地球という惑星は、数億年というとてつもなく長い時間を生き抜いてきました。その時間の中で誕生したのが、私たち人類です。人類が2足歩行を始めて以来、言語が生まれ、道具が生まれ、アートが生まれていきました。

そうして文化的思想を身につけた私たちの祖先は、食べるために農地を開き、家畜を飼育して、やがて世界規模の文明都市を築きあげたのです。

しかし、人類が行ってきた急激な産業発展のせいで、地球という存在そのものも大きく変わってしまいました。その様相を視覚化したのが、人類の時代『人新世』に基づいて作られた、新世界地図です。

『人新世』とは、2012年8月にオーストラリアのブリスベンで開かれる『国際地質科学連合議会』の第34回目の会合で、地質年代に新たに加えられる可能性のある時代です。『anthropo(人間)』と『cene(新しい)』を組み合わせてできたこの『人新世』という造語は、1995年にノーベル賞を受賞した大気化学者ポール・クルッツェン博士によって2000年に造られたもの。

『人新世』という時代はどのような時代を指すのかというと、人間が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった、18世紀後半の産業革命以降です。この時代を視覚化した新世界地図には、地質年代はもちろんのこと、都市や道路、鉄道や送電線やパイプライン。さらにはインターネットケーブルに航空路や太陽航路に至るまで、世界中にはりめぐらされた人工物の存在や痕跡が反映されています。

地質科学でいわれる地質年代を大きく分けると、一番大きな区分が中性代や新生代などの『代』。そしてその『代』は、恐竜が存在していた白亜紀などの『紀』に細分化されます。そしてその『紀』は、更新世や完新世などの『世』にさらに細分化されるのです。『世』は数千万年に及ぶ場合もありますが、『代』や『紀』と比べるとかなり短い区分。年代の区切りは、化石として出土する生物種の違いなど、堆積層に残された痕跡を基に決められます。

私たちが生きる現代は、今現在地質科学で認定された地質年代で表すならば『完新世』の一部。しかし、19世紀の変わり目から始まったかつてないスケールの世界的産業革命を機に、地球本来のシステムは混乱状態へ突入。その後は、過密で有毒で手を加えられ過ぎてしまった、昔の地球ではない『新しい惑星』に変わってしまったと言っても過言ではありません。この時代こそが、人類の時代『人新世』なのです。

科学者の間には、人間の活動が地質学的に重要な痕跡を残すのは今後数十年のことであり、今はまだ『人新世』に突入していないとの見方もあります。しかしすでに、大気汚染や海洋汚染、生物多様性の減少や気候変動など、痕跡となり得る要素は現れているのです。このような事実を踏まえて、『人新世』を新たに地質年代に加えるべきだと公言しているクルッツェン博士は、以下のように述べています。

「地質年代を見直すことに意義があるわけではない。『人新世』という概念を提唱するのは、もっと大きな目的のためだ。自分たちの活動が地球にどんな影響を及ぼしているかを、人々に自覚してもらうこと、そして、今からでも最悪の事態を避ける方法があるのではないかと、考えてもらうことだ。人新世という言葉が、世界への警告となればいいと私は願っている」。

さて、『人新世』を視覚化した世界地図をみて、あなたは何を感じるでしょうか。そしてその後、何を思うのでしょうか。クルッツェン博士の言うとおり、「私たちはこれからどう地球と向き合っていくべきなのか」ということを真剣に考えなければいけない時にきています。

(文=田端あんじ)

参考元:globaia.org(http://goo.gl/DR56B

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