愛する人の死や幼少時代のトラウマなど、誰にでも忘れてしまいたい記憶のひとつやふたつはあるもの。そんなつらい記憶だけを消せる錠剤が、アメリカで開発されました。

ジョンズ・ホプキンス大学のRichard Huganir教授が率いる研究グループは、つらい記憶が生まれたとき脳のなかでタンパク質が生成されることを発見。タンパク質は分解されやすい物質であり、それを薬で取り除いてしまえばつらい記憶を永久に消去できるのだとか。

これにより、例えば戦争で恐ろしい体験をした兵士や、暴力事件に巻き込まれた被害者などをトラウマから救うことができるのではと考えられています。同教授は「つらい出来事が起こったとき、その記憶はその人の人生に影響する」と話します。

しかしながら、これに異議を唱える人物もいるようです。23日付けの海外サイト「THE TIMES OF INDIA」によると、メリーランド州のメンタルヘルス・グループに所属するKate Farinholt氏は「とても素晴らしいアイデアだが、つらい記憶をすべて消してしまうのはどうだろうか。人間は人生経験をもとに成長するもの」と指摘。

また、エモリー大学のPaul Root Wolpe氏は「記憶によって人格が形成されているのに、それを消してしまうのはトラブルのもとだ」と主張しています。

つらい記憶だけを消せるなんて、まるで魔法のような錠剤です。ですが、「人間は人生経験をもとに成長する」という意見もごもっとも。どういう記憶を持つ人に対して使用するのかが議論を呼びそうです。

(記者/うさぎ)

Screenshot:timesofindia.indiatimes.com
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A pill to wipe out painful memories(インディアタイムズ)英文