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ヒップホップ調の音楽に乗せて、男女がラップを披露するTV番組。だけど観たところ、何かが違うような……?

そうです、これ、フツーのラップではないんです。彼らがラップのリリック(歌詞)としているのは、政治情勢に関するニュース

【ラップでニュース!?】

毎週土曜日、アフリカ・ウガンダの人気チャンネルNTVにて放送されている『ニューズビート(Newz Beat)』は、この「ラップに乗せてトップニュースを伝える」という斬新な手法で、広く注目を集めているニュース番組なんです。

従来のニュース番組の前に、英語と現地語ルガンダの2言語で放送されているんですって。

【番組のねらい】

それにしても一体なぜ、このような方法を思いついたのでしょう。その答えは「報道機関に対する検閲の圧力が非常に厳しい」という、ウガンダという国が持つ背景にありました。

その1:若い層に政治に関心を持ってもらいたい

海外サイト「INTER PRESS SERVICE News Agency」の報道によれば、人口の多くを占める30歳未満の若者は、ニュースや時事問題にほとんど関心を持たない傾向にあるのだそう。

若い人たちに少しでも、関心を持ってもらおう、そんな思いのもと2014年にスタートした同番組。メインキャスターを務めているのは、 “Lady Slyke” ことSharon Bwogiさん、そして “Survivor” こと、Daniel Kisekkaさんです。

なおラッパーからジャーナリストに転身した若いキャスターたちは「ラポーター(rap-orter)」と呼ばれているのだそうで、海外サイト「NPR」によれば、その中には14歳の子もいるのだとか! 

なるほど、初めこそ非難を浴びたものの、現在は若者を中心に強く支持されているという理由が、すごくわかるわ。

その2:報道の制約による限界を広げたい

また、ウガンダの記者擁護団体「ジャーナリストのための人権ネットワーク(Human Rights Network for Journalists)」によれば、ウガンダは汚職問題が深刻であり、それを報道しようとする記者がトラブルに巻き込まれることも多々あるのだそうです。

最近では「政府職員の汚職を非難したジャーナリストが罰金または禁固を命じられた」「警察に頭を銃で撃たれた」「暴力・逮捕・放送局を閉鎖するという脅しがあった」という例も。

こういった「報道の制約」による限界を広げる意味でも、「ラップでニュースを伝える」というスタイルが突破口になれば……。製作者および出演者の胸の内には、そういった思いもあるんですって。

【「伝え方」にもいろいろあるのね】

こうして裏側を知るとますます、『Newz Beat』に対する興味が深まりますよね。

きっかけとなる入口は何でもよくて、要は、その中へと入ることが大切。日本でもこういった番組が出てきたら、政治に対する関心が高まるかも!?

参照元:Newz Beat [FacebookYouTube]、INTER PRESS SERVICE News Agency NPRHuman Rights Network for Journalists
執筆=田端あんじ (c)Pouch

▼ラップならではな「韻を踏む」という伝え方、頭に入ってきやすいよね

▼14歳のラポーター・Zoe Kabuyeさん(4:17頃から)