それに登場人物が「男ってヤツは……」と言いたくなるダメンズっぷり、そのトホホ感が、意外とあるあるなんですよ。誤解を解こうと思ったり、嫌われたくなくて必死に言い訳したり、必死に丸く収めようとする様がなんか憎めない。「もうしょうがないな～」みたいな気持ちになるのです。

特にオーウェン・ウィルソンが演じた、演出家のアーノルド。意外と女にモテるのって、真面目過ぎる男より、これくらいチャラかったりしますからね。それも悪気がない天然のチャラ男。恋愛に長けた女子なら「いるいる、こういう男！」と思ったりするかも。

【イモージェン・プーツとジェニファー・アニストン】

この映画でキュートな魅力を振りまいているのは、コールガール役のイモージェン・プーツ。名匠ピーター・ボグダノヴィッチ監督が、オーディションで会って5分で「この娘だ！」と即決したそうです。

映画では天然っぷりを見せますが、実際のイモージェンも天然タイプらしい。でも美しさは突出しており、ミュウミュウの広告モデルに抜擢されたこともあるのです。これから人気出るかも。

そして、今やベテランの域に入っているジェニファー・アニストン。一瞬誰だかわからないくらい、見た目の雰囲気も変えて、これまでのジェニファー・アニストンらしさを消し、うるさいセラピストを怪演しています。記者は、正直「劣化したな」と思ったのですが、これも役作りだとしたら、ジェニファーすごい女優魂でしょう！

『マイ・ファニー・レディ』は見ているうちに、登場人物と知り合いみたいな気持ちになれる映画です。「友だちがバカなことしてるよ～」みたいな。だから、ぜひ女同士で見てほしい。見た後「サイテー」とか「ありだよね」とか「言い過ぎだよ」とオシャベリするのに最高の映画。N.Yの街や女優たちのファッションも楽しめますよ。

執筆＝斎藤香（ｃ）Pouch

『マイ・ファニー・レディ』
（2015年12月19日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー）
監督：ピーター・ボグダノヴィッチ
出演：オーウェン・ウィルソン、イモージェン・プーツ、キャスリン・ハーン、ウィル・フォーテ、リス・エヴァンス、ジェニファー・アニストン、オースティン・ペンドルトン、シビル・シェパードほか
(C)STTN Captial, LLC 2015

▼映画『マイ・ファニー・レディ』予告編

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