YouTubeユーザーのマイケルさん(Michael Fujiwara)によって投稿されていた、1本の衝撃映像。全く予想もつかない出来事を前に、わたしは声を上げずにはいられませんでした。

場所はカナダ・リッチモンドにある港で、観光名所としても知られる「スティーブストン・フィッシャーマンズワーフ(Steveston Fisherman’s Wharf)」。海の中から顔を出したのは大きなアシカ。ゆったりと泳いで近づいてくるアシカにエサをやる人もいて、くりくりお目目のキュートなルックスに、みんな魅了されているようです。

集まった人々のなかには小さな女の子もおり、アシカをもっと近くで眺めようと、埠頭のへり付近に腰を下ろしました。

事件が起きたのはその直後。そのアシカが、女の子の着ている白いワンピースを口にくわえて、そのまま海の中へと引きずり込んだではありませんか……!

【よかった! 助かったみたいです】

女の子を助けるべくとっさに海に飛び込んだ男性のおかげで、女の子は無事に救助されたもよう。マイケルさんによれば、誰もケガしなかったのだそうで、なによりです。

いや~、それにしてもビックリしたわ。動画を見ながら心臓止まるかと思ったよ~!

【野生の生き物にエサをやってはいけない】

事件を検証した海外メディア CBC News によれば、野生の海洋哺乳類に安易に近づくことや、人間がエサをやることは非常に危険な行為であるとのこと。

スティーブストン港の管理をする Steveston Harbour Authority の代表者ロバートさん(Robert Kiesman)は、「港では海洋哺乳類たちにエサをやらないよう警告を出している。グリズリーに歩み寄ってサンドイッチを手渡す人なんていないでしょう? それと一緒」という内容のコメントを寄せています。

【かまれた場合、死に至ることも】

バンクーバー水族館の上級海洋哺乳類トレーナー、ダニエル・ハイソン(Danielle Hyson)さんによると、アシカの口の中にはバクテリアがいて、噛みキズが重い感染症や四肢の切断を引き起こすこと、最悪の場合は死にも至らしめることもあるそう。

そのため、女の子とその家族に対して「かまれたり、ケガをした場合は水族館に問い合わせて」と呼びかけていました。

【ワンピースが食べ物に見えた?】

この動画を見た UBC 海洋哺乳類研究部のディレクター、アンドリューさん(Andrew Trites)によると「人から食べ物をもらうことに慣れているように見えるし、女の子の服をエサだと勘違いしたのではないか」とコメント。 また「エサを投げ入れていたことも引き金になったのではないか」と分析しています。

【違法であり、双方にとって危険】

Steveston Harbour Authority のウェブサイトでは「野生動物にエサを与えないでください」と警告。連邦漁業法や条例に違反しているだけでなく、人間= “簡単に手に入る食べ物” となることで、野生の環境でエサを確保できなくなる可能性があり、双方にとって、とても危険な行為であると指摘しています。

今回は大事にいたらず、本当に良かったですが、同じような状況で悲劇を起こさないよう「野生の動物や、海洋哺乳類には近づかない、エサをやらない」ということを、しっかり心に刻んでおきたいものですね。

参照元:YouTubeCBC NewsSteveston Harbour Authority
執筆=田端あんじ(c)Pouch

▼ほんの一瞬の出来事。アシカ(シーライオン)の雄は、大きいもので400kgくらいあるそうです