日本人がよく食べる鳥といえばまず鶏(にわとり)を思い浮かべるはず。しかし、京都にある伏見稲荷大社の門前名物といえば「すずめの丸焼き」です。
「えっ、すずめって食べられるの!?」と思う方がもしかしたら大半かもしれません。そこで実際にすずめの丸焼きが食べられるお店にポーチ編集部が足を運んで訪ねてきました。

伏見稲荷大社は、全国に約3万社もある稲荷神社の総本宮。真っ赤な鳥居が延々と続く「千本鳥居」が有名です。その伏見稲荷大社は五穀豊穣と商売繁盛にご利益があることでも知られ、京都の中でも国内外から多くの参拝者が訪れる観光スポットの1つです。


諸説ありますが、すずめは豊作の象徴である稲の大敵とされており、昔の人が日本各地にあった稲を食い荒らすすずめを退治するために「すずめの丸焼き」が生まれたと伝えられています。

土産屋が立ち並ぶ裏参道の門前のすぐそばに店を構えるのが『稲福』。国内産のすずめにこだわって提供しているお食事処です。


いざ、すずめの丸焼き(500円)を1串注文。ほどなくして奥からすずめ串が出てきましたが、見た目から毛を取り除いたすずめそのものの姿に思わず面食らいました。店頭でじっくり焼いてくれますが「本当に食べられるのだろうか、どんな味なのだろうか」と様々な想像をしていると、程なくしてこんがり焼け山椒をかけて串刺しになった、すずめの丸焼きができあがりました。


まずどこから食べるか迷ったものの、最後に頭だけが残るのもイヤな感じがしたので、頭からかぶりつきました。実は「最もおいしい」とも言われるすずめの頭、脳みその部分はまるで鶏レバーのような味。続いて胴の部分を食べていくと、ほとんど肉がなくパリパリした食感です。個人的には想像よりもおいしいと感じました。

伏見稲荷大社の門前名物「すずめの丸焼き」ですが、ここ数年は一年を通して食べる事ができなかったそうです。3代目店主の本城忠宏さんによると「中国産のすずめが輸出禁止になってから国内産だけしか提供できず、その捕獲量も年々減っていて貴重なものになってきている」とのこと。ただ稲福では今年から国内産のすずめをさらに確保できるようになったことで、今でも注文があれば食べることができるそうです。


ちなみにこのすずめ、公園などでよく飛んでいるすずめを捕獲しているのではありません(すずめの猟には免許が必要)。今年も11月にすずめの猟が解禁されるので、12月ごろが最も脂の乗ったすずめが出てくる食べごろだそうです。京都の伏見稲荷大社を訪れる機会があれば、名物のすずめの丸焼き、ぜひ一度チャレンジしてみてください。

【お店のデータ】
店名: 稲福
住所: 京都市伏見区深草開土町2
TEL: 075-641-3696
営業時間: 9:00~17:00
定休日: 火曜日(年末~2月初午まで無休)
交通アクセス: JR「稲荷駅」徒歩2分、京阪「伏見稲荷駅」徒歩3分
※すずめの丸焼きは11月中旬から2月中旬までの猟期の捕獲数により、店頭にない場合もあります

Written by Aki Shikama