helpcard

電車内や街の中に障害を持った人がいて、困っていればできる限り手助けしたいもの。しかし、サポートを必要としていることが、なかなかわかりづらい場合もあります。

そんなときのための「ヘルプカード」というものを、皆さんはご存じでしょうか?

ヘルプカードは、障害のある人などが災害時や日常生活の中で困ったときに、周囲に自己の障害への理解や、支援を求めるために作られたものなのですが、「このカードの存在を知らずとても後悔した」という体験談を描いた漫画がTwitterに投稿され、反響を呼んでいます。

【ヘルプカードって?】

ひとことで「障害」と言っても、さまざまな種類があります。たとえば、聴覚や視覚、また心臓や呼吸器などの身体機能(内部障害)や、知的障害など、外見からは障害者とはわからない方が支援を求めるとき、ヘルプカードはとても有効だといえます。

また「助けが必要なことが他人に伝えられない」「本当は助けが必要であっても、自分では分かっていない」という状態に陥っている場合にも、ヘルプカードが役立ちます。

東京都福祉保健局によると、ヘルプカードが実際に役に立った事例も報告されているそうですが、いっぽうでその存在を知らず、お互いつらい思いをした経験を持つ人も。

【あの時すでに知っていたら】

Twitterアカウント「ぷちめい‏@puchimei333」さんは、イラストレーター・漫画家であるご自身の体験談を漫画にし、Twitterに投稿しています。

その漫画によると、ぷちめいさんが電車で座っていたとき、目の前につり革につかまりながらものすごい汗をかいている男性が立っていたそう。車内は満員で、その人のカバンにはヘルプカードがついていたそうです。

その意味を知らなかったぷちめいさんが不思議に思っていたところ、次の瞬間、男性はその場に倒れこんでしまったそう。

「大丈夫ですか?」と矢継ぎ早に声をかける乗客たちを、男性は「大丈夫です、大丈夫です!」とかたくなに拒否。席をゆずろうとしたぷちめいさんには「私にかまわず座りなさい! ここは健常者のための席でしょう!?」とすごい形相で怒鳴ったといいます。

その様子から、彼にはなんらかの障害があり、とても切羽詰まっている状態だったのだとぷちめいさんは察したそう。

あとでヘルプカードについて調べたぷちめいさんは、「あの時すでに知っていたら」と、とても後悔したと作品の中で語っています。

【Twitterに漫画を投稿】

この投稿には、現在5万件を超えるリツイートがされ、次のようなコメントが寄せられています。

「知らないのも無理も無いと思います。まず、あまりメディアで紹介されないのと公共施設での告知が無い。あるとしても、大きい病院の片隅にポスターが貼られてるぐらい。 これじゃ、誰もわからないですよね…」
「身体じゃないですが、いわゆる発達障害の者です。見た目にはわからないし、数々の誤解を受けてきてます。健常者の人と同じように働けないとか、悔しくて情けなくて、このヘルプカードの方の気持ちが痛い程よくわかります。」
「こうして絵にして頂けることで、一助あると思います。落ち込まないで下さい。とても素敵です。」
「私もヘルプカードの存在を知らずこの漫画で学ぶことができました。描いて下さってありがとうございます。私も広場恐怖症があるので特定の場所や人ごみに近づけません…ぷちめいさんは後悔と言われますが偏見を持たず学ぶ姿勢が素晴らしいと思います」

これほど多くの反応があったということは、それだけヘルプカードの存在を知らない人が多かったこと、ヘルプカードへの理解が得られず、つらい思いをした人がいたということなのかもしれません。

【標準様式を決めて都内で統一に】

これまで各区市町村においてヘルプカードのほか、SOSカードや防災手帳など、地域の実情に応じたさまざまなカードや手帳があったそうですが、東京都では都内で統一的に使えるよう標準用式を策定したそう。今後、ますますの周知や理解が広がっていくことを期待したいですね。

また、東京都保健福祉局が広報用のDVD映像をYouTubeに公開していましたので、どうぞご覧ください。

手助けの仕方としては、ヘルプカードを提示されたら裏面の記載内容に沿って支援をするというもの。特に難しいものではなく、「ちょっとした配慮と手助けが、障害のある人の安心につながります」と動画の中ではアナウンスしています。

参照元:Twitter‏ @puchimei333YouTube東京都保健福祉局
執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch

▼東京都保健福祉局の広報用DVD映像

▼ぷちめい‏@puchimei333さんによる投稿
https://twitter.com/puchimei333/status/751954395684745216