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芸術の秋。自宅で映画鑑賞を楽しむのもいいけれど、たまには映画館に足を運んで、大スクリーンを目の前にし、作品に没入してみてはいかがでしょう。

ハイテクな大手シネコンもいいけれど、私がおススメしたいのは都内にいくつかある名画座です。というわけで本日はみなさまに、都内にある名画座の魅力をお伝えしたいと思いますっ! 名画座によって個性があるので、今後の参考にしていただければ幸いです。

【「名画座=古臭い」は間違い!】

見逃した名作を安価で、しかも2本立てで観ることができる名画座は、映画好きにはたまらないスポット。ひょっとしたら「古臭い」「汚い」なんてイメージを持っている人もいるかもしれませんが、近頃の名画座はそういったイメージを払拭するくらい、清潔な雰囲気。

【若者から年配まで、幅広い層に愛されている】

各名画座ごとにこだわりが感じられて、いつ行っても、老若男女ありとあらゆる層の映画ファンでいっぱい。映画2本でトータル約4時間、これだけ居ても、ちっとも苦痛ではなく、それどころか居心地よく感じられる。独特の安心感もまた、名画座の魅力のひとつだと思うのです。

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【おススメ名画座4施設はこちら!】

ではさっそくまいりましょう。私が頻繁に足を運ぶ名画座は、4つ。それぞれの魅力は、次のとおり! なおすべて、個人的な感想ですのであしからず。

1. 音響にこだわるなら絶対にここ!「新文芸坐」 / 池袋

客席:266席
音響設備:ドルビー SRD-EX
空間:広々として清潔。一般的な映画館と比べても引けを取らない。従業員の方が親切で、感じがよいです。
チケット料金:一般1300円 / ラスト1本のみ850円(オールナイト上映は別料金)
客層:比較的年配の男性客が多い印象。週末や遅い時間などは若者も多く、活気に溢れる。

なぜ魅力的なのか:
新文芸坐には『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の再上映時に初めて行ったのですが、1番びっくりしたのは音響の良さ! 

なんでも2000年にリニューアルした際にシネコンに匹敵する設備を導入したのだそうで、体の芯まで響く重低音に大興奮。あの感動を忘れられず、観たい作品があるとちょくちょく通っております。スパイものなどのアクション系、ホラー系を観るならここがおススメ。

ちなみに週末は、マニア垂涎な映画がずらりとチョイスされたオールナイト上映も行われていますのでこちらも要チェック。また、トイレが綺麗で広いのも高ポイント。それから近くにあるインド・ネパール料理専門店「サグーン」とタッグを組んで作ったというカレーパンも、超絶品。この2つも外せない、大きな魅力だよーっ!

デメリット:
エレベーターが混んでいるときは、映画館のある3階まで階段を昇らなければいけません。初めて行く人にとっては、奥まった場所にあるのでややわかりにくいかも?

2. 空間はレトロなのにやってることは革新的「目黒シネマ」 / 目黒

客席:100席
音響設備:CP-65 ドルビーアナログプロセッサー
空間:レトロな雰囲気。最前列だと足置き台の使用が可能。趣向を凝らしたロビーの展示物にも、並々ならぬ映画愛を感じる。
チケット料金:一般1500円 / ラスト1本のみ900円
客層:今回紹介する名画座の中で、もっとも若者が多い印象。特に週末は、サブカルチャーが好きそうな男女が多い印象。デートで来ている雰囲気の人も少なくない。

なぜ魅力的なのか:
駅から近く、とにかく場所がわかりやすい。階段を下りていくとそこにはレトロな空間が広がっていて、上映前にはチリンチリンとベルが鳴る。そんなところに、名画座ファンとしてはグッときます。ブランケットやクッションを貸し出ししてくれる点も、たまりません。

「話題作を観たければここ」というくらい上映が早いのも特徴で、最新ヒット作と絡めた企画を実行するのも早い。たとえば『君の名は。』がヒットした直後には、新海誠監督の過去作品を上映。立ち見が出るほどの大盛況だったようです。

それから上映作品によっては、従業員のみなさんが映画の内容に沿った仮装をしてお出迎えしてくれます。このノリノリ前のめりな感じも、目黒シネマならでは♪

デメリット:
トイレが少ない。特に女子トイレは、タイミングを選ばないと行列に並ぶ羽目になっちゃいます。またスクリーンに穴があいているのですが、最前列に座るとちょっぴり気になっちゃうかも。

3. 漂うムードが “ザ・名画座” テーマに沿った作品チョイスが◎「早稲田松竹」 / 高田馬場

客席:153席
音響設備:ドルビーデジタル対応 D / SR / SRD
空間:普通の映画館よりもゆったりとした座席の配置で、広々とした印象。劇場内もロビーも清潔で、トイレも綺麗。
チケット料金:一般1300円 / ラスト1本のみ800円
客層:高田馬場という立地のせいか、大学生らしき若者が男女問わず多い。一方で、年配男性も同じくらい多い印象。夜遅い時間になると会社帰りと思われる30代40代の姿が増える。

なぜ魅力的なのか:
俳優や監督、そして共通したテーマ。毎回1つの題材にしぼって映画をチョイスしているところが、映画ファンにとっては大きな魅力です。

また一時外出するための外出証も発行してくれるので、「朝イチで1本観てうろうろしてから夕方にまた1本」という楽しみ方もできちゃうのがいい! 1300円でこういった鑑賞ができる点は特に、他にはない利点といえるでしょう。

デメリット:
他の名画座と比べてイスが固いような気がする。

4. 古き良き、大人のための上品な映画館「飯田橋ギンレイホール」 / 飯田橋

客席:202席
音響設備:不明
空間:チケットの販売所から劇場ドアの様相にいたるまで、すべてがすべて、懐かしい雰囲気。上品なムードに包まれた、大人のための映画館といった印象。
チケット料金:一般1500円 / ラスト1本のみ1000円
客層:平日は年配の男女が多いように思える。夜になると、30代から40代といった働き盛り世代の男女の姿が目立つように。1人で来ている女性も多い。

なぜ魅力的なのか:
1974年に開館したこともあって、外観も内装もレトロなムード満点。座席はスクリーンを見下ろすように配置されていて、劇場でショーを観ているような気分に浸れます。個人的には今回紹介した名画座の中で最も好きな座席配置です。

とにかく劇場の雰囲気が良いので、しっとりとした映画を観るには最適な空間なのではないかと。静かで、心理描写に重きを置くような映画を、この場所でたくさん観ていきたいと思っています。

デメリット:
トイレに長蛇の列ができること。入場口が狭く、またロビーも狭いので、入るまで階段の下まで並ばなければいけない点。

【名画座には、名画座にしかない良さがある】

いかがでしたでしょうか。私が名画座の魅力にハマったのは、20歳の頃。かつて三軒茶屋にあった名画座、三軒茶屋中央劇場によく通ったものでした。

今回紹介した各名画座では、ゲストを招いてトークショーを行ったり爆音上映を開催したりと、シネコンにはない独自なイベントも数多く開催されています。また手製の映画紹介パンフレットにもそれぞれ個性があって、可愛くって、すべて取っておきたくなっちゃうほど。

名画座に通っていて常々感じるのは、名画座人気のカギを握っているのは従業員のみなさんのありあまる映画愛、だということ。訪れたときには、そういったところにも、ぜひ注目してみてください。

先入観で名画座を避けていたという人や、そもそも名画座の存在自体を知らなかったという人は、この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

参考リンク:新文芸坐, 目黒シネマ, 早稲田松竹, 飯田橋ギンレイホール
執筆=田端あんじ / 画像=Pouch (c)Pouch