ドラマ「カルテット」の舞台にもなった、長野県「軽井沢」。別荘地としても知られ、ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休みになると、観光客が多く訪れます。

ところで、私は長野県で生まれ育ち、軽井沢には幼い頃から何度も行ったことがあります。なので、上京した今でも、軽井沢は渋谷よりも池袋よりも慣れ親しんだ場所と思っていたのですが……。

先日、両親の会話で妙なことに気が付いたのです!

【父と母で軽井沢の呼び方が違った】

大阪出身の母と長野県出身の父。ふたりが軽井沢について語っていたときのこと……

母「来週 “カルイザワ” のアウトレットいかない?」
父「いいけど “カルイサワ”ってあんまり温泉ないんだよね〜」

ん? 何か違う……そう、母は「カルイザワ」、父は「カルイサワ」なのです!

聞き間違いかと思って確認すると、やはり……

母「カルイザワ
父「カルイサワ

やっぱり違うのです!!!!! 母は濁点つけて「カルイザワ」、父は清音で「カルイサワ」なのです。私は、軽井沢の呼び方は濁る「カルイザワ」だと思い込んでいました。

【外国人が関係していた!?】

どうしても気になるので調べてみたところ、地図や駅名は「カルイザワ」。だけど一方で、地元の友人や友人の親に改めて聞いてみると、「カルイサワ」と呼ぶ人が多い!

なぜ、ふたつの呼び方があるの? もしかして方言か何か?

ここなら知っているかも!と軽井沢町観光経済課に尋ねたところ、「これに書かれていますよ」と送ってもらったのが、軽井沢の歴史をまとめた資料です。

なんとそこに書かれていたのは……書かれていたのは……

「もともとは “カルイサワ” だけど、外国人にとって発音しにくいから “カルイザワ” にした」

えええ!! だから地元民は元々の呼び方「カルイサワ」と呼ぶのーーーー!?

【6行でざっくり! 「カルイザワ」誕生の経緯】


・「軽井沢」という地名がついた経緯ははっきりしないが、呼び方は「カルイサワ」と濁っていなかった
・130年ほど前に長野を訪れたカナダ人宣教師アレキサンダー・クロフト・ショーが、軽井沢を避暑地として気にいる
・ショーは別荘地としての軽井沢の基礎を作り、軽井沢の素晴らしさを海外にも伝えた
・外国人がどんどんくるようになる
・外国人には「カルイサワ」と発音しくかったため、「カルイザワ」と呼ばれるようになる(明治45年の絵葉書にもKARUIZAWAとある)
・日本人にも「カルイザワ」が親しまれ、浸透する

……ということだそうです。

【あえてカルイサワって呼びたい】

軽井沢を別荘地にしようと考えたのはカナダ人で、しかも130年前とは驚きました。てっきりバブル時代に始まったのかと思っていたよ……それか、ビートルズのジョン・レノン。

こういった歴史を知ると、地元にもっと愛着が湧きますね。

ふと思い出したのですが、幼い頃「カルイサワ」だと思っていたら、新幹線で軽井沢に到着すると「カルイザワ」と言われ「あぁ間違ってたのか〜」と思って言い換えたのを思い出しました。でもこれからは「カルイサワ」とあえて呼ぶことにします。大好き長野!

取材協力:軽井沢経済観光課
参考文献:軽井沢案内-2016-
撮影・執筆=百村モモ (c)Pouch