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米テネシー州生まれ、歌手でソングライターのアッシャー(Usher)さん。彼が2月2日に動画サイトYouTubeにて公開した新作PV『Chains』を、あなたはもうご覧になったでしょうか。

黒人差別の現状を真正面から訴える「Chains(=鎖)」と題された同作は、観始めたら最後、1秒たりとも目が離せなくなる、衝撃作。

心が震え、鳥肌が止まらない。「警官の尋問中に黒人青年が死亡」「9人の黒人礼拝者が人種的な偏見によって教会で虐殺される」など、近年報道された人種差別、あるいはそれを想起させる事件について改めて考えさせられる、必見の1本となっております。

【警察に追われてる……!】

MVに登場するのは、警察に追われている様子のアッシャーさん。

手錠や拳銃を模したモニュメント、さらには祈りをささげる人々の顔が代わる代わる画面に映し出されて、そのことから、事態は相当緊迫しているということがよくわかります。

【自分はもう死んでしまったのか】

やがてとある教会へと辿りついたアッシャーさんが目にしたのは、「自分のお葬式」。沈痛な面持ちの家族や友人知人の真正面からどれだけ手を振りかざしても、彼らがアッシャーさんに気づくことはありません。

【メッセージボードにある言葉が胸に刺さる】

そうして場面は、パトカーで連行されるアッシャーさんと、その様子を見守る若者および子供たちのシーンへ。

警官らに銃で撃たれたのでしょうか、腹部から血を流しながら車窓の外に彼が見たのは、「次は私?」というメッセージボードを掲げた女の子たちの姿でした。

【今こそ立ちあがるとき】

人気・実績ともにトップクラスのアッシャーさんが、黒人差別の現実を音楽にして広く訴えることは、非常に意味のあること。なお彼は自身のツイッターで、同曲に関し次のようにコメントしています。

「今が、人種的不公平の鎖を壊すときだ(It’s time to break the chains of racial injustice.)」

アフリカ系のオバマ氏が大統領になっても、相変わらず「丸腰の黒人青年が警官に撃たれる」といった事件が繰り返し起こる、アメリカ。単純明快な差別は鳴りを潜めたとしても、より複雑で深刻な形で、それは残っていると言えるのかもしれません。わたしたち日本人からは計り知れないものがそこにある、としても……

繰り返し流れる「私たちは今も鎖でつながれている」というフレーズが胸に突き刺さる同作。この曲を観て聴いて、はたしてあなたは何を思うでしょうか。

参照元:YouTube(UsherVEVO) Twitter(Usher Raymond IV)
執筆=田端あんじ (c)Pouch