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[公開直前☆最新シネマ批評・インタビュー編]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品の監督を直撃インタビューします。

今回ピックアップするのはディズニーアニメの『ズートピア』(2016年4月23日公開)です。みなさんがいつも見ているこのサイト「ポーチ」のロゴは、現在『ズートピア』コラボバージョンになっているのに気付きました? これは『ズートピア』の監督が作ってくれたのです!

というわけで、来日した『ズートピア』のバイロン・ハワード監督とリッチ・ムーア監督に直撃インタビュー! お二人にポーチと『ズートピア』のコラボロゴ制作のお礼をしつつ、映画の裏話を聞いてきました。

【物語】

警官になることを夢見て、親元を離れ、大都会のズートピアにやってきたウサギの女の子ジュディ。ところが「小さいウサギが立派な警官になるなんてムリムリ」と相手にされません。
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それでも諦めないジュディは、「カワウソ失踪事件は自分が解決します」と宣言。上司から2日間の捜査期間をもらったものの、その間にカワウソを見つけないと、もう警官としては認めてもらえない。

ジュディは、ズートピアのことなら何でも知っている詐欺師キツネのニックにサポートをお願いするのですが……。
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【『ズートピア』とポーチのコラボロゴのアイデアは?】

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(写真左から順にバイロン・ハワード監督、リッチ・ムーア監督)

――まずは、ハワード監督、ムーア監督、ポーチのために『ズートピア』のロゴを作っていただき、ありがとうございました! 監督に作っていただけるなんて、もう大感動です。

ハワード監督&ムーア監督「こちらこそ、このような機会を与えてくれてありがとう!」

――ロゴ制作のアイデアについて教えていただけますか? またこちらを描くのにどれくらいの時間がかかったのでしょう?

ハワード監督「ポーチのサイトを見せてもらったんだ。そしたらカンガルーがポーチを身に着けていただろう? それを見て、じゃあ、ウサギのジュディにもポーチを持たせようと思ったんだ。時間はかからない、サクっと描けたよ(笑)。だってこの映画が完成するまで、ボクらは数えきれないほど膨大な数のジュディとニックを描いているからね。もう慣れたもんさ(笑)」

【誰もが経験する世界を描く】

――映画『ズートピア』はものすごいイマジネーションの世界ですね。動物が人間のような生活をしていますが、でもちゃんと動物の行動や特徴を失っていないところが楽しいです! またジュディが田舎から警察官になる夢を叶えるために、ズートピアという都会に出てくる物語は、田舎から上京する日本の若者像に重なりました。監督は、どのように物語を作り上げていったのですか?

ムーア監督「この物語はとても普遍的なストーリーなんだ。日本の若者にも重なるだろうけど、これは僕たちの体験でもあるんだ。あ、いっとくけど、僕らはウサギじゃないけどね(笑)。若い頃、未来に向かって一歩踏み出したときのことを思い出しながら作ったんだ。4月は新しい仕事や学校が始まるシーズンだろう。みんなスタートラインに立つときだから、共感してもらえる映画だと思うな。

あと個人的な思いも物語にはつまっている。子供が親元を離れて大学へ行くとき、その背中を見送ったときの気持ちとかね。映画って、そういった作り手の体験や個人的な思いを反映させていくものもあるんだよ」

―なるほど。この映画は設定も素晴らしいですよね。動物が生きる世界が自然界ではなく街ってところがおもしろいです。この映画の最初のアイデアはどこから来たのですか?
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ハワード監督「僕が思いついたんだ。人間が存在せず、動物たちが作り上げた世界で暮らす物語なんてどうだろうってね。そのアイデアをジョン・ラセター(プロデューサー)に、話したら “長い間、ディズニーではそういう映画がなかった!” と、僕をハグして持ち上げたくらい喜んでくれたんだ(笑)」

【徹底したリサーチで生まれたジュディたち】

――動物たちがそれぞれの「動物らしさ」を失わずに、人間のように話して、生活をして、目標に向かって頑張る姿が素敵です! 動物の生態はかなり研究されたんですか?

ムーア監督「1年半かけて、動物の生態などをリサーチしたよ。ディズニーにアニマルキングダムやケニアにも行き、小さな動物から大きな動物まで、その習性やしぐさなどあらゆるものを丁寧に観察したんだ。ジュディたちの感情は人間みたいだけど、行動や習性は動物。そこがこの映画のキャラクターのユニークな点だね」

――ところで、アニメ界はコンビを組んで監督する方が多いですよね。この映画でもハワード監督とムーア監督は組んでお仕事されていますが、その理由とメリットを教えてください。

ハワード監督「この映画の企画、実は最初、僕だけで動いていたんだ。でも途中で内容をひっくり返してやり直さないといけなくなってね。そのときムーア監督は別の作品に取り掛かっていたんだけど、とてもハッピーなことに、自分の映画を保留にして『ズートピア』に来てくれたんだ。それで一緒にやることになった。

アニメに共同監督が多いのは、とにかくやることが膨大にあるからだよ。チームを組んだ方がうまくいくことが多い。

一緒にやることのメリットは、一緒に悩めることだね。何千もの作業の中で、作品の本質的な部分を理解してくれるスタッフがいれば、立ち止まったとき “これでいいのか” と二人で考えられるだろう。信頼と尊敬で結ばれている相手だから、とても深いところまで掘り下げて考えられる。ストーリーテラーは、ひとりより二人いた方がいいからね。そうだな、コーエン兄弟に対抗して、ルッソー兄弟と名乗ろうかな(笑)」

そんなことを言いながらワハハと明るく笑うハワード監督とムーア監督。

Pouchの取材のあと、日本語吹替え版の声優を務める上戸彩さんとサバンナの高橋茂雄さんに記者会見で会うので「名前を間違えてはいけない」と思ったのか、「アヤさ~ん」「シゲオさ~ん」と繰り返し練習していました。監督~! かわいすぎる!

明るくやさしいハワード監督&ムーア監督の渾身の一作『ズートピア』は全米では大ヒット! 早くも本年度のアカデミー賞長編アニメーション賞の有力候補と言われています。ロゴでコラボしたPouchも全力応援! もしも続編ができたら、ジュディにPouchのポーチを持ってもらいたいものです。

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インタビュー撮影・取材・文=斎藤 香(c)Pouch

『ズートピア』
(2016年4月23日より、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー)
監督:バイロン・ハワード / リッチ・ムーア
声の出演:ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマン、イドリス・エルバ、ネイト・トレンス、J.K・シモンズほか
日本語吹替え版/声の出演:上戸彩、森川智之、三宅健太、高橋茂雄、玄田哲章、竹内順子、Amiほか
(C)2016 Disney. All Rights Reserved.

▼『ズートピア』予告編(日本語吹替え版)

▼ナマケモノ職員に思わず笑ってしまう「特別映像編」

来日時のオフィシャル記者会見の様子。バイロン・ハワード&リッチ・ムーア両監督とプロデューサーのクラーク・スペンサーさん、日本語吹き替え版声優を務める上戸彩さん、高橋茂雄さん(サバンナ)が出席しました。
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ジュディ役の上戸彩さん、クロウハウザー役のサバンナ高橋さん
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全員が手に持っているのは、ニンジン型のマイク!
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