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2年間行方不明だった埼玉県朝霞市の中学生少女が先日無事に保護された事件。年ごろの女の子のこれまでの心中を考えると、胸が痛むばかりです。

普段はあまり考えないことですが、私たち自身や私たちの子どもが誘拐・監禁に遭うことも、けっしてないとは言い切れません。

もし万が一、そんな事態に陥ってしまったとしたら、いったいどんな行動をとればいいの!?

今回は外務省が配布しているパンフレットから、誘拐・監禁されたときのために覚えておいたほうがよい対策をご紹介します。

【誘拐された場合、どうしたらいい?】

外務省が広報しているのは「海外における脅迫・誘拐対策Q&A」というもの。「海外における」とありますが、国内での被誘拐時においても参考になる部分も多々あります。

この中から今回ご紹介するのは「誘拐された場合、生き残るためにはどうしたらいいですか?」という項目です。

【逃亡は良策ではない】

まず誘拐された場合、「逃亡」は100%成功する確信がない場合には行わないほうがよいとのこと。

誘拐事件の犯人の主たる目的は人質の殺害自体ではない場合が大部分であるため、拉致の段階ではできるだけ早く自分の感情をコントロールし、犯人の指示に従い生き残る可能性を高めることが重要だそうです。

【監禁されたら】

そして監禁中、人質が実行すべきとされている主なことは次の通り。

・犯人との間で人間関係をつくること(ただし「ストックホルム症候群」(※注)には注意)
・思想、宗教、政治等につき議論をしないこと
・家族や会社の情報、その他の個人情報を極力与えないこと
・自己管理をすること
・健康を維持すること
・環境を整備すること

【必ず開放されると信じる】

自分の感情をおさえ、自尊心を失わず、健康であり続けるよう注意をはらう。絶望的な状況下で行うにはとてもむずかしいですが、必ず開放されると信じて上記のような意識を持つことが大切だと書かれています。

今回保護された朝霞市の女子中学生について「じゅうぶん逃げられる状況にあったのでは?」という声もありますが、もしかしたら彼女が無理やり逃亡しようとせず犯人との間で人間関係をつくっていたからこそ、最終的に無事帰ることができたという見方もできるかもしれません。

【外務省のHPで公開】

「誘拐されないために」という防犯対策はしきりにされるものの、万が一「誘拐、監禁されてしまったら」についてはこれまであまり考えたことなかった人も多いのでは(記者もそう)。

これを機会にそうした部分に目を向けてみるのもよいかもしれません。外務省の「海外における脅迫・誘拐対策Q&A」にはさらに詳しい情報が載っていますので、気になる方は読んでみてください。ホームページ上からPDFで見ることもできますよ!

※ストックホルム症候群:誘拐・監禁などの事件で、被害者が犯人と近い距離で時間を共有した結果、犯人に対し同情や好意等を強く抱いてしまうことをさす。1973年にストックホルムで起きた銀行強盗事件で、監禁された被害者がしだいに犯人に協力するようになり、警察に抵抗するまでにいたったことからこう呼ばれる。

参照元:外務省 パンフレット「海外における脅迫・誘拐対策Q&A」
画像:ぱくたそ
執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch