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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、シアーシャ・ローナンがアカデミー賞主演女優賞候補になった映画『ブルックリン』(2016年7月1日公開)です。

シアーシャ・ローナンといえば、13才のときに出演した映画『つぐない』でアカデミー賞助演女優賞候補になり、話題を集めました。

あれから7年。20才を過ぎたシアーシャは美しい女優に成長。そして彼女自身の成長と歩みを合わせるような映画『ブルックリン』で、見事、大人の女優として開花しました。

では、シアーシャと共に成長していくヒロインの物語を見ていきましょう!

【物語】

アイルランドで暮らすエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、閉鎖的な街での暮らしにうんざりしていました。働く食品店の店主は口うるさく、偏見の塊。でも他に働く場所はなく、仕方なく出勤する毎日……。

そんな彼女を見かねた会計士の姉が、エイリシュにアメリカへ行くチャンスをくれます。親元を離れて海を渡るエイリシュの心は希望と不安が入り乱れていました。
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最初こそ、ホームシックで毎日泣いていた彼女ですが、会計士の勉強を始め、周囲の人との交流を深め、アメリカ・NYブルックリンでの生活になじんでいきます。
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やがて恋人もできて、幸福な日々を送りますが、アイルランドから悲しい知らせが届くのです。
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【シアーシャの女優開花を間近で見る喜び】

13才でアカデミー賞候補になる女優ですから、もともと演技力はあったのですが、この映画でのシアーシャは、生々しさとまぶしいほどの輝きが共存していて、本当に素晴らしい! 

アメリカに行く船の中、ブルックリンでの寮生活、デパート勤務、最初は慣れないことだらけで、心を許せる人もいなくて、子供のように泣いていたのに、やるべきことをひとつひとつ見つけて、アメリカに体と心になじませていきます。そのプロセスが丁寧に描かれており、大きな事件はないけれど、女性としては共感度高い。特に、上京女子たちは「わかる~」と自分に重ねあわせてしまうのでは?

シアーシャは、この役についてこう語っています。

「80年代にニューヨークに来た両親が経験したことと同じことを、時代は違うけどエイリシュは経験したのだから、胸に迫るものがありました」

そうなんです。シアーシャは親がアイルランド人で、ニューヨークで生まれ、ダブリン郊外で育ったのです。

【エイリシュの決断、あなたならどうする?】

しかし、この女性の成長物語は、アイルランド人だけではなく、世界中の女性にあてはまります。少女から大人へ成長することは、自立への道を歩むことです。どうやって生きるかを自分で考え、自力で歩みを進めていき、階段を一歩一歩昇って行くのです。

「エイリシュを、自分が望んだ人生を選ぶことができるほど強くなった人として見てもらい、彼女の生き方を誇りに思ってくれたらうれしいわ」

とシアーシャは語っています。

実は、エイリシュには、彼女に心を寄せる男性がアメリカとアイルランド、それぞれに存在します。彼女が最後に選ぶ人については賛否両論ありという噂も!?

でも、自身の幸福と後悔しない生き方のためには、身の回りの人すべてを幸福にすることはできないのです。彼女の決断には、そんな人生の苦みも感じ、だからこそ胸にツーンと来るんですよ~。

【レトロなファッションも素敵!】

この映画は50年代のレトロなファッションも目を楽しませてくれます。エイリシュのファッションも大人の女性になるにつれ、服のシルエットや小物も変化していくのです。
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特にアイルランドに帰ったとき、仲間と出かけた海でエイリシュはニューヨークで買った水着を披露するのですが “今までと違うワタシ” を水着のデザインや着こなしでみんなに認めさせるんですよ。エイリシュがちょっと得意げになっていて、その表情がよかった。こういうさりげないシーンで変化を見せるところがすごくいい。
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ジョン・クローリー監督の演出には品があり、ニック・ホーンビィの脚色は秀逸だし、シアーシャも上手い!

女性ならみんな通る道、少女から大人への成長物語を鮮やかに描いた『ブルックリン』。できれば女性同士で見て、エイリシュの生き方や最後の選択について、語り合ってほしいですね。

執筆=斎藤 香 (C) Pouch

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『ブルックリン』
(2016年7月1日より、TOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー)

監督:ジョン・クローリー
出演:シアーシャ・ローナン、ドーナル・グリーソン、エモリー・コーエン、ジム・ブロードベント、ジュリー・ウォルターズほか
(C)2015 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

▼映画『ブルックリン』予告編